平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アート部門

Spyglass
© Fumiaki Murakami
優秀賞

Spyglass

インスタレーション

作者: 村上 史明

(日本)

MOVIE

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作者プロフィール

村上 史明

村上 史明

1978年、神戸市生まれ。名古屋造形芸術大学、筑波大学で学ぶ。アートとテクノロジーをテーマとしたインスタレーション作品を制作。アメリカやドイツ、カナダなど、国内外で作品を発表し、高い評価を得ている。

受賞コメント

この作品は芸術とテクノロジーの関係を再構築しようとする試みであり、8年間の制作活動におけるひとつの集大成となります。また現代の高度なテクノロジーを使用した電子メディアを再び人間の身体性に還元することを目的とし、「見る」ことは体の運動の一部であることを再認識させようとします。このたびは高く評価していただき、ありがとうございました。関係者の方々に深くお礼申し上げます。

贈賞理由

完成度の高い装置。そして、そのなかを覗くことによって現われる不思議な映像世界。その世界は作者自身の思い出の世界だ。そして驚かされるのは、実際にはない世界を全天球の映像表現にしている点だ。また、重厚感あふれる装置とインタラクションのバランスがとてもうまくとれている。映像表現の質をさらに上げることによって、これからさらにすばらしい作品へと変貌を遂げるだろう。まだ20代である若い作者のこれからの可能性に、大いに期待が高まる作品だ。

11のQ&A

Q1
初めて「創作」したのは何歳でしたか? またどんな道具を使って、どんなものを創作しましたか?
A1
正直なところ、あまり覚えていません。祖父が大工だったので、工房にはたくさんの道具があった記憶があります。物心がついたときから父と一緒に色々な小物をつくっていました。
Q2
現在使用している創作ツールはどのようなものですか? また、そのツールを選んだ理由をお書きください。
A2
コンピュータ、電子機器、写真、ビデオ、金属加工(溶接など)、木工などさまざまなツールを使用しています。自分のイメージを表現するには手段を選びません。コンピュータは自分の考えや思考を一番素早く、視覚的に表現できますし、実際の作品に変換するためには、立体加工技術が欠かせません。
Q3
あなたが思い描く「夢の創作ツール」とは?
A3
私は「ツール」を開発する人間ではないので何とも言えませんが、あえて言うならレゴブロックのように、ツール自身にほぼ無限大の使用方法や手段が秘められていると使いやすいですね。逆に何らかの制約があるとイメージが阻害されてしまうように感じます。
Q4
これまでの作品に共通するテーマはありますか? あるとしたら、そのテーマとはどういったものですか?
A4
「アートとテクノロジーの関係」を共通のテーマとしています。とくに、高度なテクノロジーと人間との関係をアートという媒体によって表現します。
Q5
作品をつくるうえで最も苦労する部分、またはこだわる部分はどこですか?
A5
テクノロジーを使用した芸術作品は、技術的なしくみにのみ焦点を当ててしまいがちです。ですが、そのような作品が本当に人間の心を動かすことができるか私には疑問です。本当の芸術作品は、その時代を生きた作家個人としての軌跡であり、精神や思想がにじみ出たものであり、そこに鑑賞者は心を動かされるのではないでしょうか。
Q6
自分の作品が「メディア芸術」だと意識したことはありますか。また「メディア芸術」は既存の「芸術」と比べて、どんな違いがあると思いますか?
A6
このような作品をつくっていると意識しない日はありません。現代の高度なテクノロジーに囲まれて生活している私たちが、芸術においてもコンピュータなどのメディアを使用するのは自然だと思います。一方、制作側にしてみると、絵画や彫刻のように80、 90パーセントの完成度というのはまず無くて、デジタル技術により配線を一ヵ所間違えただけで作品が動かなくなるという技術的に困難な局面もあります。
Q7
アーティストとして、いつもどのような姿勢(スタンス、または観点)で作品を制作していますか?
A7
日頃あたりまえだと思っていることを、もう一度再考することです。
Q8
座右の銘は?
A8
とくにありません。
Q9
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
A9
海外に行ったときなど、日常とは違う特別な環境におかれたときです。
Q10
今後の活動展開について、どのようなビジョンを持っていますか?
A10
これまでのように制作活動を続け、メディアアートのテクニカルな面を多くの人にも伝授できればと思っています。
Q11
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
A11
・レオナルド・ダ・ヴィンチ
あまりにも偉大な方でここに挙げるのは恐れ多いですが、科学と芸術などの幅広い分野を考察した人物だと思います。

・岩井俊雄
高校生の私に、メディアアートという芸術があることを教えてくれた存在です。

・谷川俊太郎
行間からイメージがあふれ出てくる詩人だと思います。