ゲーム機のようなインターフェースで音と光を遊ぶ、新しい楽器とでもいうべきデバイス。縦横16個ずつ、256個並んだLEDはスイッチにもなっており、光のパターンを映しだすとともに、サウンドを視覚的に操れるようになっている。企業とともに共同開発し、製品として結実させた成果がインパクトをもって受けとめられた。

岩井 俊雄
メディアアーティスト。1962年生まれ、愛知県出身。筑波大学大学院芸術研究科総合造形修了。1985年に第17回現代日本美術展金賞を最年少で授賞。1997年アルス・エレクトロニカでグランプリを受賞した坂本龍一とのパフォーマンスや、ニンテンドーDS『エレクトロプランクトン』など、光と音と身体の融合をテーマに多くの作品を発表。

西堀 佑
1978年生まれ。慶応義塾大学環境情報学部卒業後、ヤマハに入社。同社のR&D部門である、サウンドテクノロジー開発センターに配属。ヤマハ側のプロデューサーとして、2001年より『TENORI-ON』の企画、開発に携わる。現在、同開発センターにて、新しい音楽インタフェースの研究に取り組む。
「楽器」という、たぶんこれまでの文化庁メディア芸術祭にはなかったジャンルのものがエンターテインメント部門の大賞に選ばれたこと、とても驚きました。『TENORI-ON』は、岩井がメディアアートの進化形としてのプロダクトをつくりたいという長年の想いを、ヤマハが実現したものですが、さらに世界中のユーザーがさまざまに『TENORI-ON』を使ってくれることで完成します。その大きな広がりと可能性を評価していただき、大変嬉しく思います。
音楽制作においては、電気的に合成した音(シンセサイザー)や、原音を録音したもの(サンプラー)が日常的に使われるようになり、“音源”のあり方は、ここ40 年ほどで、革命的ともいえる変化が起こった。しかし、その音源をコントロールするインターフェースは、いまだに、中世以来の鍵盤や、伝統的な打楽器を模したパッドが主流である。大賞の理由は、必然性を持つ革新であること。そして何よりも、ヒトと機械との接面ともいえるインターフェース部分を、ハードウェアとして、商品化まで実現したことである。音楽の知識無しでも、気軽に遊べる装置であることは確かだが、その可能性は未知数である。初めて手にしたプレイヤーたちに、これほどまで新たなチャレンジ意欲を抱かせる楽器(音楽インターフェース)を、ほかに知らない。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
『TENORI-ON』に関しては、岩井とヤマハチームとの出会いがきっかけです。お互いコラボレーションすることで、何かすごく新しいものを世のなかに出せるのではないか、という予感のようなものがありました。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
個人的には紙からコンピュータまで、必要に応じて何でも使います。
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
光と、音と、手で触った感触と操作性、そのすべてが統合されたときの気持ちよさ。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
だれもが根源的に持っている、何かを自分の手でつくりだすことの喜び。それを、自分の作品をきっかけに引きだしたい。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
テクノロジーとは、つねに人間の身体を拡張する役割を持って生みだされてきました。それをさらに物理的なものだけにとどまらず拡張しつつあるのがメディアです。そしてこれらのテクノロジーやメディアには、つねに人間の欲望の善悪両面が顕著に投影されます。そのことをつねに気をつけて創作しようと考えています。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
この時代の、この世界のなかの、この日本に生まれたことに、一番大きな影響を受けていると思います。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
だれもが所有でき、それがその人の生きる力、幸せにつながるもの。それが理想です。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
生きる喜び、そのものです。
![平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品 平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品](/festival/images/h1_jusyousakuhin2008.gif)









