平成9年度[第1回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

デジタルアート〔ノンインタラクティブ〕部門

SCENE#97-GENERATED AFTER-
優秀賞

SCENE#97
-GENERATED AFTER-

作者: 鷺 義勝

(日本)

贈賞理由

この作品の強さは、まず最初に技術ではなく作品が目に入ること、その後にこの作品を支えている大切な要素が、実はデジタルによる表現であることに気づかせる点にある。デジタルという現代の表現手法が、作者のやりたいこととうまく、深く結びついている。

作者プロフィール

鷺 義勝

鷺 義勝

1969年東京都生まれ。95年有限会社ディーネストデザインスタジオを共同設立(2001年より有限会社から株式会社へ組織変更)。グラフィックデザイナーとして活動するかたわら、アーティストとしても活躍。主にCGの静止画作品を発表し、多くの企画展に参加。文化庁メディア芸術祭ほか、受賞歴多数。

Winner's Interview

──お父さんの職場がゲームセンターだったということですが、それはデジタル技術を使って表現をするきっかけになったりしましたか。

それは、必ずしも直接にってわけではないですけど、あるとは思います。特に僕らの世代って、ビデオゲームが社会的なことも含めて世の中的に凄かった時代でしたから。そうした時代背景の影響も大いにあったと思います。ゲームといえば、海外のゲームには、すごく影響を受けた部分があります。極端にいうと国によって宗教観が違いますし、日本のものとずいぶん違うと思うんです。ゲーム自体が面白かったというより、考え方とか、空間の捉え方とかの相違を見るのがとても面白かったんですね。

──それは何歳ぐらいのことですか。

小学生から中学生くらいですね。あとは、家にパソコンがありましたから、デジタル映像にはすごく親しみがあったんです。パソコンといっても、ゲームくらいしかやりませんでしたけど。でも、あの独特な身体感覚っていうか、ある部分「民主的」ともいえる感覚があって、自分が「こうしよう」と思ったものが確実にそうなるっていう部分が非常に面白いんじゃないかって思っていました。

──CGをやられる前に、何かほかにビジュアルな表現に興味はありましたか。

高校で漫研にいましたし、卒業後研究所で右も左も分からないながらも、揉まれながら絵を描いていたことは描いていました。もともとはビジュアル制作っていうよりも、総合的な企画だとか、そういったほうに携わりたいっていう気持ちが強かったんです。そういうのをやるのに、CGを描けないよりかは、描けたほうが仕事をやる時にはいいんじゃないかなと思って、それでCGを始めたっていうのもあります。

──コンピュータを使って本格的に作品をつくるようになったのは、それでは比較的遅かったんですね。

20代の前半にマックを買ってやりはじめたのが最初です。でも、それまでアナログで描いていたものを、そのまま置き換えるというようなことはしませんでした。そうした事には興味なかったんです。デジタルを踏まえた何かやコンピュータグラフィックスを制作していても、対応策としてどう進展させていくかということが面白いっていう部分が大きいんですよね。こんなことを言うのもなんですが、絵的に上達したいとは、あまり思ってないんです。

──でも、すごいテクニックですよね。フランシス・ベーコンの絵なども連想しますが、アナログ、デジタルを問わず、鷺さんが影響を受けたアーティストはどんな人なのか気になります。

いろいろですね。僕らのころって、ちょうど西武美術館が全盛でしたから、身近にいいものをたくさん観れたんです。その中でいえば、荒川修作さんの作品には相当ショックを受けました。あと宮島達男さんの作品も好きですね。

──今、一方でグラフィックデザイナーとしても活動されていますよね。仕事で制作するのと、アーティストとして自分の作品を制作するのとでは、気持ちはずいぶん違いますか。

まあ、ある程度は違いますけど、受けてやる仕事っていうのも、最初の打ち合わせの段階で、ちゃんと対話を成立させていれば、自主制作のときとあんまり変わらないと思います。どういったものを表現していくかというのは、広告だろうと自発的につくろうとするアート作品だろうと、両者背中合わせだと思うんです。CGは、いずれにしろゼロからつくっていきますよね。そのことは、仕事というときでも、作品を発表していくっていうときでも、自分と向き合うという意味ではまったく同じで、すごく面白いことなんじゃないかと思います。

