道端に捨てられた空き缶が徐々に腐食していくようすを精妙なCG技術で描写。そのリアルな表現に目を奪われると同時に、人間の判断でリサイクルを決めるのは一瞬のことだが、自然にまかせると50年を要するという環境問題への強いメッセージが込められている。

「Carbon Footprint」製作チーム 代表 Matt CHANDLER
1980年イギリス生まれ。ボーンマス芸術大学でミニチュア・モデル効果及びプラクティカル・モデル効果を専攻し、学位を修める。フリーのデジタルアーティストとしてゲームや放送業界で活動した後、Jellyfish Picturesに就職。卓越した視覚効果技術により、BAFTA をはじめ VES (Visual Effects Society) などの賞を多数受賞。
この作品は、世界中の人に見てもらえる映像であっただけでなく、ビジュアル・エフェクト・ツールキットを利用するにふさわしい素晴らしい機会だったので、特に開発と制作を楽しむことができました。できる限り豊かなリアリティーを出すために、最初から最後まで一コマ一コマを丁寧につくり上げた作品です。今回、映像とアートが大きな影響力を持つ日本という国で作品が評価されたことを非常に誇りに思っています。
道端に何気なく捨てられたドリンクの空き缶が、50年かけて腐食し、風化していく映像を一気に見せていく。そして、最後のメッセージへと繋がってゆく。「IT TAKES A SECOND FOR YOU TO RECYCLE A CAN. IT TAKES 50 YEARS FOR A CAN TO RECYCLE ITSELF」。このメッセージ自体も、事実をふたつ並べただけのクールなものでチャンネル局のイメージとの相性がよい。それでいて確実にひとつの結論をメッセージとして伝えている。途中で芽を出しはじめた植物が、最後には切り倒された切り株になっている等、細かな演出もうまく取り入れられている。高度な画像処理技術と、その技術を見事に使いこなし、シンプルで効果的にメッセージを見る者に伝える力強い表現となった。非常に洗練されたクオリティーの高い作品である。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
作品をつくるきっかけは、もちろんクライアントからの依頼によるものが多いのですが、もし仕事ではなかったら…それに、もし私がクリエイティブな業界でプロとして仕事をしていなかったとしたら、それでもきっと家で何かアート作品を創っていたと思います。創作は、私が楽しいと思えることで、自然に行なってしまうものです。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
最近ではコンピューターをメインに使っていますが、最初の段階では紙と鉛筆でスケッチや落書きから始めることもよくあります。2Dや3Dのアプリケーションを頻繁に使うのですが、いろいろなパッケージのなかのツールや機能の使いたいところだけを使うことが多いです。1種類のアプリケーションソフトに頼ることはありません。
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
どのプロジェクトでも、毎回最高の水準に達することを目指しています。だれでも、満足いかないものを作るために時間を費やしたくはないですよね。最も重要なのは、自分で満足感を持てるかどうかです。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
何事もシンプルにしようと常に心がけています。複雑に見えるプロジェクトでも、最も簡単な解決法が見つかるまで分解・解析していきます。しかし時にはそれだけではどうしようもないときもあります。そんなときは潔く新しい技術やアプリケーション/ツールの助けを借りて目的を達成します。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
私の作品は、テレビや映画、インターネットで見られるもので、すべてが目に見えるものです。昔から言われているように、百聞は一見にしかずだと思います。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
私たちの人生には、いたるところにクリエイティブな人たちとクリエイティブな作品が満ちあふれています。私には好きな映画監督、アーティスト、映画、音楽などがいろいろあります。それらすべてが混然一体となって、私にとってのひとつの大きな影響力となって息づいています。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
アイデアや今後のプロジェクトについては友人や同僚といつも考えています。私の周りには、スケッチブックや紙に今後のプロジェクトについて書いたものが何百も散乱していますから、後はそのなかから選ぶだけです!
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
何かを創作することは達成感と満足感を与えてくれます。自分がつくったもの、自分が決断を下し、個人的な意見を反映させたものに対して人が反応したり答えてくれたりすると、つくりたいという欲求がもっと強くなります。私にとって「創作する」とは目的を持つことです。
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