平成17年度[第9回]文化庁メディア芸術祭
マンガ部門 審査講評

「アニメーション」ではないデジタルマンガに期待したい

里中 満智子(マンガ部門 主査)

里中 満智子(マンガ部門 主査)今年度は応募作品も多く、この賞が広く知られる存在に育ったことを改めて感じる。いわゆる流通出版物だけでなく、自費出版や同人誌の応募も目立ってきたこともうれしい。マンガの可能性を拓く…という意味で、デジタルマンガに期待したいのだが、応募作品をみると「デジタルマンガ」と「アニメーション」の区別がついていないものが目立った。アニメーションはデジタルであれ、アナログであれ、アニメーションだ。「デジタルマンガ」は「デジタル表現を取り入れることで新しい見せ方を開拓する」という、その工夫が生かされているという意味なのだが…。海外からの応募にアニメーションが多かったのが少し残念だった。

里中 満智子(マンガ家)
大阪市生まれ。高校在学時に『ピアの肖像』で第1回講談社新人漫画賞を受賞。1974年、『あした輝く』『姫が行く!』の両作品で講談社出版文化賞受賞。代表作に『あすなろ坂』『愛人たち』『アリエスの乙女たち』『ギリシア神話』など多数。現在、『万葉集』の世界を描いた『天上の虹』を描き下ろし単行本という形で執筆中。大阪芸術大学芸術学部キャラクタ-造形学科教授、マンガジャパン事務局長。

▼ストーリーマンガ 作品講評/竹宮 惠子(マンガ家)

今回は何といっても全体の応募数が伸びてきたことが喜ばしい。特にオンラインマンガは前年比275パーセントと、これからの発表形態を示唆するような数字になっている。海外からの応募も年々数が増え、マンガ部門の応募数の約1割が海外からの応募であった。文化庁メディア芸術祭における「マンガ賞」として、世界においても認知度が上がってきたという証明であろう。最終候補として残った作品群も、マンガという分野の間口の広さを示すがごとく、圧倒的な大作から非常にパーソナルな内容のもの、オーソドックスな良さを示すもの、さらには絵画との境目に位置するような作品などが並び、それらが十分に競い合った。世界中からの応募、年齢もさまざま、アマチュアもプロも一緒になって競える「マンガ賞」として、さらに来年の応募数も伸びてほしいと思う。

▼コマ・自主制作・オンラインマンガ・その他 作品講評/木村 忠夫(日本漫画学院学院長)

オンラインマンガは昨年12作品だったが今回は33作品と倍増した。日本よりも海外からの応募が多く、着実に広まりつつある。内容的にも、紙で描く表現の限界を超え、動き、音、色彩などデジタルならではの表現を生かした作品が目立った。ただ動きを重要視した作品はアニメーション的になり、マンガとしての評価とは少し異なる印象があったため、今後の課題になるだろう。文化庁メディア芸術祭でのマンガ部門が注目されてきたせいか、自主制作マンガの応募率はマンガ部門では一番高くなった。内容的にも絵画的手法を取り入れた作品や、デジタルで描いた新しい表現による個性あふれる作品が目立った。ユニークな表現のおもしろさを感じたが、ストーリー性に欠けていたのが残念である。コママンガは若干応募点数が増えたものの、一コマの応募が少なかったのは残念。しかし力作が多く、ストーリーマンガと異なるおもしろい味が感じられた。次回には多数の応募を期待したい。

審査委員

木村 忠夫(日本漫画学院学院長)

木村 忠夫(日本漫画学院学院長)1944年、東京都生まれ。1977年日本漫画学院を設立。今日まで多くの漫画家を輩出するとともに、28年以上にわたって発行している『漫画新聞』の編集長を務め、漫画界の動向やアジアの漫画を紹介。2002年、漫画サミット開催を推進した功績により第31回日本漫画家協会漫画賞・特別賞を受賞。 2004年、北京で開催された「世界漫画大会」で、中国の漫画文化向上の貢献者として顕彰される。著書に『漫画家名鑑』。

黒鉄 ヒロシ(マンガ家)

黒鉄 ヒロシ(マンガ家)1947年、高知県生まれ。武蔵野美術大学中退。1968年、『山賊の唄が聞こえる』でデビュー。以後『結作物語』『ひみこーッ』など、次々とギャグ作品を雑誌に発表。エッセイ、テレビ出演と活動を広げる一方で、近年は幕末史を題材にしたマンガ作品を多く手がける。1987年、第18回講談社文化賞さし絵賞、1997年『新選組』で文藝春秋漫画賞、1998年『坂本龍馬』により第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。

竹宮 惠子(マンガ家)

竹宮 惠子(マンガ家) 1950年、徳島県生まれ。17歳で集英社『マーガレット』の新人賞に佳作入選、デビューを果たす。徳島大学在学中、小学館『週刊少女コミック』に『森の子トール』を連載開始。その後、上京し本格的に作家活動に入る。代表作に『地球へ...』『風と木の詩』『イズァローン伝説』など。1980年、第25回小学館漫画賞受賞。2000年4月より京都精華大学芸術学部マンガ学科の専任教授に。2001年、AVON Awards to Women功労賞受賞。

モンキー・パンチ(マンガ家)

モンキー・パンチ(マンガ家)1937年、北海道生まれ。1966年にモンキー・パンチ名で『漫画ストーリー』に『銀座旋風児』を発表。翌年より『週刊漫画アクション創刊号』にて『ルパン三世』を連載。主人公ルパンをはじめ、個性的なキャラクターたちが人気を呼び、大ヒットし、テレビアニメ・映画化された。代表作『リトルマフィア』『一宿一飯』『透明紳士』など多数。2005年春より大手前大学教授に就任。マンガ研究について教鞭をとる。

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