
神谷 英樹
1970年生まれ、長野県松本市出身。株式会社カプコンで『バイオハザード』の開発に関わったのち、続く『バイオハザード2』でディレクターを務める。代表作は『Devil May Cry』『ビューティフルジョー』。
「美しい自然を描きたい」という一念が、プロジェクト立ちあげの原動力でした。私自身が田舎育ちで、都会の暮らしのなかで湧きあがった郷愁を、素直にゲームのなかで表現したのですが、自然や動物のもつ、無垢で力強い生命力が、本作にも大きな力を与えてくれたように思います。日本画調のタッチや品格ある言葉遣いなど、日本人である我々にとって身近なものに、これだけ心を揺さぶる力があるということを、僕自身も気づかされました。
日本の神話をゲームに取り込んだ意欲的な作品。ゲームとしても、エンターテインメントとしても、非常に高いレベルに仕上がっている。グラフィックの美麗さと独特な表現手法には、海外からの評価も高い。この作品をつくったクローバースタジオが解散してしまったのは大変残念であるが、本作に関わったスタッフにエールを送るとともに、今後の活躍に期待したい。
初めて「創作」したのは何歳でしたか? またどんな道具を使って、どんなものを創作しましたか?
小学校に入ってからの教科書でしょうか。余白を落書きで埋め尽くしたり、パラパラ漫画を描いたり、作家の写真を口パク出来るようにしたり、挿絵を切り抜いて飛び出す絵本風にしたり、とにかく教科書で遊びました。
現在使用している創作ツールはどのようなものですか? また、そのツールを選んだ理由をお書きください。
必要なのはワープロソフトだけなので、一般的なPCを使っています。選んだ理由は…、会社で支給されたものがそれだったからです。
あなたが思い描く「夢の創作ツール」とは?
サボッたり気が散ったりしないように、優しくやる気を出させてくれるワープロが欲しいです。そうしたら今の倍は仕事が出来ます。
これまでの作品に共通するテーマはありますか? あるとしたら、そのテーマとはどういったものですか?
ゲームを遊んでくれる人を、どうやって驚かせ、喜ばせ、楽しませるか。遊び手に良い刺激を与えるために、作り手としても遊び心を忘れないように心がけています。しばしば常識の壁が発想力を邪魔するので、そこに挑戦していくことがテーマだと考えています。
作品をつくるうえで最も苦労する部分、またはこだわる部分はどこですか?
いつも苦労するのはゲームの基本形を決める時です。ノリと勢いで企画書を作るので、実際にそれをゲームにしようとする過程で難航します。もっとロジカルに企画を立てられれば、そんな苦労もいらないのですが…。こだわる部分は…、主要な部分にこだわるのは当然なので、枝葉の部分へのこだわりを大切にします。そこにどれだけ遊び心を込められるかで、作品の完成度はガラッと変わります。
自分の作品が「メディア芸術」だと意識したことはありますか。また「メディア芸術」は既存の「芸術」と比べて、どんな違いがあると思いますか?
メディア芸術というものをよく理解してないので何とも…。ただ、私が制作した作品は、芸術というよりも娯楽作品だと考えています。構えず、肩の力を抜いて、気軽に触れて欲しいと思います。
アーティストとして、いつもどのような姿勢(スタンス、または観点)で作品を制作していますか?
私はアーティストではなく、エンターテイナーでありたいと思っています。ゲーム制作では自分のやりたいこと、おもしろいと思うことを表現していますが、それらはすべてゲームで遊ぶお客さんを喜ばせるためです。遊ぶ側の喜びが、私の最大の喜びです。ただ、他の作品でも得られる喜びならば、自分がやる意味はないと思っています。この面白さはこの作品でしか味わえない! という、唯一無二の作品を作ることが自分の使命だと考えています。
座右の銘は?
本能のまま突き進んでいるので、そんなしっかりしたものは持っていません。
どんなときにインスピレーションを感じることが多いですか?
他の面白い作品に触れた時です。ただ、職場を離れたら仕事のことの一切を頭から消し去るので、映画を見たり音楽を聴いたりする時は、素直に無心で楽しみます。仕事をしている最中に、それらから受けた刺激を思い出せば、自分の作品に活かします。
今後の活動展開について、どのようなビジョンを持っていますか?
『大神』も、私がこれまで制作してきた他のゲームも、決して一人で作れるものではありません。優秀なスタッフが集まり、皆で磨きあったからこそ完成した作品です。これからも、そうした高い志と技術を持った仲間と共に、おもしろいゲームを作っていきたいと思います。
あなたが影響を受けたモノ、ひとは?
小、中、高、大学の時代に触れたTVゲーム全般です。特に、なぜかはわからないのですが、小学生の頃のアーケードゲームからは、そのコンピューター然としたグラフィックや音で、強烈な刺激を受けました。いわゆる「ピコピコ音」やガクガクの「ドット絵」には、今でも魅力を感じます。いつかはそんなゲームもつくってみたいのですが、現実的には難しそうなので寂しさを感じます…。
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