──Webの仕事もされていますね。

それもありますが、比べてみると印刷物が多いですね。作品を制作して、それを見て問い合わせがあって始まる仕事もあります。本の装丁とか、CDのジャケットとか、ゲームのパッケージとかですね。「作品を見たんですけど、ああいう質感でお願いします」という感じです。

──受賞作はどういうきっかけで制作されたんですか。

作業が誰にでもできて、しかも自分にしか思いつかないものを出すことができる。CGはそういうものだっていうふうに解釈しているんですよ。それを伝えたかったっていう部分はあると思います。簡単にいえば、ATMでお金をおろすくらいの感覚で、思いついた絵が出せれば面白いって思っています。現在はOS上での描画作法をデジタルっていう方って結構いらっしゃいますが、そうした表層的焦点を減らせるような作品をつくれたらな、とは思います。Photoshopにはツールパレットってあるじゃないですか。僕はあれも使わないんですよ。受賞作もそうですし。カメラやスキャナーも使いません。

──鷺さんの作品は静止画ですけど、動画と静止画の中間領域というか、不思議な感じを受けます。

そうですね、一つには人の認識領域を拡張するみたいな事がテーマなんです。受賞したころなんかは、世の中を見渡すと、あらゆるCGが3Dで、個人的には結構うんざりしてたんですよ。僕は、デジタル映像が機能感ばかりが伝わらないように、具体的にどういった皮膚感覚なのか、そうした感覚自体を表現できたら、相当面白いと思ったんです。それでつくったのがあの作品(受賞作)なんです。あとは、やっぱり見たことない静止画って、よっぽどじゃない限りないじゃないですか。既視感っていうものが全く無いようなものを作ってみたかったし、これからも描いていきたいと思っているんです。

──「『網膜への浸透圧が心地よい』そのような気持ちを表現の中心に置いて制作しております」とどこかに書かれていますが‥‥。

その気持ちは仕事で何かをつくるときも、自分の作品を制作するときも同様ですね。意識を通過する傍観者との対話もおざなりにしない、といった思いです。

──CGの作品の場合は、最終的なアウトプットが、モニタであったり紙に出力したり、いくつかの方法があると思いますが、それについてのこだわりはありますか。

それはですね、極端な言い方をすると、モニタとプリントっていうのは、カツ丼と天丼くらい違うんですよ。ただ、自分の制作動機が再現できれば、主観的に違っていてもあまり問題なかったりします。まあ、どっちもおいしければいいなってくらいですね。

──今取り組んでいる作品についてお聞かせください。

2月末におこなわれる、メディア芸術祭の展示に出展する作品をつくっています。これは静止画ではなくて、動きがありますしサウンドもつきます。

──受賞したころの作品制作と、今の作品制作では、何か違いがありますか。

作品をつくる動機みたいなものについて、作品の中で自己言及して表現したいようになってきましたね。デジタルということと正面から向き合うようになったっていうんでしょうか。それと、発表するからには、前に出したものより見るべき部分がなければ、絶対出さないというところでやっています。前にいいものをつくったから、今回は少し手抜きでもいいだろう的な事は、絶対にしないし、やりたくないですね。

Works NEUTRAL MODEL 1996 『NEUTRAL MODEL
  GREEN REQUIEM 1996 『GREEN REQUIEM
  SCENE#97-GENERATED AETER- 1997 『SCENE#97-GENERATED AETER-
  BIO-RIDER_01 2000 『BIO-RIDER_01
  BIO-RIDER_02 2000 『BIO-RIDER_02
  BIO-RIDER_03 2000 『BIO-RIDER_03
  FIN-X3 2000 『FIN-X3
  FIN-X2 2001 『FIN-X2
My Favorites tool 太陽、灯台、Photoshop、Illustrator、AfterEffect、Newtek LightWave3D
  artist 子供、両親、星野之宣、遠藤雅信、成田享、永井豪、冨樫義博、とり・みき、諸星大二郎、宮島達男、荒川修作、唐沢なをき、小田雅弘、古代祐三、料治直也、相米慎二
  resource きょうの料理(NHK)、家庭画報、KIYA-CON、武蔵野美術、ブルーバックス・シリーズ(講談社)、National Geographic、話の特集
  others 宇宙戦艦ヤマト!!

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