平成10年度[第2回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

デジタルアート〔インタラクティブ〕部門

Net Rezonator
© 1998 Net Rezonator Project
優秀賞

Net Rezonator

web作品

作者: NetRezonatorProject
伊藤 幸治 高木 和夫
寺岡 宏彰 柄沢 祐輔

(日本)

作者プロフィール

NetRezonatorProject

NetRezonatorProject

NetRezonatorの受賞歴

1998年3月、一般公開。
1998年6月、NHK TV 番組「ネットワーク・ジャングル」で
      視聴者参加のライブ中継を行なう。
1998年6月、「Prix ArsElectronica98」にてHonoraryMentionsを受賞。
1998年11月、「第13回マルチメディアグランプリ1998」にてアート賞を受賞。
1998年12月、「JAVATMに関する技術・応用・表現大賞98」にて準大賞を受賞。

受賞コメント

『ネットレゾネーター』はインターネット上で音とビジュアルを相互に交換するコミュニケーションシステム、または、音とビジュアルで交信するチャットアプリケーションです。 誰かが演奏しているのを鑑賞することはもちろん、そのセッションに加わることも自由です。 音楽の不得意な人はデタラメに奏でてみてください。 もしかしたら素敵なハーモニーが生まれるかもしれません。 音とビジュアルが相互に共鳴し始めたとき、我々は言葉を越えたコミュニケーションによって強く結ばれ、我々自身が相互に共鳴していることに気づくはずです。

贈賞理由

インターネット時代に手にする可能性を『ネットレゾネー夕ー』はわかりやすく、シンプルに、しかも、深く表現している。 「音」という非常に本能的な感覚の中で体験する「つながる」楽しみは、デジタル時代のオアシスのようだ。 言語の時代に人がまだ悩んでいるときだからこそ、非言語コミェニケーションに注目した意味がある。

Winner's Interview

──伊藤さんは、ご自身ミュージシャンでもあるわけですが、最初はどういった音楽を聴いていたんですか。

小学校高学年の時に、やっぱりビートルズから入っていきました。中学くらいになるとハードロックですね。レッド・ツェッペリンとか。それでコピーバンドみたいなことを始めて、高校になるとプログレにはまるんですね。

──プログレというとイエスとか?

キング・クリムゾンですね。それで、大学に行って、大学は3年の時に辞めてしまうんですけど、そのときにもう音楽の仕事を少しずつ始めてまして、テレビCMとかイベントの音楽、そういうようなものを打ち込みで作ってました。それで思い切ってミュージシャンとしてやっていくかという形で、その世界に入っていったんです。

──1986年にマッキントッシュに出会ったのが衝撃的だったということですが。

打ち込みのツールとして手に入れたんですけれど、結構衝撃を受けまして、プロダクト・デザインとかそういう意味でなんですけれどもね。

──インターフェイスも画期的でしたものね。

理系の大学に通っていたんですけれども、そこでは大型のシステムでやってたんで、ちょっとコンピューターに対して辟易とした思いがあったんです。それに比べてマッキントッシュは全然違うものだった。ほんとにビートルズやキング・クリムゾンに出会ったときのような感じでしたね。それで思いっきりのめり込んで、音楽の仕事をやりながらコンピュータ・ソフトの開発も同時に平行するようになっていって・・・・。まあ、音楽のほうはどうしてもヤクザっぽい業界ですから、少しずつコンピュータの仕事のほうにシフトして、西武百貨店っていうところに就職することになるんです。そこで本格的なシステム開発であるとか、システムのコンサルティングであるとか、商品開発であるとか、そういった仕事をするようになっていきました。

──バウハウスのことについて書いてたこともありましたよね。

ええ、バウハウスには影響を受けてますね。Webデザインにおいては、限りなく実用的にというか、アイコンひとつにしても効果がないとだめですね。そうじゃないと、どんどん複雑になってっちゃいますから。「装飾はデザインじゃない」と、若いデザイナーによく言うんです。

──インターネットとの最初の出会いはどういった感じだったんですか。

西武で仕事しているときに、UNIX系の仕事なんかもあったんで、当然インターネットの存在は知ってたんです。それと同時に、ハイパーカードとかマクロメディア・ディレクターとかが出てきて、マルチメディアみたいなことが世界中で言われるようになっていったんですね。そのときに、インターネットとマルチメディアは結びつくな、という予感は感じていたんですよ。それで、IIJが日本で初めて商用プロバイダーとして立ち上がったと同時に会員になったんです。そこでモザイクを見て、「これを仕事にするしかない」と。そういう感じでしたね。

