イベントレポート

上海という、アートシーンにおいても世界的に注目を集める都市で行なわれた「文化庁メディア芸術祭上海展 2007」。
「地球」、「東京」そして「表現」。これまでの受賞作品のなかから96点を3つのジャンルに分けて構成した展覧会となりました。

Azone

Aゾーン「地球」では、地球と自然、情報社会をテーマに空間展示しました。地球の大きさや都市間の地理的関係、自然現象の根源的な美しさ、世界中を飛び交う莫大な情報の波といった事象を直感的に体験できます。

Aゾーン「地球」の出展作家は木本圭子氏と平川紀道氏。昨年と今年にミラノサローネのレクサスアートエキジビジョンに起用されたアーティストです。世界的に注目を集める2人の作品による空間です。

このゾーンでは3つの作品を展示しました。まず入口を入ると真っ暗な空間に大きな地球『GLOBAL BEARING』が浮かびあがり重低音が鳴り響いていました。


高解像度ディスプレイで『Imaginary・Numbers 2006』とそのプロセス動画が展示され、『DriftNet』の8メートル幅の巨大スクリーンには、ネットでアクセスしたホームページの情報が巨大な波として表現されています。

『GLOBAL BEARING』の操作性の高さとダイナミックな動きは、子どもから大人まで楽しめて大人気でした。『Imaginary・Numbers 2006』の精緻な映像表現は、見る人の興味を強く引きつけ、『DriftNet』はスクリーンの前での動きが映像に反映されるインタラクションが好評でした。



Bzone

Bゾーン「東京」は、都市東京を感じることが出できる映像空間です。「東京」を題材にした4つの映像作品によって、東京という都市の空気を感じさせる空間を構築しています。

ここでは、湾岸エリアから六本木までのダイナミックな空撮映像や、東京の日常風景を連続的にとらえた膨大な数の写真、地方都市から東京までの新幹線の車窓の風景を加工した作品などから、東京のさまざまな表情を見ることができました。出展作家は押井守氏、五島一浩氏、田中秀幸氏、小林和彦氏の4人です。


展示ゾーンの壁面に4つの作品を投影し、東京を感じることの出来るビデオインスタレーションにしました。「地球」ゾーンの暗い空間から抜けて目にする、「東京」のゾーンでは、1点1点足をとめてじっくり観賞していく姿がよく目にとまりました。

全作品をじっくり観賞していた若いカップルに、このゾーンについての感想を聞いてみたところ、彼女は『石野卓球/ザライジングサンズ』を、彼の方は『ゲイト・ヴィジョン』に興味をもったようで、「この映像の仕組みがとっても面白い。よく考えつくものですね」と感心していました。

別の来場者からも「東京は綺麗な街ですね。」「東京は車が多い街のようですね。」などの感想をよく耳にしました。



Czone

Cゾーン「表現」では、インタラクティブアート、ゲーム、フィギュア、マンガ、アニメーション、映像といった多彩な作品が並びました。伝統を現在につなぎ、先端技術と表現力の融合によって未来へと向かっている表現の「今」を表現しました。

「インタラクティブアート」は、先端的な科学技術や新しく開発された素材を駆使することによって実現した対話型の作品です。ゲームやインテリア的な要素をもっていたり、人間とアートの新しい関係を体験することができます。鑑賞者の動きや操作によって、作品は思いがけない反応を示します。

大型スクリーンによる体験型ゲームからポータブルゲームまで、多様な機種を一堂に展示。日本のゲームの真骨頂ともいえる音ゲーや、コミュニケーションを目的としたゲームなどが来場者に実際に体験できるようにしました。 日本の表現文化の楽しさや精巧さを象徴するフィギュアは来場者の目を釘づけにしていました。

歴史、現代、料理、受験、ファンタジーなど、さまざまな題材が描かれている日本のマンガを過去の文化庁メディア芸術祭受賞作品を中心に19作品が展示しました。巨大なパネルに拡大されたマンガページと実物の単行本を設置。学生運営スタッフの中には、小さい頃から日本のマンガを読んで育ったという方もいました。

第10 回文化庁メディア芸術祭で選ばれた「短編アニメーション作品」と「エンターテインメント作品」、そして第79回文化庁メディア芸術祭の映像作品から「セレクション映像」を上映しました。展示作品は、さまざまなジャンルにおいて、表現、技法、アイデアが複合的に交差し、多彩な映像表現を繰り広げていました。

今回、上海展をサポートしてくれた学生運営スタッフの声を紹介します。彼らのほとんどは日本のアニメやマンガ、ゲームなどが大好きでした。そして多くの学生が、日本の作品の影響で日本語の学習に興味をもっています。素晴らしい作品が若者たちに与えた影響は日中の文化交流をつなげていきます。

「中国のアニメ、マンガファンの間では日本の作品のクオリティーは世界一だと言われているんだ!昔は子どもが見るものだったけど、今は大人もみんな夢中だよ。」と語ってくれたのは、上海展の現地スタッフとして手伝ってくれた、ある学生運営スタッフ。

また「すでに日本語を習っている」「これから日本語を習いたい」と、多くの学生から積極的に日本語で話してもらう場面もありました。
「日本のアニメやマンガ、ゲームの影響です。一番のきっかけは作品を通じて日本の文化や生活、日常に触れることで、日本に対する興味が湧いてきたことです。作者のオリジナルの内容を日本語で理解し、楽しみたい。将来は日本語を使った仕事がしたい。」と想いを熱く語ってくれました。


「中国では日本のアニメ、マンガ、ゲームは既に人気の高いもとのして知られていますが、上海展で初めて見て、触れたインタラクティブアートの素晴らしさに驚いています。中国ではまだまだインタラクティブアートというものがどういった作品なのか知らない人が多いので学生たちにも、来場者の方たちにも素晴らしい機会になったと思います。
今回は、日中国交正常化35周年における上海での展覧会でしたが、中国は人口が多いので毎年でも開催してほしいくらいです。日本の素晴らしい作品は中国と日本をむすぶ架け橋となるでしょう。」と語ってくださったのは学生たちをまとめている先生です。

日本のアニメやマンガ、ゲームが中国の学生や若者に与えた影響は大きく、それは作品を楽しむだけにはとどまらず、勉学や仕事へのきっかけ、文化交流にもつながっているものだと実感しました。今回の「文化庁メディア芸術祭 上海展 2007」を通じて、多くの中国の方々に日本のメディア芸術を知っていただく機会になったことでしょう。

・多彩なジャンルの作品を一堂に見ることができて良かった。
・学校で教えられた日本とは違う側面を知ることができた。
・もっと作品や日本のことを知りたいと思うようになった。
・今まで以上に日本に親近感をもつようになった。
・日本語を習得したいと思った。
・知らなかった作品や分野に出合うことができて良かった。
・東京は奇麗な街だと思った。ぜひ行ってみたい。
・最近足を運んだ展覧会の中では一番良かった。
・出展アーティストと接することができて刺激になった。
・今回だけでなく、来年以降も開催してほしい。
・もっと多くの作品を紹介してほしい。
・会期をもっと長くしてほしい。
・テレビアニメやゲームの新作をもっと多くしてほしい。