人体のオブジェ、サウンド、映像によるインスタレーション。映像では皺のなかに浮かびあがる人の姿、あるいは通りすぎる人、波打ち際、ある老人のインタビューなどがシンプルな線描のアニメーションで描きだされる。一見脈絡なく配置されているようでいて、実はインスタレーションの間には、作者の人間に対するさまざまな関心のありようが示されている。

海老原 優
1983年生まれ、埼玉県出身。東京藝術大学大学院修了。在学時から手描きアニメーションをおもな素材としたインスタレーション形式の作品の制作をはじめ、さまざまな空間を利用したグループ展多数に参加。ギャラリーから洋品店、カフェなどに発表の場を広げながら、現在も制作活動を続けている。
自分自身を含め多くの人は、日々さまざまな文脈に絡めとられていくなかで、ときにinsider、ときにoutsiderとなりながら、つじつま合わせをして生きているように思います。その思い/気づきを、なにかおもしろい形で昇華しようと、この作品をつくりました。このように評価していただき、とても嬉しいです。ありがとうございました。関係者の方々に深くお礼申しあげます。
本作品は東京藝術大学の修了制作展で発表された。束芋など日本の日常をシュールなタッチで描くアニメーションや、ウィリアム・ケントリッジ、フランシス・アリスなどのコンセプチュアルで、ポエティックな手描きアニメの要素を兼ね備えた作品である。人が往来する素朴な手描き感を残したリズミカルな線の画面と、街頭の老人のインタビューをアニメーションとして起こした温かみのある画面が異なった大きさで組みあわされたマルチプロジェクションのインスタレーションは、印象的で静かに感情に訴えてくる訴求力をもっている。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
つくられたものを通して、それをつくった人のモノの見方に、説明抜きですっと触れることができたような感覚を体験したこと。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
最近原画制作に使用している素材は、トレーシングペーパー、普通紙、画用紙に、鉛筆、水彩絵の具など。編集作業はパソコンとその周辺機器を使用します。
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
間と質感。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
人が生きている時間と空間。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
漠然としたものを表現するのに効果的で、制作者と鑑賞者が関わりを持ちやすい手法であり、必要に合わせてうまく取りいれていきたいと考えています。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
多くの人や出来事から受けた影響でいまの自分が成り立っています。ひとつにはしぼれません。特に好きな作家は、ウィリアム・ケントリッジ、アニエス・ヴァルダ、鈴木春信など。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
やさしく、深く、おもしろいと思える作品。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
自分と他人とのコンテクストの擦りあわせをするために欠かせない作業。
![平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品 平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品](/festival/images/h1_jusyousakuhin2008.gif)










