
湯浅 政明
アニメーター、監督。主に『ちびまる子ちゃん』(絵コンテ・画面設定・原画他)『クレヨンしんちゃん』(脚本・絵コンテ・設定デザイン・作画監督・原画他)シリーズ等に参加、‘01『ねこぢる草』では演出・脚本・作画監督を務めた。さまざまな分野で多彩な才能を発揮し、監督としても活躍。その生み出されるハイテンションな映像は、業界内外で高い評価を得る。映画『マインド・ゲーム』は長編初監督作品。
アニメーションは共同作業ですから、面白い漫画を作った作者や、お金を集めて映画にしようと思ったプロデューサーを始め、この映画にかかわったスタッフとキャストすべてに与えられた賞だと思います。私もスタッフの一人としてこの作品に参加できたことはラッキーですし、賞をいただけることを大変有難く思います。これを機にさらに多くの人に見てもらえるととても嬉しいです。どうもありがとうございました。
高度な技術と高次元のセンスが融合して、セルアニメーションでなければ為し得ない表現の頂点を拓き極めている。また、傑出した作画レベルに引きずられることなく「今」を生きていくことに対して真摯に向き合い答えを導き出そうという姿勢も美しい。もっとも、そこに至るまでには度を超した品のない表現も散見できるが、クライマックスの感動に向けては必要不可欠な要素である、と判断した。莫大な予算が投下され、長い製作期間と複雑な画面処理を経て生まれた濃密なビジュアルが横溢する作品が集中した本年度に、デジタルもアナログも無関係な、一本の力強い描線に宿る生命の放つチカラを再確認できたことは実にうれしい限りである。そもそも「アニメーション」の語源は生を、命を吹き込むことなのだ。
初めて「創作」を意識した時に、表現手法として使用した道具は何ですか?
ノートにボールペンでマンガを描いていました。アニメの絵が好きだったので、筆で描き込まれた絵よりもフラットな絵が好きだったんだと思います。ボールペンはクッキリ描けますし、人に見てもらうのに、鉛筆よりも見栄えがいいような気がしました。
そんなに失敗もなく描けたのか、思いつくとそのまま定規で枠を描いて下書きもせず、ベタもボールペンで塗りつぶしていました。ノートは本の形になっているのがいいです。
それは何歳の時で、何を創作しましたか?
7、8歳の頃から中学くらいまで、流行っているアニメに、その都度影響されながらいろいろなマンガを描いていました。壮大な物語を考えては、大感動のラストシーンを思い浮かべて描くのですが、最後まで辿り着くことはなく、大概序盤で終わってしまいました。クラスで流行っている野球マンガがあったから、一番多かったのは野球マンガです。そこからいろいろ取り入れながら、クラスのみんなに見せることを想定して描いてました。
今までの作品を通して、共通して持ち続けている理念やテーマは何ですか?
内向的な性格なので、世の中に興味を持ったのが遅く、大人になってから世の中にはいろいろ、おもしろいものや不思議な仕組みがいっぱいあると思うようになりました。もっと早くにいろいろなことに気がつけば楽しかっただろうと思います。
アニメはシンプルに抽象的に物事を語ることができますから、今の子どもたちに、情報に埋もれてる中から「おもしろい」と思う世の中それぞれの仕組みなんかを抽出してわかりやすく提示できたらいいなと思います。
「テクノロジーとの接点」を感じる時は? また、メディアアートとアートの共通点/相違点は?
アニメの場合、パソコンが導入されてから処理の仕方も年々変わっていますし、新しく開発されたソフトによって途中で処理が変更になることもあります。ダビングに行ってもたくさんのスイッチが並んだ巨大なテーブルの上に小さなノートパソコンを置いて、ほとんどがそれだけで作業されていたり。個人ベースの創作アイテムも揃っていますし、テクノロジーの進化によって、どんどん自分の仕事が変わったり、なくなったりするんだと思います。
現在使用している創作ツールは、自分の作品にどんな表現をもたらしましたか?
撮影台に合わせて考えていたカメラワークが、パソコンが導入されて格段に自由になりました。フットワークも軽いですし、実写を取り込んだり加工するのも以前より楽です。また、加工のさじ加減も幅が広いですし、どんどん流れていかなければならない作業工程の中に特殊な方法が入り込んでいける余地ができました。
逆にいろんなことができるようになった反面、方法を選択する理由を見つけなくてはいけなくなったのが多少面倒ですが。
自身のテーマおよびメディアアートは、時代と共に変わっていくと思いますか?
