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内山 光司
1961年埼玉県生まれ。株式会社電通を経て、2001年に株式会社ワンスカイ設立。主に広告キャンペーンの分野で Webサイト制作を手がけているほか、CMや映像など多くの分野で活動している。文化庁メディア芸術祭のほか、マルチメディアコンテンツグランプリ、広告電通賞、Media.com award、グッドデザイン賞など、受賞歴多数。
──平成9年度受賞の『私は私が大好き』のときはプロモーションビデオのCGプロデュースをされていましたが、今は、最新の受賞作品『カムカムタイム』のように、Webコンテンツのほうに比重が移っていますね。
そうですね。ただ、Webの仕事が全体の8割ですけど、CMのクリエイティブディレクターもやりますし、ショートフィルムもつくります。以前は電通にいたわけですけれど、そこで広告の仕事だけではなく、ある時期は長尺の映像をやっていて、その延長でCGもやって、そしてCD-ROMやWebの世界に入っていったんです。今、Webがブロードバンド化してきて、そこで流すコンテンツでは映像の比重が大きくなっています。企業のホームページも自社の宣伝を型どおりに行うものでは皆飽き足らなくなり、一歩踏み込んだかたちでプロモーションを展開するなど、役割が変わってきています。そうすると、Webにおいてもインフォメーションデザインだけじゃなくて、エモーションをデザインしていかなきゃいけない。結局、かつて携わっていた映像の仕事で得た経験がまた役に立つ。そういうことになってきています。
──映像とWebで決定的に違うのは何ですか。
基本的に、CM等の映像っていうのは情報に対してパッシブな人に対して投げかけるものでしょう。だから『私は私が大好き』の場合は、「つかみ」が大事だったんです。それまで見たことがないものというか、表現として刺激的であることを意識していました。逆に、Webに向き合っている人というのは、理由が無くてそこにいるわけじゃなくて、何か関心があってそれを見ている人なんです。だからそういう人に対して、どういうものを差し出すと喰らいついてくるのか。そこが大きな違いなんですね。 小さいころ柔道をやっていたんですけど、「押さば引け、引かば押せ」ってあるじゃないですか。パッシブなモードの人に対しては、圧倒的なクリエイティビティで「押せ」っていう方法論になるし、逆にインタラクティブメディアの場合は、意外と「引け」が大事なんじゃないかな、ということなんですね。
──内山さんは「経験」っていう言葉をよく使いますよね。
「Webデザインは経験デザインである」とよく言いますよね。Webに限らず現実の空間においてもそうだと思うんですけど、ある印象をユーザーに与えるには、そこで実際にどういう経験を持たせるかっていうことが大事だと思っています。実際、あるWebサイトを作った時、結局その良し悪しをどう計れるかというと、見に来た人の滞留時間というのがひとつの効果測定のものさしとなる。だから、どう過ごしていただくかということを設計することが大事になってくるんです。 で、さっきの押しと引きってことじゃないんですけど、日本古来のおもてなしの精神っていうのは、割と引きながら奥へ導いていくっていうようなところがあるでしょう。そういうところが、有効なのかなと思っています。「奥ゆかしい女性」っていいますけど、あれは奥に行きたいということですよね。控えめでありながら、むしろもっと中身を知りたいっていう感覚が起こるというような。
──快適さだけでは面白くないと。
そうですね。情報と情報をどう繋げるかというデザインをしながら、ユーザーのモードとか心理状態もデザインしていかなきゃいけない。地図を書くことに似てますよね。こういう経路で来てほしいとか、途中でこういうものを見てほしいとかですね。それと、ユーザーがそうするかどうかわからないけど、するかもしれない情報の要素を全部網羅しとかないと、きちんとした経験デザインというのはできないと思います。 それで、快適にユーザーをナビゲートするっていうことも重要だし、そうあるに越したことはない。でも、お客さんを楽しませるためには、敢えてそれを崩すってこともあるんじゃないかと。場合によっては焦らせたり、自分の進むところが見えないようにしたりするほうが面白かったりすることがある。そういうことなんですよ。
──地図の例を出されましたけど、目的地が決まっている場合と、そうじゃない、お題が決まってないような場合とで、つくる意識は違いますか。
