語りかける息子の言葉が聞こえない父。届けられた荷物のなかのマスクをかぶった父は、異次元の空間に入り牛に変身、暗い森のなかに立っていた。現実と異次元の行き来のなかで息子の危機を救った父が親子のコミュニケーションを回復するという3DCGアニメーション。

木村 卓
1963年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業後、トーヨーリンクス(現リンクス・デジワークス)入社。以降、CM、映画、ゲーム等のCG映像制作に携わりつつ、個人による作品制作も行なう。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師。
今回、このような賞をいただくことになり、大変嬉しく思います。現状、このようなインディペンデント作品を制作する機会を得ることは難しいのですが、その機会を与えていただいたのみならず、内容に対してもすべて任せていただいたリンクス・デジワークス、そしてこの作品の制作に関わったすべての人に感謝したいと思います。また、この作品を選出していただいた審査員の方々、事務局スタッフの方々にお礼申しあげます。ありがとうございました。
父親の子どもへの言葉(交流)の不在、ふとしたことで不可思議な平行異世界に紛れこんだ父親が迫る危機を脱し、お互いの言葉を取りもどすまでの物語。しっかりと構築された設定やストーリーと演出力で純粋に楽しめる作品だ。暖かな風合いの日常風景と異世界の対比されたビジュアライズが見事。ダークでシュールな異世界の中に死神のような恐ろしいモンスターや、コミカルで不思議なキャラクターが登場する。父親が頭は人間で体が牛という「クダン」になって異世界をさまよう姿は怖くて気持ち悪いけど、どこかかわいい。動きのタイミングも心地よく、ハラハラドキドキのストーリー展開は見るものを引きつけずにはおかない。単なる技術見本に陥らずだれが見ても楽しめる短編アニメーション作品となっている。スタッフの皆さんの志と力量を高く評価したい。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
自分が感動したことを単に記録しただけでは、第三者には伝わらないと思ったこと、だと思います。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
3DCGを制作するのに必要なソフト、ハードです。
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
テーマ、ストーリーと、その語り口。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
「なるほど」と思える視点や表現。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
テクノロジーについては、頼るべき部分と、頼ってはならない部分の線引きが大事かと思っています。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
子どものころ、我が家では「手づくりが善、既製品は悪(少々極端な表現ですけれど)」とされていました。そのような家庭環境が少なからず影響しているように思います。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
自分が考えていることや、感じたことを興味深い形で表現できればと思います。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
自分の思いや考えを形にして検証する実験の場。
楽しくもつらい遊びの場。
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