平成17年度[第9回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

死者の書
© 桜映画社・川本プロダクション
優秀賞

死者の書

長編(劇場公開)

作者: 川本 喜八郎

(日本)

作者プロフィール

川本 喜八郎

川本 喜八郎

1925年、東京生まれ、アニメーション作家、人形美術家。チェコの巨匠トルンカに師事。『道成寺』など独自のアニメーションを次々発表し、NHK人形劇『三国志』などの人形美術を担当。

受賞コメント

折口信夫原作の『死者の書』は難しい題材だったが、私はこれを人形の特性を発揮できる「執心と解脱」の物語と読み解いた。藤原の郎女の一途な信仰が若くして非業の死を遂げた大津皇子のさまよえる魂を鎮めるこの物語は、いま、日本人とは何か、どこへ行こうとしているのかという問いに示唆を与えてくれる。いままで人の入らなかった領域を人形の力によって表現できたのではないかと思っている。

贈賞理由

まぎれもない傑作である。 我が国を代表する人形アニメーション作家で人形美術家である川本喜八郎監督が、文学者折口信夫の原作を構想から30年の時を経て、人形アニメーションの大作に昇華させた。8世紀の奈良を舞台に、ひたむきに生きる藤原南家の郎女と非業の死を遂げた大津皇子との魂の邂逅を通して、人間の執心と解脱を荘厳で幻想的な物語に紡いでいく。人形アニメーションという、途方もない時間と労力と感性によって構築された神秘的で豊饒な世界は、観客を魅了してやまない魔法の力をもっている。これほどの人形アニメーションに、今後しばらく出合うことは難しいだろう。人形たちが織り成す美しい沈黙の中に、80歳を迎えた川本監督の強い意思と高い志を感じずにはおれない。

11のQ&A

Q1
初めて「創作」したのは何歳でしたか? またどんな道具を使って、どんなものを創作しましたか?
A1
4歳。祖母の真似をして作った和紙の人形。
Q2
現在使用している創作ツールはどのようなものですか? また、そのツールを選んだ理由をお書きください。
A2
ピンセット。
Q3
あなたが思い描く「夢の創作ツール」とは?
A3
ピンセット。
Q4
これまでの作品に共通するテーマはありますか? あるとしたら、そのテーマとはどういったものですか?
A4
執心と解脱。
Q5
作品をつくるうえで最も苦労する部分、またはこだわる部分はどこですか?
A5
その作品が人形でなければ表現できないという部分。
Q6
自分の作品が「メディア芸術」だと意識したことはありますか。また「メディア芸術」は既存の「芸術」と比べて、どんな違いがあると思いますか?
A6
意識したことはない。
Q7
アーティストとして、いつもどのような姿勢(スタンス、または観点)で作品を制作していますか?
A7
人形の新しい表現。
Q8
座右の銘は?
A8
「色即是空」
Q9
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
A9
良い文学(小説・詩・俳句など)。
Q10
今後の活動展開について、どのようなビジョンを持っていますか?
A10
人形で追求してきた表現を完結すること。
Q11
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
A11
・イジィ・トルンカ
チェコの人形アニメーションの巨匠。人形の本質に対して目を開かせてくださった。

・文楽の人形のカシラ
人物の典型という工夫を教えてくれた。

・松尾芭蕉
不易流行、本情論など日本の芸術家の指針を得た。。

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