それは全然違いますけど、僕らの仕事としては、お題が無い場合には、まずそれを決めることっていうのがま第一の仕事になるんですね。Webサイトだったら、それをつくることでブランディングがしたいのか、マーケティングがしたいのか、それとも商品の販売をしたいのか、ということです。その上でお題に対してどうクリエイティビティを配置させていくかというのが大事ですね。
──受注仕事ではなくて何かやりたいこと、というのはありますか。
ふたつあって、本当にやりたいと思っていることなんで、具体的なことはお話しできないんですけど(笑)。ひとつはですね、Webとインスタレーションのようなリアルな経験を、どう融合させていくかということをやってみたいですね。Webってある種、Flashが進化したからクリエイティブが変わっていくとか、そういう部分に依存しているところがあるじゃないですか。そこをはみ出すためには、いまやモニタの外にしか自由が無いと思っていて、個人の表現としてはそういうことをしてみたいですね。 もうひとつは、子供がちゃんと育っていくために役立てるようなコンテンツをつくっていきたい。コンピュータっていうツールを使いながら、その中に閉じこもってしまうような子供には、自分の子供をしたくないですよね。むしろそれを使いこなして、自分の感性とか知識を広げてもらうようになってほしい。これは長い目で見たテーマですね。
──そういった内山さんの考え方や感性を育んできたものっていうのは何ですか。
今振り返ると、一番根っこに影響しているのは、東映の動画ですね。これは取って付けたような話になっちゃうんですけど、実家の前が東映の映画館だったんですよ。僕のお母親っていうのは、その映画館のもぎりをやっていて、うちの親父がそれを口説いたという話です。それで、子供のころの遊び場っていうのは、東映の映写室だったんですよ。夏休みには『東映まんがまつり』とかずっとやってるじゃないですか。その間は、毎日、映写室から映画を観てたんですね。アンパン3つもらって。昔からアニメとか漫画が大好きでしたね。 あと、僕が中学3年のときに演劇祭っていうのがあったんですけど、そのとき僕はプロデューサーをやったんですよ。本番のとき、劇を見ている下級生の女の子が泣いていて、他人が泣いてる姿を見て自分も感動したんです。それで、人を感動させる仕事っていうのは面白いなと。
──今後はWebだけじゃなくて、ほかの分野もやられるわけですよね。
もともとWebをやりたかったわけじゃないし、生涯最後までWeb屋でいるとは思ってないですね。Webもある意味、広告という大きなコミュニケーション領域のひとつのアイテムだということです。Webに軸足を置きつつ、広告全体にまた戻っていく、そういうふうに考えていますね。
──そういう中で、内山さんの一番コアになっているのは映像ですか。
そうですね。僕の場合は映像でしょうね。ただそれ以上に、表現の送り手と受け手がコンテンツを共有できる環境に興味があります。コンサートの熱狂も、そこにいる観客同士の相互作用というか、空気感みたいなものが無いと成り立ちませんよね。そういう「感動の構造」にすごく興味があります。そういう意味では、映像も単なるエンタテインメントではなくて、隠喩や伏線が張り巡らされていて、モニタやスクリーンから情報がハイパーリンクしていくような、そういう映像に引きつけられますね。 「表現というものは、送り手と受け手の中間に存在する」というのが僕の考えですしね。
| 1996 『前略、京都より。』 | ||
| 1997 『私は私が大好き』 | ||
| 2000 『フェリックスの世界旅行』 | ||
| 2000 『NTT東日本ガッチャマンキャンペーン』 | ||
| 2001 『Sony CONNECTED IDENTITYキャンペーン』 | ||
| 2002 『CAMCAMTIME』 | ||
| 2003 『日本コカコーラ「ジョージアネット」』 http://www.georgia.jp/ |
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| tool | Macintosh&VAIO Flash … 企画書もFlashで書いたりします |
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| artist | リッチー・ブラックモア、パブロ・ピカソ、世阿弥、千利休、山田宗偏、本阿弥光悦、ジョージ・ルーカス、アーサー・C・クラーク、リチャード・ソウル・ワーマン、ドナルド・A・ノーマン | |
| resource | 最近気になっているのは『ジョーと飛雄馬』(笑)。 | |
| others | ふたりの娘ですね。 |
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