平成18年度[第10回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

La grua y la jirafa (The crane and the giraffe)
© VIadimiro Ezequiel Bellini
奨励賞

La grua y la jirafa
(The crane and the giraffe)

短編

作者: Vladimir BELLINI

(アルゼンチン)

MOVIE

※動作環境に関してはこちら

作者プロフィール

Vladimir BELLINI

Vladimir BELLINI

1980年アルゼンチン、ブエノスアイレス生まれ。ブエノスアイレス大学で音響・映像デザインを学び、現在は独自の作品を制作。デビュー作『クレーンとキリン』は、2006年4月以来、世界16の賞を受賞。新しくておもしろいアニメーションづくりに日夜挑戦し続ける!
SPECIAL INTERVIEW

受賞コメント

この賞が私にとって特別なのは、1998年のグランプリ受賞者、たむらしげる氏への憧れが、アニメーションを始めるきっかけのひとつになったことにあります。受賞に際し、父、エドワルド・ベッリーニに深く感謝します。父は作品を見ながら、リアルタイムで音楽をつくってくれました。物語は単純で、異なる世界に住むふたつの存在の愛についてですが、不可能な愛などないことを伝えたかった。港のクレーンとかわいいキリンが恋に落ち、幸せに暮らして何が悪いのでしょう。

贈賞理由

似た形、類似性からイメージは広がる。キリンとクレーンの形の類似から発想したと思われるこの作品は、大胆な色彩と構図が魅力の、かわいらしい絵とストーリーの作品。動きだけで物語を伝えようとするアニメーションとしての基本を踏まえていて、好感がもてる。技術やストーリーの構成にはまだつたなさもあるが、今後の発展に期待する。

11のQ&A

Q1
初めて「創作」したのは何歳でしたか? またどんな道具を使って、どんなものを創作しましたか?
A1
潜水艦を描いたときのことを覚えています。7歳だったと思います…。わたしはその絵をすごく誇らしく思いました。その絵には何か特別のものがあったのです。それが何であるかはわかりませんが。その絵は、うーん、たぶんわたしが12歳くらいのときになくしてしまいました。なくさなければよかった。A4サイズの紙に色鉛筆でたくさんの色を使って手描きしたもので、すごくうまく描けていました!
Q2
現在使用している創作ツールはどのようなものですか? また、そのツールを選んだ理由をお書きください。
A2
デジタル2Dを使って、デジタル・タブレットに描いています。その感覚がとっても気に入っているんです。伝統的な2Dとほとんど同じですが、紙を無駄にしなくてすみます。今の時代、とても大事なことですよね。また、伝統的な2Dは紙を山ほど使いますが、デジタル2Dは使いません。1,500レベルのプレッシャーは、センセーションを与えてくれますし、伝統的な2Dの痕跡を感じさせてくれます。小さいころからコンピュータを使っているので、わたしにとってデジタルのメディアは超快適です。もう最高です!
Q3
あなたが思い描く「夢の創作ツール」とは?
A3
今使っているツールで充分です。『クレーンとキリン』は、価格の安いジーニアス・デジタル・タブレットを使いました。でも、今回『クレーンとキリン』の賞金でワコムのIntuos3を買うことができました。なので、これらのデジタル・タブレットにはとても満足してます。予備のモニターも買ったので、超快適です。これ以上は望めません。そう、代理人がいてくれるといいかもしれませんね。そうすれば作品の紹介にそんなに時間を使う必要がなくなるし。自分の作品の配給を管理する代わりに、もっと製作に時間を当てることができますからね…
Q4
これまでの作品に共通するテーマはありますか? あるとしたら、そのテーマとはどういったものですか?
A4
わたしはラブ・ストーリーが大好きなんです。アニメーションに暴力を持ちこむには、あまりにも多くの暴力が現在の実生活にはあると思います。『クレーンとキリン』は、わたしの初めてのアニメーション作品なので、共通するテーマを見つけられるほど多くの作品はありません。でも、わたしは、作品をシンプルなものにしたいと思っています。作画も、ストーリーも、両方です。それが一番だと思いますね。情緒的な内容で、気取ったところのない、シンプルなラブ・ストーリー。見る人が自分を重ねることができて、思いを分かちあい、寄り添うことのできる、善良で正直なキャラクターが登場する。わたしは、善良で正直な人たちが幸せになるのがすごく好きなんです。
Q5
作品をつくるうえで最も苦労する部分、またはこだわる部分はどこですか?
A5
最終的なアイディアを得て、そのほんとうに最終的なアイディアを信じきることだと思います。でも、何かを変えないでいるというのは難しいですね。ひとつのアイディアを新しい形にしつづけることはできますが、あるところで立ち止まり、「オーケー、これしかない」と言って、そのアイディアを何ヶ月も信じていくことは、とても難しいと思います。でも、もしそうすることができて、そのアイディアに対する愛着を持ちつづけることができたらうれしいですね。つまり、そういう心境に達することができたらすばらしい。もっとも困難な状況は脱したということですから。
Q6
自分の作品が「メディア芸術」だと意識したことはありますか。また「メディア芸術」は既存の「芸術」と比べて、どんな違いがあると思いますか?
A6
わたしは、自分の作品はメディア・アートだと思います。製作にコンピュータを使っているからです。デジタル2Dですね。作画、編集、フォーマットの仕上げ、そのほかDVDやビデオなんかも使っています。メディア・アートと既存のアートの違いは、マス・メディア、または20世紀の新しいメディア・コミュニケーションの手段に関連していると思います。芸術作品は、20世紀になってから、テクノロジーを用いて創られたり発表されたりするようになりました。これにはコンピュータが大きな位置を占めていると思います。伝統的な2Dをスキャンしたり、再フォーマットしたり、プロパティを変更したり、また、直接CGや人工知能、センサーなどを使ったりしています。

