エンターテインメント部門受賞者シンポジウム-1では、大賞を受賞した『Wii Sports』の太田敬三氏、優秀賞『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd』の辻本良三氏、同じく『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』の小島秀夫氏が出席。エンターテインメント部門主査・水口哲也氏が司会を務め、各受賞作品のコンセプトや開発秘話、さらにはゲームに求められる芸術性と商業的成功、その文化的役割に至るまで語り合いました。
| 日 時 | : | 2月11日(月・祝)16:00-17:30 (新国立美術館3F講堂) |
| 司 会 | : | 水口 哲也 (エンターテインメント部門主査) |
| 出 演 | : | 太田 敬三 (大賞『Wii Sports』) 辻本 良三 (優秀賞『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd』) 小島 秀夫 (優秀賞『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』) |

まずは「ほぼ全会一致で大賞に決定した」という『Wii Sports』のコンセプトについて、太田氏に話をうかがいました。日本のみならず、世界中の多くの人に受け入れられ、水口氏いわく「すべての年齢層にアピールし、“ひさびさに家族でゲームをやってみる”という旋風すら巻き起こした」同作品。身体を使って遊ぶという新たなゲーム性をもつ『Wii』の利点を最大限に活かし、普段はゲームをしない層にもアピールした本作について、太田氏は「任天堂がめざす“ゲーム機の周りにたくさんの笑顔をつくりたい”という思いを体現した作品になった」と語りました。
太田:「どんなゲームでも同じボタン操作で遊んでいた従来のゲーム機とは違い、テニスや野球を実際にやるときの動きを再現するように心がけました。腕を振る力によって強弱が変わるインターフェイスはよくつくりこまれており、誰にでも遊べるシンプルさを実現しています。ハードと密接に結びついたゲームなので、今回の受賞は『Wii Sports』だけでなく、Wiiプロジェクト全体が認められたと感じています」

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つづいて、優秀賞を獲得した『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd』について、辻本氏に語ってもらうことに。プレイヤーがさまざまな武器を駆使するハンターとなり、獰猛(どうもう)な巨大モンスターに挑む人気アクションゲーム『MONSTER HUNTER』。シリーズ5作目となる本作は、「モンスターをみんなで狩りにいこう」というコンセプトのもと、通信機能が強化されました。「ポータブル・通信・高画質」というPSPの魅力を最大限に引き出している本作を、水口氏は「無線通信が可能になったことで、新たなアイデアが実現している」と評価します。
辻本:「プレイ環境の変化については、とくに考えました。それは、“なにかの合間に”といった、時間の使い方も含めてのことです。通勤や通学の途中といった30分程度の時間を有効に使えるように、ゲームの中で移動する手段を簡素化し、15分程度で遊べるクエストを用意したことも、多くのユーザーに受け入れられた要因だと思います」

そして、『METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS』が、発売に(2008年6月12日予定)先駆けて優秀賞を受賞。戦場を舞台にしながら、「いかに敵を殺さないでクリアできるか」というコンセプトが話題を呼び、世界的人気を誇るアクションシリーズ。本作について水口氏は「映画的な美しさやストーリー性をもち、ゲームとしての楽しさにくわえて、ドラマとしての感動も得られる」と語ります。9年前に発売された第一作『メタルギアソリッド』で第2回文化庁メディア芸術祭デジタルアート [インタラクティブ] 部門優秀賞を受賞している小島氏に、本作の魅力について話を聞きました。
小島:「本シリーズの特色は、敵が五感を備えている点です。そのため、こちらは常に身を隠し、こっそりと進まなくてはいけない。つまり、究極のかくれんぼ(ステルス・ゲーム)です。また、本作の大きなテーマとして、反戦反核を掲げています。そして、“次の世代に残すモノ”をサブテーマとし、遺伝子、文化などを取りあつかってきましたが、今作では、人の感情や意思や魂といった、形のないものをテーマにしています」
シンポジウムの終盤では、世界をリードする日本のゲーム業界において、トップランナーである三氏に、制作にあたるうえでのポリシーと、ゲーム業界の展望について話を聞きました。水口氏の「ゲームは芸術ではないかもしれないが、ゲームクリエイターはアート性をもち、クリエイティビティに溢れ、常に新しいものを創造していかなくてはならない。しかも同時に、商業的に成功するものが求められる」という発言から、両面のバランス感覚について話が進みます。小島氏からはゲームの文化的意義にまで踏み込んだ話もあり、ゲームの未来を感じさせながら、シンポジウムは終了しました。
太田:「入社から14年が経って、“サラリーマン・クリエイター”というものを素直に楽しめています。商業的成功を収めるということは、それだけ多くの方が興味をもってくれたということ。そのうえで、芸術的・個性的な発想を伝えることが重要なのです。個人ではできない、組織ならではの力を発揮して、プロの魂がこもった作品を制作していきたいですね」
辻本:「発売日を決めずゲームをつくることはできないので、限られた時間のなかでどれだけの思いを込められるかというのが大切です。『MONSTER HUNTER PORTABLE 2nd』では、さらに先を見越した挑戦的なアイデアも取り込んでいます。ゲームはつくりはじめてから、発売まで3年くらいかかる。だから3年後に驚いてもらえる、先を読んだ新しいものをつくろうと努力しています」
小島:「ゲームは、“ボタンを押すだけで画面の中でアクションできる”という単純な仕組みだったからこそ世界に広まりました。しかし、表現の自由度が上がったいま、ゲームのグラフィックには言語、民族、宗教、思想などの文化的背景も盛り込まれるようになった。また、インターネットによって世界中の情報が共有されはじめているので、サブカルチャーに詳しい海外の人たちの中には、日本のアニメやゲームに刺激を受けて、日本的なものをつくりだしているケースもあります。最終的には、ゲームそのものが文化のプラットフォームになっていくのではないでしょうか」
![平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭 平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭](/festival/images/no11.gif)







