平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

カフカ 田舎医者
© Yamamura Animation / SHOCHIKU
優秀賞

カフカ 田舎医者

短編アニメーション

作者: 山村 浩二

(日本)

MOVIE

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作品概要

不条理小説で知られるフランツ・カフカの『田舎医者』を原作とした短編作品。確実に何かを失いつつ、それでも生きていく田舎医者の運命を一万枚以上の原画を費やし、その孤独と不安の世界を鮮やかに映像化した。

作者プロフィール

山村 浩二

山村 浩二

1964年名古屋市生まれ。日本のみならず海外での評価が高く、2002年『頭山』で、アニメーション映画祭の最高峰、アヌシー2003(仏)で日本人初のグランプリ。第75回アカデミー賞短編アニメーション部門では日本人初ノミネートを果たす。

受賞コメント

21分という、自分にとっては大変長い作品となり、作業は大変でしたが、作画のスタッフ、音楽、音響、声の出演、そして製作の機会をいただいた松竹の皆様の大きな力添えで、こうして形にできました。この制作を通して、カフカの創作の精神に少しでも近づけたこと、また原作からの刺激で、アニメーションの可能性を広げられたことは、何よりの収穫でした。その上、このような賞をいただき、大変うれしく思います。ありがとうございました。

贈賞理由

山村浩二は、他の短編作品をぶっちぎって、はるか彼方をひとり突っ走っている。それは作品を見れば、誰もが納得することだろう。20分に1万枚以上かけた作画がかもし出す映像の濃密さは、どのカットをとっても圧倒的。登場人物の心理を具象化した「びびり」と「ゆがみ」は、作者がさらなる探求の結果、生み出した手描きアニメーションならではの表現である。そもそもカフカを原作に選んだことからしても、表現したかったのは、単にストーリーを語ることではなく、アニメーションにしかできない心理と心象の映像化であろう。とどまることを知らない世界のヤマムラは、新たなアニメーション表現の可能性に挑み続けている。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
自分の一番古い記憶が、家で絵を描いている様子で、いまに至るまで何か描きつづけています。きっかけはわかりませんが、生まれてずっと何かつくりたいという衝動があるようです。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
手帳、紙、鉛筆、ペン、マーカー、インク、色鉛筆、パソコン。
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
イメージの純度と深度。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
テーマを表現しようと思ったことはありませんが、意識する言葉として「認識」、「アイデンティティ」があります。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
テクノロジーはあくまで表現のための道具で、テクノロジー=表現ではないと思っています。「メディア」という具体的な「乗り物」のかたちではなく、「文化的ミーム」、無形の精神の伝承の方を重要視しています。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
イシュ・パテル(ISHU PATEL)はじめNFB(カナダ国立映画制作庁)の作品群との出合いと、プリート・パルン(Priit PÄRN)の『草上の朝食』。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
短編アニメーションの可能性をより追求した作品をつくっていきたいと思います。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
考える時間を与えられ、充実した精神状態を得られる行為。

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