日本とロンドンに店舗を構える帽子の製造ブランド「Weave Toshi」のWebサイトで公開された作品。画面上にはボタンもスクロールバーもなく、カーソルを回すことにより、映像の進行を操作することができる。帽子という説明しにくいものを限りなく立体的にみせている。

勅使河原 一雅
1977年生まれ、東京都出身。1997年よりウェブ制作に携わりはじめる。現在はqubibi(首美)を屋号とするフリーのウェブデザイナーとして活動中。D&AD Awards、One Show Interactive、Cannes Lionsにて受賞。
作品づくりを進めるうえではじめからあったのは、気分の悪い夢のように、湿って、なまぬるくて、ちらちらとして、繰り返されて、ぐるぐると目が廻るかのような感覚です。見た人の目に焼きつき、耳にこびりつかせるようなものを目指しました。独立してからの初の作品ということもあり、長い時間をかけて悶々と制作したものが、こういったかたちで再度評価をいただくことができ、非常にうれしく思っております。
ネットワークでユーザーを繋ぐ技術や、映像や音楽も使える表現環境が整った現在、今年度はそうした先端技術を駆使した作品の応募が目立った。その中で本作品は特定の技術に偏らず、インターフェースを潔く捨てて操作と閲覧を融和し、結果的に独自の体験を生み出した点が高い評価に繋がった。画面上でマウスをぐるぐる回す。それが操作のすべてである。ぐるぐる回すと紙芝居のようにシークエンスが進み、人が現れ、ゆっくりと帽子を手に取って回しながら見せてくれる。帽子という説明しにくいものを限りなく立体的に認知させるには…という課題に対して、最新技術に飛びつくのではなく、ユーザーの脳内イメージに豊かな認知を形づくった点はみごとだ。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
制作依頼がきっかけです。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
撮影するための道具と、アイデアを綴るためのエディタと、画を描くための主要グラフィックソフト、もろもろをまとめ動かしかたち形にするためのFlashソフトウェアになります。
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
バランスです。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
子どもが見て興味をもつモノであること。息子が実験台です。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
特別なものとしては捉えていません。けれども、その伝達力に多いに頼っています。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
生まれてから二十歳までの環境、出来事、出会った人たちに多くの影響を受けています。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
何何(どれどれ)のような、といった狙いは僕自身はもっていません。いまと変わらず、依頼の度に考え、心を込めてつくります。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
苦しいけど飽きない行為。ご飯を食べていくために有効です。
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