中島 信也(エンターテインメント部門 主査)
「広告映像」は「芸術」とは対極に位置するものだが、エンターテインメント部門創設で門戸が開かれた。CGでありつつ、感性に訴えかける空気感の『芝浦アイランド』。最後までグランプリを争った『WAMONO』はキャラクター造形、画面構築など非常にレベルが高い。広告映像はそれ自体がエンターテインメントとして完結している点が強みであろう。グランプリの『Flipbook!』は「作品とよべるか?」などの議論がでたウェブサイトだが、新しい感動を与え「メディアの未来」を予感させる点が評価された。広告サイト『ボーダフォンデザインファイル』も入賞。ゲーム部門からは新しい遊びの形を提案した『ニンテンドッグス』が入賞。思わず「かわいい」と心を動かす表現力が評価されたが、ゲーム全般をみると今後もっと新鮮な感動を期待したいところである。
1959年、福岡県生まれ。年間40本近くのCMの演出を手がける一方で、株式会社東北新社取締役、多摩美術大学教授を務める。デジタル技術を駆使した娯楽性の高いCMで数々の賞を受賞。主な作品に日清カップヌードル『hungry?』(カンヌ広告祭グランプリ)、サントリーDAKARA『小便小僧』、 HONDA『STEP WGN』、サントリー『伊右衛門』など。
▼ゲーム・遊具・キャラクター 作品講評/石原 恒和(ゲームプロデューサー)
メディア芸術祭に出品するということに対して、もう少し頭を使ってほしい、あるいはもっと積極的なプレゼンテーションをしてほしい、と感じるものが多かった。大企業系商品は、そのTVコマーシャルをつないだだけのものや、ゲームショウで見せたビデオクリップの流用がほとんど。個人作品系は、プレゼンテーションという考え方すらない「作品を見てもらえばわかります」的な思い込みの強いものか、きわめて不親切なものが大半であった。これでは審査する側は、たまったものではない。決してプレゼンビデオにお金をかけろと言っているのではない。作者自らが、自分のコトバで、作品コンセプトと出品意図を明確に語ってくれれば、それでいい。そんなシンプルなことを出品者の皆さんにお願いしたいと思う応募状況と内容であった。作品の傾向としては、新しいプラットホームが徐々に出そろってくるなか、その環境に合わせた新規な試みに期待したが、従来の作品からの移植にすぎないものが多く残念であった。もちろん受賞した作品は、そうではないオリジナリティがあったからこそ選ばれたものである。
▼映像 作品講評/中島 信也(CMディレクター)
このカテゴリーへのエントリーは、これまでゲームのオープニング映像や劇場用映画のVFXなどの作品が主であったのだが、昨年あたりから「広告映像」や「ミュージック・ビデオ」、それに個人でつくったCG作品などが加わり、一気に多様性を増してきた。これは「クリエイティビティはメディアを問わない」ということの証であるが、その映像のおかれている立場が消滅したわけではなく、むしろそれぞれの領域が鮮明になってきていることが多彩さの要因となっていて、楽しく感じられた。
▼ウェブ 作品講評/宮崎 光弘(アートディレクター)
本年度のエンターテインメント部門のウェブ作品は、大変レベルの高いものが数多く集まった。しかもまったく違う性格の作品も多く、審査の段階ではさまざまな議論が行なわれた。ブロードバンドが急速に普及するなかで、従来のインターネット環境では視聴することが困難だった映像コンテンツも、現在ではストレスなく見られるようになり、単純に映像を流すだけでなく、インタラクティブな要素を取り入れた魅力的なコンテンツが数多くみられた。一方では、インターネット上の更新情報を利用して、さまざまな既存のコンテンツの情報を作品の要素として取り込み、ひとつのエンターテインメントにまとめた作品など、新たな試みを行なう作品もあった。作品の傾向はさまざまであったが、進化するインターネット環境を巧みに利用した、魅力的なコンテンツが数多くみられたことは喜ばしい。来年度はこの傾向がますます進化し、思いもよらぬような新たなウェブ作品が登場する予感がして楽しみである。
石原 恒和(ゲームプロデューサー)
1957年生まれ。筑波大学大学院芸術研究科修了。1995年に株式会社クリーチャーズを設立、その後『ポケットモンスター赤・緑』をプロデュース。 1998年、株式会社ポケモンセンター(現・株式会社ポケモン)設立と同時に代表取締役社長に就任。現在は、同ソフトを翻案した『ポケモンカードゲーム』や、テレビアニメ、劇場映画などポケモン全体のブランドマネジメントに携わる。
斎藤 由多加(ゲームデザイナー)
1962年、東京生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業。1993年にシミュレーションゲーム『タワー』を発表、全米ソフトウェア出版協会ベストシミュレーション・オブ・ザ・イヤー賞などを国内外で受賞。1998年、株式会社ビバリウム設立、現在代表取締役社長。1999年に同居型育成シミュレーションゲーム『シーマン~禁断のペット~』を発表、第3回文化庁メディア芸術祭デジタルアートインタラクティブ部門優秀賞他、受賞。
鈴木 裕(ゲームクリエイター)
1958年生まれ。岩手県出身。岡山理科大学電子理学部電子科卒業後、1983年セガ・エンタープライゼス(現・株式会社セガ)へ入社。2年後、世界初のアーケード用体感ゲーム『ハングオン』を発表。また1993年には、3D-CG対戦格闘ゲーム『バーチャファイター』、1999年に家庭用ゲーム『シェンムー一章 横須賀』など、話題作を次々と生み出す。現在、株式会社セガクリエイティブオフィサー兼第2NE研究開発部長。
宮崎 光弘(アートディレクター)
1957年、東京都生まれ。東京造形大学美術学部卒業。ファッション誌のアートディレクションに携わった後、1986年、株式会社アクシス入社。同グループのCI、デザイン誌『アクシス』のアートディレクションのほか、グラフィックデザインを中心にさまざまなプロジェクトを行なう。最近ではペーパー・メディアのデザインに加えてマルチメディア関連のデザインも数多く手がけている。
![平成17年度[第9回]文化庁メディア芸術祭 平成17年度[第9回]文化庁メディア芸術祭](/festival/images/no09.gif)



