平成15年度[第7回]文化庁メディア芸術祭
審査総評

【審査講評総括/浜野保樹】

浜野 保樹わが国の魅力を、ポップカルチャーを中心としたメディア芸術が高めているという、グロス・ナショナル・クール(GNC)などの論調が盛んである。その一方でメディア芸術における人材育成の遅れは、一致した意見となっている。公正で認知度の高い顕彰事業は、登竜門として人材育成にとって欠かせないが、応募数の推移を見ても、メディア芸術祭は日本を代表する顕彰事業となりつつある。

プロとアマを問わない作品本意の評価を設置当初から貫き、審査結果は時として大胆なものと受け取られたりしたが、審査の公平性と、優れた作品の作家を顕彰する姿勢は、今回に至るまで堅持されてきた。

わが国のポップカルチャーの人気が高いといっても、海外では偏った紹介になっていることもないとはいえないので、さらに広くわが国の優れた作品を知ってもらうためには、わが国の評価軸を示す努力も必要である。メディア芸術祭は受賞作品の海外での紹介事業も手伝って、審査結果は次第に海外でも参照されるようになっている。海外のDVDパッケージにもメディア芸術祭の受賞作であることを明記するものが出てきている。

メディア芸術祭は改善を怠らない努力の一環として、今回から審査体制をわかりやすいものにするための変更を行っている。審査部門は、従来のデジタルアートのインタラクティブとノンインタラクティブ、アニメーション、マンガの4部門から、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門に変更になった。審査体制についても部門毎に授賞作を決定している実態に即して審査委員長をなくし、各部門の主査を中心に審査することになった。
応募者に戸惑いがあるのではと危惧したが、幸いこれまで以上の応募があった。ただ審査において、応募部門を変更した方がいいと審査員が考える作品がいくつかあり、今後の課題として残った。

審査委員の方々が膨大な時間と労力を費やし、時には真剣に意見を戦わし、優れた作品を顕彰したいという情熱と、委員の方々の無謀とも言える要望に応えてきた事務局に敬服したというのが、すべての審査を傍聴した私の偽らざる感想である。

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