メディアはどんどん変わっていくと思いますし、テーマは自分の成長や変化と共に多少変わっていくのだと思います。テクノロジーの進化にあわせ、映画を観る、テレビを見る、といったここ100年、何十年のスタイルが一変する可能性もあります。
その時に、頑固に古いやり方を通して伝統芸能のようになるのもイヤなので、できるだけ臨機応変に、世の中に対応した形の中で、自分にとっておもしろいことをやれたらなと思っています。
最も得意とする表現方法は? また、作品が社会に与える影響はどうあると思いますか?
とりあえず、アニメーションらしい動きだったり抽象表現だったり、テンポの良さ? 意外に偏りがちな業界の流れにいると、意表をつくことは割とたやすかったりします。
ガッチリ作ることは大変ですが、多少気の抜けたような作品も必要です。バランス人間なので、業界を見ながらたくさんあるものは避けて、今少ないと思うもの(自分が見たい、あるいはみんなが見たいのではないか)と思われるものを作りたいと思います。
座右の銘は?
特にありません。
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
よく、「歩いている時に…」という話を聞きますが、歩いている時は歩いてることだけで精一杯だったりします。
大概机に向かっている時で、それに合わせた音楽を聴きながらということもありますし、図書館に行って気になるものを片っ端から見ていくと何か浮かぶということもあります。しかし、長編アニメーションは共同作業なので、できるだけスタッフのアイディアを入れていくのが理想的だし、その方が作品も豊かになることが多いと思っています。
今後の活動展開についてのビジョンは?
とにかくまず食べていけるように。あまり古いスタイルにこだわらず(しかし温故知新で)、新しいテクノロジーについていきたいと思っています。すばらしい作品に参加するだけではなく、できるだけ自分が成長進化していけるような仕事をやっていきたい。広く多くのことを学びながら、同時に生活の方も充実できるといいですね。いつか力をつけて「やってみたい」と思っているものがありますが、焦りません。
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
・土石流テレビ映像
不謹慎かもしれませんが、家が流れてしまうという映像が、安定した生活を必死で模索していた自分には大変ショッキングでした。どっしりとした動かないはずの不動産が動いていたのです。動かないものなどなく、常に動いている地面の上に生きているのだなと実感しました。そうするともう開き直るしかなく、逆に安定していない自由な気分を楽しんでいくのだと、そういう雰囲気を作品に入れて自分を説得してる感じがあります。
・ビデオカメラ
ビデオデッキで撮ったテレビ映像や映画ビデオを研究してみたことはあるんですが、ビデオカメラを手に入れて動きを自分でやってみると、今の仕事に即した資料が手に入れられるようになりました。一瞬の意外なポーズ、その角度から見た時の意外な見え方、フレームのおさまり具合など、毎回、新たな発見があります。それ自体が参考にならなくても、それを見てスケッチをしたことや、記憶したことがいろいろ勉強になっていると思います。
・ビデオデッキ
ビデオデッキを手に入れると、録画したものをコマ送りや静止画で見て、一瞬一瞬の動きを研究できるようになりました。一瞬うつる風景でも、止めておいてスケッチすれば、本でしか得られなかった資料を無尽蔵に手に入れることができます。アニメーションでも、どんな絵が入ってるのか、現場でしか得られなかったものがお茶の間でも見られるようになりました。これは大きなことだと思います。実際は生で見て感じたものが一番ですが。
不謹慎かもしれませんが、家が流れてしまうという映像が、安定した生活を必死で模索していた自分には大変ショッキングでした。どっしりとした動かないはずの不動産が動いていたのです。動かないものなどなく、常に動いている地面の上に生きているのだなと実感しました。そうするともう開き直るしかなく、逆に安定していない自由な気分を楽しんでいくのだと、そういう雰囲気を作品に入れて自分を説得してる感じがあります。
・ビデオカメラ
ビデオデッキで撮ったテレビ映像や映画ビデオを研究してみたことはあるんですが、ビデオカメラを手に入れて動きを自分でやってみると、今の仕事に即した資料が手に入れられるようになりました。一瞬の意外なポーズ、その角度から見た時の意外な見え方、フレームのおさまり具合など、毎回、新たな発見があります。それ自体が参考にならなくても、それを見てスケッチをしたことや、記憶したことがいろいろ勉強になっていると思います。
・ビデオデッキ
ビデオデッキを手に入れると、録画したものをコマ送りや静止画で見て、一瞬一瞬の動きを研究できるようになりました。一瞬うつる風景でも、止めておいてスケッチすれば、本でしか得られなかった資料を無尽蔵に手に入れることができます。アニメーションでも、どんな絵が入ってるのか、現場でしか得られなかったものがお茶の間でも見られるようになりました。これは大きなことだと思います。実際は生で見て感じたものが一番ですが。
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