平成19年度[第11回]文化庁メディア芸術祭
審査総評

過去最高の応募作品数、作品の質の高さゆえに難航した審査

― 浜野 保樹(東京大学大学院教授)

浜野 保樹文化庁メディア芸術祭は、新しい分野を対象にしており、また新しい試みを奨励することでもあるので、作品本位で審査を行なっている。幅広い作品を対象とするためには、推薦だけでなく公募の形式をとらざるをえない。しかし、受賞作の質の高さが知れわたってきたため、募集を開始するたびに、応募を控える事例が増えるのではないかと危惧しているが、海外からの応募の増加もあって、ここ数年応募数が増え、ついに2000作品を突破した。応募された方々にお礼を申しあげるとともに、ぜひともさらなる応募を期待している。
ただ、応募数が増えると審査に時間と労力がかかり、審査委員の負担は増える一方である。お忙しいなか、審査を引き受けていただいた方々には心から感謝している。今年の作品は粒ぞろいであるというのが、いずれの分野の審査委員の感想で、作品がすばらしいので「審査していて楽しかった」という声も出ていた。粒選りであったゆえに、選考の決定に至る過程では多くの議論が費やされ、「受賞させたい」「なんとか救えないか」という声がたびたび聞かれた。受賞作品はそういった難関を経て選ばれたものであり、残念ながら選に漏れた作品も優れたものが数多くあって、それらは推薦作品として展示されているので、その質の高さを確認してほしい。
区切りとなる10回を超えて、文化庁メディア芸術祭も新たな段階に入った。この顕彰事業が、これまで以上にメディア芸術の振興に貢献できるように努めたいと思っている。

浜野 保樹(東京大学大学院教授)
1951年生まれ。国際基督教大学助手、新潟大学教育学部助手、メディア教育開発センター助教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科助手を経て、現職。主に、映画、マンガ、アニメーション、ゲームといったメディアアート関連の研究で知られる。著書に『表現のビジネス―コンテント制作論』(東京大学出版会)ほか。

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