今は、ユーチューブのような人気のある動画サイトや、自分の作品をアップロードして、世界中の人がそれを観てフィードバックをしてくれるような、素晴らしいものがありますね。これは驚くべきことだと思います。中間媒介はすべて排除され、作者のビデオと世界中にいる受け手だけで成り立つ…すごいことだと思います。
Q7
アーティストとして、いつもどのような姿勢(スタンス、または観点)で作品を制作していますか?
A7
常にシンプルで、大げさでないストーリーでなくてはなりません。デジタル2Dを使用し、キーフレームや自動化された効果を一切使用しない、完全な手作業でなくてはなりません。そういった手法が、わたしが自分のアイディアを伝えたいと思う方法です。
Q8
座右の銘は?
A8
いつも同じというわけではありません。まだアニメーションを一編製作しただけですが、観る人が理解し、共感できるフィーリングを表すには、正直な人々の物語でなくてはならないと思います。わたしは、自分の作品を子どもたちにも見てもらいたいと思っています。子どもは正直ですし、わたしの物語は子どもたちを笑わせることができると思いますし、子どもたちはわたしのアニメーションに対して何かしら気持ちを表現してくれると思います。素晴らしいことです。
Q9
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
A9
通りを行きかう人々です。公共交通機関を利用して、新聞を読んでいるかもしれません。わたしはいつも新しいことを探しています。本を読んでいるときでさえ、新しい物語がひらめくことがあります。読書をしていると、物ごとの異なる視点が見えてきます。そういった視点は、すでに頭の中にあることかもしれません。登場人物の思ってもみなかったリアクションが出てきたりすると、独自のアイディアをつくりだしたり、考えている状況を変えるのに役立つかもしれません。ほとんどすべてのことが新しいアイディアのひらめきに結びつくのですが、中でもいちばんの刺激になるのが人々です。
Q10
今後の活動展開について、どのようなビジョンを持っていますか?
A10
子どもたちのために、それと大人のためにもデジタル2Dのハンドメード・アニメーションをつくりつづけていきたいと思っています。今は第2作目のアニメーションの製作に取りかかっています。今回も音楽担当の父と一緒です。
Q11
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
A11
たむらしげるの作品に大いに影響を受け、刺激されました。『ファンタスマゴリア』のほとんどの作品や『クジラの跳躍』は、アニメーションを始めたいと強く思わせるものをもっていました。
わたしは、ある人に起きることはすべてその人のその後の行ないに影響を与えると思います。ですから、家族もまたわたしに影響を与えてきたと思います。また、好きだったり、ずっと持っていたり、失くしてしまって残念に思ったりしたマンガやイラストにも影響されたと思います…。よくわかりませんが、大切なことは、わたしたちが大きくなっていく過程で起きるすべてのことは、わたしたちが今している行動や、進むべき道を別の道ではなくあるひとつの道に決定するのに、とても重要だということです。ですから、すべての人々やものや現象は、多かれ少なかれ、わたしたちの人生に影響を及ぼしているのだと思います。

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