
戸部 けいこ
兵庫県出身。関西大学経済学部卒。1986年、『プリンセス』(秋田書店)にてデビュー。その後、ミステリー作品を中心に数々の作品を発表。2000年、『フォアミセス』(秋田書店)にて『光とともに・・・~自閉症児を抱えて~』を連載開始。翌年には同作品の単行本を刊行、その後2004年4月にはTVドラマ化され、同年11月現在で第7巻までを刊行中。現在、高校3年生と小学5年生の男の子の母であり、夫と4人暮らし。
思ってもみなかった受賞に驚いています。ありがとうございました。この作品は、次男が通う保育園で自閉症児のR君と出会い、卒園式での出来事がきっかけで生まれました。取材に協力してくださった親御さん、医療や教育、福祉の場で働く皆様に心より感謝いたします。私としては、あこがれの対象である審査員の方々に読んでいただいたかと思うと、それだけで幸せです。
マンガの表現において心身に障害をもつ人の作品はタブーになっておりました。見る側にとって不快感や傷つける恐れがあり差別的な要素が含まれる可能性があるからです。しかし受賞作は見事にそれらをクリアーし、明るくたくましく子育てに奮闘する作品内容は、逆に自閉症という障害をもつ家族のみならず、「障害児を持ちながら生きる」家族の人たちの励ましメッセージとなり、健常者にも「何か」を多く語りかけています。
初めて「創作」を意識した時に、表現手法として使用した道具は何ですか?
鉛筆、ケント紙、かぶらペン、製図用黒インク、スクリーントーン。兄はマンガ家を目指して「ガロ」に投稿していましたが、油絵に転向したときに道具一式を譲り受けたので、最初から当時としてはフル装備でした。
それは何歳の時で、何を創作しましたか?
小学2年生のときに8ページのショートストーリー『三匹のオバケ』を描きました。いつも笑ってるオバケ、泣いてるオバケ、おこってるオバケが、主の留守中の屋敷でドタバタ劇を演じ、感情が各々ずれることで、最後は消えてなくなってしまうという悲しいラスト。この作品は『光とともに…』のなかで、あさがお教室で読まれている絵本として登場させています。
今までの作品を通して、共通して持ち続けている理念やテーマは何ですか?
ずっとそのことで悩んでいたせいか、アイデンティティにからむストーリーを描いているときが一番すっきりします。自立や自己実現がままならなかった経験上、自分がわかって、向き合えて、そのように生きたらかなり幸せになれそうだと気がついたので、どのジャンルを描いてもそのあたりに触れてみたくなります。
「テクノロジーとの接点」を感じる時は? また、メディアアートとアートの共通点/相違点は?
取材や業務連絡などでパソコンを使うとき、大変便利でありがたいと感じます。
インターネットがなければ今のマンガは描けなかったし、メディアの力がなければ、広がるスピードももっとゆっくりしたものになったでしょう。共通点は送り手側の「人となり」が表れること。相違点はスピードと影響力でしょうか。
現在使用している創作ツールは、自分の作品にどんな表現をもたらしましたか?
作画はアナログです。今の話には合っていると思います。手で描く作品の「味」とか、ちょっとした失敗さえ「いい感じ」の時がありますが、コンピュータを使った「人間技」ではない描写にもあこがれを感じて好きです。ツールが増えると幅が広がって良いですね。
自身のテーマおよびメディアアートは、時代と共に変わっていくと思いますか?
アートをしているつもりが全くないのですが、普遍的なテーマを描かないと多くの人の心に届かないので、商業誌でやる以上、変わることはないと思います。ただメディアが色々な方との接点を用意してくれるので、描き方、届け方も多種多様になってきていると実感します。
最も得意とする表現方法は? また、作品が社会に与える影響はどうあると思いますか?
絵をとっても、何をとっても、他に上手な方はたくさんおられるのに、たまたま自分の琴線に触れたので作品にして発表したら、たまたま今まで誰も描いたことのない物語であったわけです。最も得意とするのは「たまたま」でしょうか……。ある出版社に持ち込みに行ったときは「デビューしても、2年もつかな?」って言われたんですけど、20年近く続けられて嬉しいです。
座右の銘は?
「一期一会」
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
台所に立って野菜を切っているとき。
歩いているとき。
人と話しているとき。
脳の一部分を使って何かをしながら考えごとができる状態のとき、思いつきます。右斜め頭上から何かが来ます。怪しい。
今後の活動展開についてのビジョンは?
目の前のこととして、今の連載を納得のいくかたちで終了する。次のこととして、自分の心を震わせるような何かをかたちにする。そして、読む人のために描く。
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
・槇村さとる
『ダンシング・ゼネレーション』が大好きでした。少女マンガは恋中心なんですが、それも入っているけど、一芸に秀でた人々がなんだかかっこよく上昇していって、その人になったつもりで悩んだり、とにかくストーリーにぐいぐいって引きつけられました。
・山崎豊子
『沈まぬ太陽』の取材について書かれた記事を読んで「すごいな」と思いました。記者をされていたにしても、ひとつの作品を書くためにこれだけ勉強されるのだなと驚きました。
・育児
今回の作品に関しては育児中に感じたこと、出会った人々とそのエピソードが色々なところに出ています。子供を育てていなかったら作品のモデルとも出会えなかったし、そのお母さんがおっしゃった「大きくなったら明るく元気に働く大人になります」という言葉にも感銘は受けなかったでしょう。
『ダンシング・ゼネレーション』が大好きでした。少女マンガは恋中心なんですが、それも入っているけど、一芸に秀でた人々がなんだかかっこよく上昇していって、その人になったつもりで悩んだり、とにかくストーリーにぐいぐいって引きつけられました。
・山崎豊子
『沈まぬ太陽』の取材について書かれた記事を読んで「すごいな」と思いました。記者をされていたにしても、ひとつの作品を書くためにこれだけ勉強されるのだなと驚きました。
・育児
今回の作品に関しては育児中に感じたこと、出会った人々とそのエピソードが色々なところに出ています。子供を育てていなかったら作品のモデルとも出会えなかったし、そのお母さんがおっしゃった「大きくなったら明るく元気に働く大人になります」という言葉にも感銘は受けなかったでしょう。
![平成16年度[第8回]文化庁メディア芸術祭 平成16年度[第8回]文化庁メディア芸術祭](/festival/images/no08.gif)
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