NetRezonator

──メディア芸術祭受賞作の『NetRezonator』についてなんですが、これは 伊藤さんの音楽的なバックグラウンドから発想してつくられたものですよね。

おおもとのアイデアは、インターネットとマルチメディアっていうのが簡単に融合するだろうなという予感があったときに、もう頭の中にあったんです。チャットするように、みんなで楽しくジャム・セッションをできるような環境があったらいいなっていう。

──ビジュアル部分は、よくあるスタジオ・コンソールみたいなメタファーを突き抜けている部分があって、面白いと思いました。

『NetRezonator』に関しては、いろんなバリエーションや展開を考えてまして、将来何回も姿を変えていくことを想定しているんです。今も『NetRezonator Matrix』というのを画策してまして。で、あれは一番最初に出したものなんで、ものすごく実験的なものでいいだろう、むきだしのものでいいだろうと。それで音叉のメタファーを使ったんです。まあ、物理の実験みたいで懐かしい感じがするかなというところですね。

──遊ぶ道具であると同時にコミュニケーション・ツールにもなってますよね。

開設当時はかなりの人が利用していて、いろいろメールを頂いたりしたんです。夜中に一人でやっていると自分がイルカになったような気がするとか。まあ確かにそんな感じがするんですよね。そういう力を持ってるのかなと思って。

──伊藤さんの会社IMG SRCは森ビルやソニーなどの企業サイト構築も行っていますが、受注の仕事と『NetRezonator』のような自主制作とでは、制作する感覚は違いますか。

ええ、それはもうぜんぜん違います。受注の仕事ってことになると完全にサービス業なんです。当然クリエイティブな部分っていうのは重要な武器にはなるんですけど、あまりそこを強調しすぎると、痛い失敗したりしますよね。

──ブロードバンド化やマシン・スペックの上昇で、Webがテレビに近いものになってくる可能性もあると思われますか。

どうなんですかね。パソコンでDVDが見れるようになったじゃないですか。でも2時間の映画は絶対に観たくないですよね。15分が限度だと思うんです。そのうちに変わるとは思うんですけど、もうちょっと時間がかかるという気がしますね。

──Webの本質はそこにはないと思いますか。

デバイスしだいだと思うんですよ。そこが変わっていかない限り変わらない。画面の目の前に、操作してくれって、すでにいろんな周辺機器が繋がっているじゃないですか。テレビはそういうことはないですよね。ですから、Webに関してはインタラクションっていうのは、やっぱり考えていかなければいけないと思います。

──伊藤さんのアーティストとしてのモチベーションとしては、ソフト的に内容が変われば、デバイスも変わってくるという可能性もありますか。

将来的にはそうですね。デバイスまでっていうのは面白いと思うんですけど。でも実をいうとあんまり考えたことはなかったですね(笑)。

──ところで歴史上の事件で衝撃を受けたものはありますか。万博とか?

大阪万博には何度も行きましたね。実家が町の電気屋さんで、物心ついたときから半田ごて握って、電気工作をしたりしてたんですね。で、ナショナルのショップだったんで、ただで行ける券をもらえたんですよ。4、5回行ったような気がしますね。

──万博みたいに大勢の人が集まっている感じっていうのは、伊藤さんのWeb制作に反映されていますか。

ははは、それはあんまりないかもしれないですね。ただ、Webって常に自分ひとりでしか見れてなかったりするんですけど、実はたくさんの人が見ている。それをもっといい形で伝えられないかなっていうことは、ずっと前から考えてるんですよ。なかなか実現できてないんですけどね。そのうちそういうアイデアが閃けばと思ってます。とにかく、Webが好きですね。

Works NetRezonator 1998 『NetRezonator』 http://netrezonator.imgsrc.co.jp
  EARTH FROM ABOVE on the web 1999 『EARTH FROM ABOVE on the web』
  ソニー・コーポレートサイト 2000 『ソニー・コーポレートサイト』
  森ビル Mid-Tokyo Maps 2001 『森ビル Mid-Tokyo Maps』 http://www.mid-tokyo.com/
  Adam et Rope 2001 『Adam et Rope』
  女子美術大学 2002 『女子美術大学』
  株式会社小松製作所 2002 『株式会社小松製作所』
  BB Biglobe 2002 『BB Biglobe』
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