平成9年度[第1回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

THE BUGS
優秀賞

THE BUGS

作者: 又吉 浩

(日本)

MOVIE

※動作環境に関してはこちら

贈賞理由

長編の超大作にはない、斬新なアイデアが凝縮された作品である。強調されたメッセージ性はないが、それがかえって環境へのメッセージとして協力に印象づけられる。適度な無駄を加えながら、見る者に緊張感を感じさせず、たまらなく愉快に、そして気楽に魅せている点が評価された。

作者プロフィール

又吉 浩

又吉 浩

1973年1月1日、沖縄生まれ。4歳までブラジルに在住。沖縄県立芸術大学、同大学院卒業。卒業制作のクレイアニメーション『THE BUGS』が文化庁メディア芸術祭優秀賞など複数のコンテストで受賞したのを機に、本格的にアニメーション制作の道を歩み始める。CGとクレイ・アニメーションを合成した『monster game』ではメディアハンティング99でグランプリ。

Winner's Interview

──お生まれがブラジルなんですか。

いや、確か沖縄だと思うんです。自分ではあんまりわかってないんですけど。それですぐブラジルのほうに移って、4歳までいたと思います。サンパウロ州の、カンピーナスっていう小さな町ですね。お父さんが牛を飼っていてカウボーイをやってました。牧場を。覚えてるのはあと、町の風景とか、サッカーを見ていたことくらいで。 あ、でもブラジルではけっこう、カートゥーンズっていうか、外国のアニメばかり見ていましたね。ハンナ・バーベラものとか。『トムとジェリー』『バットマン』とか、そういったカートゥーンをよく見ていました。もし僕の作風が日本の、いわゆるジャパニメーションとは違うとしたら、その辺が影響を及ぼすことにはなっていると思います。

──それは、ポルトガル語で見るんですか。

はい。いまではほとんど忘れてしまいましたけどね。それでしばらくして、お父さんだけブラジルに残して、家族3人で沖縄へ帰ってきました。いまでは父も沖縄です。帰ってきてからはあんまりアニメに興味はなくなっちゃって、中学ぐらいから映画のほうに興味を持つようになります。実写のほうですね、ハリウッドとか。で、高校、大学まで実写の映画を撮って遊んでいました。監督になりたかったんですよ。それこそホラーから青春ものから、ドキュメンタリーまで撮ったりしましたけど。僕らの頃はちょうどHi8の時代、8mmテープでしたね。

──映画監督で、アイドル的存在は?

僕はですねー、テリー・ギリアムとか。ブラジル繋がりで(笑)。あと『2001年宇宙の旅』が好きでしたね。キューブリック。結構ああいう世界が好きだったんですけど、高校のときにサム・ライミが好きになりまして。スプラッタですね。ああいう方に行った時期もあります。

──ご自分でもスプラッタを撮られたりしましたか。

いや、自分では撮ってないですけど。でもサム・ライミの作る映画は好きで。なんていうか、自分でも撮れそうな感じの作り方でしたから、けっこう参考にしていましたね、カメラアングルとか。ビデオを繰り返し再生して研究するとか、やってました。

──なるほど。大学は沖縄芸大でしたね。

小学校のときから絵が得意だったので、芸大に行こうっていうのは決めていたんです。まあでも、デザイン科だったんですけど、映画への興味は続いていましたから、大学入ってもほとんど毎日映画を撮っていた感じですね。映画というより、映像と言うべきかな。

──実写からアニメーションに移ったきっかけは。

4年生になって、卒業制作というのを作らないといけない時期になりまして。何を撮ろうか、と考えたときに、『ウォレスとグルミット』っていうアニメを見たんです。これはすごいアニメだと思って。クレイ・アニメなのにアクションがすごいわけです。クレイ・アニメでこんなエンタテインメント的なものができるんだ、っていうのは最初すごいショックでしたね。 それからですかね。ちょっと自分でもやりたいな、っていうのが出てきまして。ティム・バートンの『ナイトメア・ビフォー・クリスマス』とか、イジー・トルンカみたいなチェコアニメとかをだんだん見始めるようになりました。

