平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭
平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

エンターテインメント部門

METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS
© 1987-2007 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.
優秀賞

METAL GEAR SOLID 4
GUNS OF THE PATRIOTS

ゲーム

作者: 小島 秀夫(KONAMI)

(日本)

MOVIE

※動作環境に関してはこちら

作品概要

20年以上続いているメタルギアシリーズの最新作。反戦をテーマに「敵に見つからないように潜入する」というコンセプトで、新次元のシネマティックな映像による臨場感あふれるゲームを実現している。

作者プロフィール

小島 秀夫

小島 秀夫

1963年東京都生まれ。1986年コナミ入社。『METAL GEAR』でデビューし、『スナッチャー』『METAL GEAR SOLID』等を制作。現在、新作の制作に意欲を燃やしている。

受賞コメント

文化庁メディア芸術祭発足の翌年、『METAL GEAR SOLID』(MGS) が優秀賞を受賞。あれから10年、『MGS4』が再び受賞したことに大きな喜びと運命のようなものを感じます。"潜入諜報アクション"というジャンルを築いた第1作から、2007年で20周年を迎え、シリーズ完結編となる『MGS4』では、すべての謎が解き明かされます。いつの日か、ゲームも芸術といわれるようこれからもがんばります。

贈賞理由

ビデオゲームの進化のひとつの方向に、キネマティックな表現の追及がある。現在発表されている作品の中で、その最前線に立っているのが、この『METAL GEAR SOLID』である。ハードの進歩を越えて、映像表現の深化を追及し続ける小島氏入魂の作品である。一方でMSX以来の『METAL GEAR SOLID』シリーズとしての遊びの追求も怠りない。リアル3Dのゲームは殺伐とした雰囲気の物が多いなか、ゲームとしての遊び心を忘れないのも小島氏の作品の特徴である。大賞となっても遜色のない大作。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
特に意識した事はありません。
物心ついた時から、何かしらの「作品」らしきものは創っていました。
おそらくは物真似だったと思いますが、いつの間にか、落書きや覚え書きが漫画になり、小説になっていました。
鍵っ子だった僕の中では、一人遊びの代表がまさに「物創り」でした。
昔はいまのインターネットのような、アマチュアの誰もが手軽に発表できる公の「場」はありませんでした。創りはすれど、それを他人に晒すような機会はなかったのです。
ゲーム業界に入った理由は自分の「作品」が「商品」としてでも、世界中の人に触れてもらえると思ったからです。
万が一、いまのようなプロにならなかったとしても、某かの「作品」は作りつづけていただろうと思います。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
ほとんど自分の脳細胞のみです。
あとはアナログな紙とペン、それからテキストを文字変換するのに使うパソコンくらいでしょうか。
個人での「創作」はアイデアレベルなので、非常に安上がりです。
「創作」から「制作」に移る時点になると、ものによって必要なツールを独自に作成してもらうか、既にあるものを購入するかします。
あえて一般のツールをなにか挙げるとするなら、映像編集時にはいつもFinal Cut Studio Pro(Apple)を使用します。
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
若い頃、僕の周りには学校の先生を含め、目標とすべき大人はいませんでした。
それでもなんとかこの歳まで命を繋いでこられたのは、僕を勇気づけてくれる、励ましてくれる、さまざまな「作品」があったからです。
世の中に悲観したり、絶望したりしなかったのは、それらの魂を支えてくれた「作品」があったからです。
僕を未来に導いてくれたもの、それは世界中の小説や漫画、音楽、映画なのです。
「ゲーム」というメディアでも、なにかそういった、ユーザーに「遺せる」ものを入れたい!つねにそう考えながら創作をしています。
暇つぶしやマーチャンダイズの道具とは違う、触れた者の人生へポジティブに働きかける「作品」を創造すること、それが僕の作品創りの命題であります。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
やはり「社会性」でしょうか。
僕が紡いでいる「作品」はアートではなく、「ゲーム」です。「ゲーム」はもっとも時代を顕著に映す、大衆向けのメディアです。だからこそ、時代の世相、流行、思想、情勢を投影させるべきだと思います。
時代が抱える問題や警鐘等を「ゲーム」に埋め込んでいる理由はそこにあります。
「ゲーム」は知らない世界や異なる視点を楽しみながら、疑似体験できる最も効果的なメディアなのです。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
「ゲーム」はテクノロジー依存のメディアです。今後もますます加速度的に、さらに高度に進化していくでしょう。
僕がこの業界に入った当時、ゲームはごく限られた色数のチープなドット絵が主流で、音も耳障りなビープ音でした。それがやがて音楽を奏でるようになり、言葉を話すようになり、映像や3D表現が可能になりました。いまでは物理演算をリアルタイムで扱い、ハイビジョンでサラウンド!それらが地球規模のネットを使い、24時間遊ぶことができます。
今後のデジタル・エンターテイメントは最先端のテクノロジーを吸収してさらに拡がっていくと思います。そこには、これまでには考えられなかった様々な技術や専門家が集うことでしょう。
また活字や音、映像、電波などの旧来のメディアがデジタルの魔法によってひとつところに融合しても行くはず。そうなれば、もっと柔軟でストレートな新しい伝え方やメディアのあり方が生まれているかもしれません。それらは狭義の「ゲーム」ではなく、「総合芸術(バレエ)」であり、「総合メディア」であると思います。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
人間の身体の70%は水でできていると言われます。
僕の場合は、身体の70%はTV番組やアニメを含む、映画で構成されていると言えます。
何の映画というわけではなく、世界中の映画を数多く観て育ちました。学校よりも、親兄弟や知人達よりも、映画からの影響の方が遙かに大きいです。多くの事を、知識や生き方を映画から教わりました。なかには間違った知識もありましたが、それらが僕の人格を形作ったのは間違いないです。
本当は実経験であるべきですが、例え間接的な又聞きやフィクションによる疑似体験でも勉強にはなります。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
インタラクティブなメディアである「ゲーム」は非常に奥が深く、一筋縄ではいかない反面、とても面白いメディアだと思います。
「ゲーム」はリアルな人を相手にするサービス業です。「ゲーム」創りに精通するにはその人を、時代を理解しなければなりません。
「ゲーム」を創るとは、「人や世の中」を追求する事に他なりません。歳を重ね、経験を積めば、人や時代をより深く理解できます。
まだまだ満足のいく「創作」は実現していないのですが、これからもインタラクティブなエンターテイメントを模索して行きたいです。
同時に旧来のメディアである映画や、一人でもできる創作活動、小説などにも挑戦していきたいです。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
「創作活動」の定義をプロ、アマ問わずに考えるなら、僕にとっての「創作活動」は「生きること」、そのものになります。
水分を摂り、酸素を吸っていれば、必然的に何かを無意識のうちに「創造」しています。生命活動に不可欠ないわば、排泄行為に近いものと云えます。
体内でしみ出したものは外に排出するしかありません。出さずに我慢すれば、いずれは身体が破裂してしまいます。
今後も生きつづけるのなら、創作をつづけます。朽ち果てるまで「創作」しつづけるほかありません。

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