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イベントレポート

[トークセッション]「映画・PV(ミュージック・ビデオ)・CM 〜時代を映し続ける映像の魅力〜」

2007年2月1日、国立新美術館にてトークセッション「映画・PV(ミュージック・ビデオ)・CM〜時代を映し続ける映像の魅力〜」が行なわれました。CMディレクターで多摩美術大学教授の中島信也氏の司会のもと、ゲーム、映像制作など多彩に活躍するミュージシャンのピエール瀧氏、アート・ディレクターの田中秀幸氏、特技監督・映画監督の樋口真嗣氏を迎えて、時代を反映する映像の魅力について語っていただきました。

■テレビで育った第一世代

まず中島氏からの挨拶で始まった今回のトークセッションでは、「映像」というジャンルがメディア芸術のなかでも幅広い表現をもち、技術の進歩によりアプローチしやすいメディアになっていることを説明。さらに現在、パネリスト各氏をはじめ映像クリエイティブの第一線で活躍している世代の共通点について述べられました。

中島:「誰でも映像に触れられるようになってきているというなかで、今回集まっていただいた方々は皆1960年代生まれで、家にテレビがある時代に育った第一世代。テレビがあたりまえの環境でテレビとともに育ってきた。映像にそういったかたちで触れてきた人たちが、今まさに映像クリエイティブの第一線で活躍している。そして3人はどちらかというと“雑草系”というか、アンチ文化系。このあり方を会場の皆さんに見てもらいたかった」

■やり続けなければ意味がない

そして出演者の映像作品を紹介するとともに、各氏が映像表現に関わる経緯について伺うことに。高校時代はイラストレーター志望だったという田中氏は、イラストを動かすことからCGの世界に興味を持ち、その後1992年の『ウゴウゴルーガ』のCG制作をはじめ、ラフォーレ原宿リニューアルオープン『THE GIANT BRA』、ダチョウがスキーをする『JR-SKIキャンペーン』(JR東日本)、『SoftBank Mobile「NY篇」』(SoftBank)のCMなど数多くの映像制作を手がけるようになりました。また中島氏から今後の目標について質問されると、田中氏は「つくり続けること」と答えました。

田中:「僕は“やりたいことをいかにしてやり続けるか”ということばかり考えています。立派なものをつくっても、やり続けなければ意味がないと思っているので、一生こういった表現活動をして暮らしていきたい」

■自分のなかの鉱脈を掘りおこす

ピエール瀧氏は電気グルーヴの『Cafe de 鬼(顔と科学)』と、田中氏と共同で制作したPSP版ゲーム『バイトヘル2000』の映像を紹介、“夕方に再放送していた昔のアニメのエンディング・テーマ”のパロディだという「Cafe de 鬼(顔と科学)」ではアニメーション・クリップの監督をつとめ、「バイトヘル2000」では田中氏と共同でシステム設計からつくりあげていきました。そして樋口監督の『ローレライ』『日本沈没』でも俳優として出演しており、音楽活動にとどまらない活動について「他人と一緒にやることで、自分でも知らなかった部分が刺激されて新しい発見がある」と語りました。

ピエール:「“ピエール瀧”という名前のつくものについては100%自分を出していくので、ふざけるにしても力が抜けない。そうそう毎日やれるものじゃないので、何回かに1回はきだすくらいがちょうどいいんですよ。それに色々な人と一緒にやることで、自分の知らないところが刺激されて新しい発見があったりする。もちろん良い部分だけじゃなくて、たまに“これは無し!”っていうのもあるんですけど、そうやって自分のなかの鉱脈みたいなものを掘りおこしていきたいですね」

■映像制作は“一試合完全燃焼”

樋口氏は監督をつとめた『ローレライ』『日本沈没』から、ピエール瀧氏の出演シーンを集めた「ピエール瀧スペシャル」を上映。以前からライヴを見ていたという樋口氏は、『ローレライ』で同氏を起用した理由について「同世代なので自分の分身というか、託している部分がある」と話し、またピエール氏は樋口氏について「演出の人って近寄りがたい雰囲気だけど、樋口さんにはそれがない。現場も大学のサークルみたいな感じだった」と語りました。

また特撮が中心のスケールの大きな映画作品を監督することについて、樋口氏は特撮だけの映画が成立しない現状をうけて特技監督から映画監督へと活動を広げていった経緯を説明し、また映像制作の姿勢について熱く語りました。

樋口:「昔読んだ『アストロ球団』というマンガに影響を受けたので“一試合完全燃焼”というか、これで死ぬ、みたいな気持ちでつくっていました。映像との付き合いかたとか、何も後先を考えないので会社をつぶしたりしたんですけど。あとはやっぱりウケたいですよね。ウケてなんぼというか、『日本沈没』は文春きいちご賞でも『ゲド戦記』に負けて2位だったんですよ。どうせなら1位になりたかった(笑)」

■「人間の魅力」が映像の面白さに

田中氏、ピエール氏、樋口氏は第一線で活躍するクリエイターでありながら、制作スタイルは「部活のお兄ちゃん」と同じだと話す中島氏。だからこそ各氏の人間としての魅力が、映像の面白さ、楽しさに繋がっていくと解説し、「大上段に構えずにやっていくことで良いコミュニケーションができる。そうやって様々な才能が集まってつくっていけるところが、今の映像の魅力なのでは」とまとめてイベントは終了しました。

中島:「今、映像をひとりでやりたいという人は大勢います。でも今日の出演者のように、ノリの合う人たちと一緒にやることでより大きなことができる、ということを見てもらいたかった。上の先輩世代の“俺が良ければいい”という考え方とはちょっと違っていて、悪い言葉で言えば『ウケ狙い』世代なんですよね。キレイな言葉でいうと“コミュニケーションをとりたい”気持ちが作品からあふれていて、多くの人が共感できるということ。大上段に構えずにやっていくことが、じつは同世代や下の世代との大きな強いコミュニケーションをつくるポイントになるんじゃないかなと思います」

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