──クレイ・アニメを作るときは、何から頭に浮かぶんですか? プロットとかストーリーなのか、場面なのか、キャラクターなのか。

いちばん最初には場面、というかビジュアルが頭んなかに浮かび出てきて、それからあとで肉付けというか、ストーリーをくっつけていく、という作り方ですね。断片的な絵をあとから集めて組み立てて、という。

──その組み立てには、ホラーな風味も多いですよね。それはサム・ライミの影響がありますか。

その辺のスピリットを受け継いで、やってますね。スプラッタそのものも作りたいんですけど、それはなかなかできなくて。スプラッタって、クレイでは結構やりやすいと思うんですよ、ぐちゃぐちゃにできるし。だけど敢えてそういうのを見せない作り方を考えてますね。けっこう人に見せるということに配慮して、守りに入っているところがあります。 というのも、クレイってすごい時間かかって大変なんです。絵コンテ描いて、けっこうな時間を掛けて作るので、実写みたいに気軽に撮り直しなんてできないですから。スプラッタに限らずアイデアだけはどんどん溜まっているんですけど、時間的な制約がいちばん大きくて、作るときはいつも、いま何を作ったらいいのか、っていうのを常に考えて作ってます。

──『monster game』はどういう意図で作られたんですか。

あのときはちょうど、子供の犯罪、少年犯罪というのがいっぱい出てきて、それがテレビのせいだとかホラーのせいだとか言われていたんです。それをニュースで聞いて、まあ、あの作品を作ったんですけど。いろいろやりたいことを詰め込んだ感じですね。ゴジラを出したり、ゾンビみたいのを出したりとか。完成するとちょっとごちゃごちゃしてしまったな、とは思ってるんですけど。

──どこがCGだかクレイだか、わからない感じです。

それはわからないように作ったつもりです。いま自分がやってるのは、8:2で、8がコンピューター任せですね。要はキャラクターだけ粘土で作って、それを写真に撮って、それをパソコン上でコマ撮りせずに動かしている、という作業なんですよ。残りの2割くらいはコマ撮りをやっているんですけど。 でもいちばん自分でいいな、って思ってる配分のはその逆で、8割コマ撮りして、残りの2割はコマ撮りでは無理なのを、CGで処理したほうが気持ちいいんですけどね。時間的な制約で難しいところです。

──『THE BUGS』のときはまだ、CGを使っていないんですね。

あのときはまだ、Macはありましたけど、まだ動画を動かせるまでのスペックがなくて。一部はCGで作ってるんですけど、あれも手作りというか、Photoshopで画像にモーションブラー、残像を掛けて、それを一枚一枚ビデオに取り込んだだけなので。割合で言えばそれこそ95:5ですね。もっとここCG使えたら楽なのに。とは思っていたんですけど、まだデジタルが普及していなかった頃です。

──デジタルとかCGは、敵じゃないわけですね。

道具代わりですね。だから僕らの世代はおそらく、今のデジタルにすごい感謝しているというか、使い方がわかるというところはあります。ただ、やっぱりテイストの根本になるキャラクターみたいなのだけは、手で作りたいというのはありますね。

──最近テヘランのフェスティバルに出品されていますが、作るときに国外を意識したりはされますか。

ああ、けっこう最初から意識している部分はあります。今回『Wonder Frog』は、いろいろと海外のコンペティションに出品していますし、こないだはチェコのアニフェストというのにも、ノミネートされました。沖縄産のアニメを世界に出したい、沖縄にいて、アニメが仕事として成立するようになりたい、というのはありますね。

──これから取り組みたいテーマなどがありましたら。

いまやりたいのは、NHKでやっているような子供番組のアニメを、テレビでやりたいな、と。『Wonder Frog』みたいな子供向けのを。それはスプラッタなしで(笑)。まあちょっとした毒を加えたい、という意識はどっかにあるんでしょうけど。『ウォレスとグルミット』も手がけたアードマンというイギリスの制作会社があるんですけど、彼らのアニメーションはもっと毒にユーモアがあって、すごい尊敬できるんですね。僕のはかなりストレートすぎて、そこらへんはもうちょっと直していかなきゃ、と思っているところです。

Works THE BUGS 1997 『THE BUGS
  monster game 1998 『monster game
  Wonder Frog 2000 『Wonder Frog』 http://www.nhk.or.jp/digista/hall/artworks/030614.html
  GO FISHIN 2002 『GO FISHIN

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