平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

マンガ部門

天顕祭
© 白井 弓子
奨励賞

天顕祭

自主制作

作者: 白井 弓子

(日本)

作品概要

ある時代を舞台に、足場鳶の若頭と少女の交流を描いた自主制作作品。若頭・真中は天涯孤独の少女「木島咲」を雇う。仕事を身につけた彼女に、その後変化が起きる。祭に秘められた真実とは、そしてふたりの運命は?

作者プロフィール

白井 弓子

白井 弓子

1967年生まれ、愛媛県出身。京都市立芸大油画専攻。児童文学の挿絵、コママンガ等を制作する。また、ストーリーマンガを自費出版、ホームページ「弓工房」で発表している。

受賞コメント

このマンガは10年前、夜神楽のにぎわいと闇の濃さに着想を得てから描いては捨てを繰り返し、やっと形になったものです。結果このようなすばらしい賞をいただき、描き切ってよかったと心から思います。また発表の場を維持し続けてくださっている即売会スタッフの皆様、そして、今まで拙作を読み励ましてくださった皆様に感謝を。ありがとうございました。

贈賞理由

ある時、この国を襲った「汚い戦争」によって国土のあちこちにばらまかれ、残された「フカシ」という毒素を若竹に吸収し浄化させようとする地域の物語。その土地には昔から伝わる祭りの主役「クシナダヒメ」(大蛇「ヤマタノオロチ」に見初められた)に選ばれた犠牲の少女と、それを阻もうとする鳶の若頭の淡く激しい恋物語は、一昔前の、モノクロの名作映画を観ている雰囲気で久しぶりに胸がときめいたものだ。組んだ竹の隙間から、あるいは地の底から大蛇が少しずつ姿を現してくる演出や、登場人物それぞれのキャラクター表現、斬新な構図、静かな眼の演技などに作者の鋭い才能を感じるし、まずはもって自費出版という地味な世界からの挑戦と知って、同じ環境で頑張っている若者達を励ましたい意味もある。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
やはり最初は、おもしろい作品に出合ったとき。自分も描きたいという気持ちが湧きおこってきました。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
エンピツ、筆ペン、パソコン(Painter、Photoshop)
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
自分のリアルな感情がどこかに入っていること。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
あまり意識したことはありませんが「切なさ」でしょうか。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
Flashを使ったオンラインマンガなど、いろいろチャレンジしてきました。
紙の出力でも、パソコンを使うことによりアナログな表現が可能になるおもしろさを味わっています。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
中学生のとき、安彦良和氏に出会って衝撃を受けました。生き生きとした動感、実在感が私の目標になりました。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
どんな世界であれ、そこに生きている人(や何か)が感じられるマンガを描きたいです。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
なかなかうまくいかないけど、でも、せずにはいられないこと。 ゆっくりとした歩みではありますが、また喜んでもらえるような漫画が描けるようがんばります。