平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アニメーション部門

つみきのいえ
© ROBOT
大賞

つみきのいえ

短編

作者: 加藤 久仁生

(日本)

作品概要

水に囲まれつみきを積んだような部屋でひとりの老人が暮らしている。水没している階下にパイプを落とした彼は、それを拾うためにもぐり、それぞれの部屋に刻まれた家族の思い出にめぐりあう。いまはいない妻、娘、なつかしい人々の大切な記憶が静かなタッチで描かれ、純度の高い心にしみる作品となった。地球温暖化のテーマも秘められている。

作者プロフィール

加藤 久仁生

加藤 久仁生

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。2001年にロボットに入社。キャラクターアニメーション部CAGEに所属。テレビ番組、Webアニメーション、スポットCMなどさまざまなアニメーション作品を手がけている。

受賞コメント

この作品をつくるなかで大変な思いをしたスタッフ、関係者の皆さんに感謝します。制作過程で起きたこと、またつくり終えてから見えてきたもの、さまざまなことが頭の中を渦巻いています。が、やはり次に向かわなければと思っているところです。とにかく受賞に関しては、大変ありがたく思います。

贈賞理由

すでに国内外のいくつかのアニメーションフェスティバルでも入賞を果たしている本作品、なにがその受賞理由だろうか?繊細かつ郷愁的な絵世界、セリフや説明を排しながらも端的に伝わるストーリー、地球環境的な設定などいろいろあると思うが、表現自体が斬新で先鋭的ということではない。作品の佇まいもけっして派手ではない。しかし作者の人間に対する温かいまなざしと「想い」が観る人の心にしみる。アニメーション表現が多様化する昨今、つくり手がなにを目指し、なにを目的として制作するかが大きなポイントである。芸術性、実験性、娯楽性、大衆性など、目指しているパラメーターはつくり手ごとにちがうだろうが、本作には国境や世代をこえて観た人を魅了する普遍性と豊かさがある。この普遍性こそ、国内ではまだ認知度の低い短編アニメーションの在り方の新たな可能性、さらには表現行為のひとつの意義を示している。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
絵を描くことが好きだったからだと思います。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
鉛筆、消しゴム、紙、水彩絵の具、筆、Macなど。
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
もやもやとした抽象的なイメージをできるだけ具体化させること。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
まだ明確にはなってないです。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
表現するときには、テクノロジーというものはあまり意識していなくて、ツールのひとつとして捉えています。メディアは、つくったものに合う形で選択できれば一番よいと思いますが、現実には難しいところです。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
いままで出会い、心動かされた人や作品すべて。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
過去の作品ではできなかったもの。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
なにかについて考えること。