![]() |
|
![]() |
───マンガを描き始めた時は、マンガを描きたいという気持ちがあったのですか?それとも描きたいものがあって、それにマンガがいちばん合っていたのか…。
井上:いちばん最初は…、どっちだろうな。バスケットなしではマンガ家になれなかったのは確かです。
やっぱりバスケットというものがあって、さらに絵を描くことが好きだったんです。そこでマンガなら描ける気がすると思ったのが始まりですね。
描きたいものがないのに、「うーん、次は何にしよう」と考えてまで描こうとは思っていないです。
───20年後、30年後もマンガを描いているというふうに思われますか?
井上:そういったイメージは想像できないですね…。
───それでは作品を形づくるテーマの源泉というのは、どこから来ているのでしょう。自身がつくった作品をみて、そこから湧き出るものなのでしょうか。
井上:そういうことでしょうね、きっと。描き始める時には、そんなに壮大なテーマはないんですが、描きながら前回のものを見て、また読者の声があるという流れのなかでだんだんと見えてきます。
「こっちへ行ったほうがいいな」とか、「こういうために描いてるんだ」、とかだんだん、だんだん見えてきますね。
───スタート時に「最終回はこんな感じで」というのはないわけですね。
井上:それはまったくないですね。今もないんですけどね....(笑)
───それでは考えながら描き、描きあがったものを見てまた考えるということを繰り返しているのでしょうか?
井上:そうですね、その時その時に何かあってこうなった、ということを考えながら描きます。そしてまたちょっと振り返ってみた時に、その時はこういうことだったんだと後で答えが出る。実はこうだったんだってことが、後でわかったりする。
たぶん、今は最終回なんて全然わからないんですけど、きっともう何かそのヒントみたいなものがあるはずなんです。
ただ、それをこれから何回も何回も回を重ねていくことで、削っていきます。そうすると刃物を研ぐように本当の姿がみえてくる感覚があるように思います。よそからもってくるのではなく、内なるものから浮かびあがってくるのだと思います。だから1巻のどこかにもう答えがあるのかもしれないですね。
───最後に読者の方の声を具体的にどのように昇華していくかを話していただけますか。
井上:自覚的に読者の方の声を昇華するということはないのですが、まとまった量を読むので、何かしら心に残ります。なかでもいちばん知りたいのはちゃんと伝わってるかということなんですが、「ぜんぜん伝わってないな」ということもあります(笑)。
でも、やっぱり読者がいなければ、マンガは成立しないんです。自分の内なる衝動みたいなものを爆発させようと描いているわけでは全くなくて、読んでくれる人がいるからこそ描いているんです。
もし発表の予定もなく作品を描くかといえば、絶対に描かないですね。読者に読んでもらったところで一度完結する、完成する。描くことはコミュニケーションのひとつの形だと思っています。
マンガはメディアであると思います。



