平成11年度[第3回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

マンガ部門

マエストロ
c さそうあきら / 双葉社
優秀賞

マエストロ

ストーリーマンガ

作者: さそう あきら

(日本)

作品概要

解散した中央交響楽団に突如現れた謎の老人指揮者、天道。指揮者という難しいキャラクターを魅力的に描き、オーケストラが天道によって導かれ、再生されていく姿を描いている。フルート、オーボエ、ホルン…と次々と表出する楽器たちから、いまにも音が聞こえてくるような臨場感あふれる作品。

作者プロフィール

さそう あきら

さそう あきら

1961年生まれ。小学生時代インドのボンベイで過ごす。早稲田大学第一文学部卒業。1984年、『シロイシロイナツヤネン』で、ちばてつや賞大賞を受賞しデビュー。1999年、『神童』で、文化庁メディア芸術祭優秀賞、手塚治虫文化賞優秀賞を受賞。ほか代表作に『俺たちに明日はないッス』など。2006年から京都精華大学マンガ学部マンガ学科の専任教員に就任。

受賞コメント

白い紙に落とされた黒いインクのシミ…。マンガという単純な表現のなかで色や音や匂いや味、触感といったものが幅広く表現することが僕の常日頃の課題です。『マエストロ』では「音」をどうやって読者に伝えるか、ということをいつも考えていました。受賞はその点が評価されたものであると思っています。まだまだ足りない部分も多いですが、より豊かな表現を目指して精進してまいります。ありがとうございました。

贈賞理由

音楽の世界を、全く音のない二次元世界のマンガに表現するのは実に至難の業だ。しかも無名の老指揮者とコンサートマスターの若者を軸に、オーケストラ団員のひとりひとりの楽器と演奏者が持つエピソードを巧みに織りこみながら最後の「演奏会」に読者を招きいれる。ときに弦を弾いたり、管楽器を吹奏する場面では、音楽だけでなく奏者の緊張や息づかいまでが聴こえてくる表現は驚きだった。さそうあきら氏は、まぎれもなくマンガ界のマエストロになった。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
『神童』で少女ピアニストを描いて以来、次は指揮者をマンガに描いてみたいと思っていました。楽器を持たない唯一の奏者、指揮者の仕事とはどんなことなのかを描いてみたかったのです。音楽は、できていく過程が一番おもしろいと思うのですね。『神童』では描けなかった「合奏の楽しみ」を描く、ということも重要な課題でした。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
ボールペンで描いたものをパソコンに取り込んでPhotoshopやComicstudioで仕上げています。
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
一言でいえば・・・リアリティ=説得力です。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
人間が世界をどのように認識しているのか、ということを読者に意識させるような表現。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
マンガはもともと印刷の都合上、白と黒の表現を強いられてきた媒体だと思います。 逆説的ですが、昔は「白か黒か」というデジタルだった表現が、PCを使うことによって、よりアナログな、たとえば水彩のような表現ができるようになってきたということがありがたいです。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
大学で漫画研究会に入ったこと。その年に創刊された「漫金超」春の号を読んだこと。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
春から「コミックバンチ」で離れ島の少年と海女との恋物語を描く予定です。音楽マンガはあと3つ描きたいテーマがあるのですが、死ぬまでに全部描けるかどうかわかりません。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
愛読してくださる読者の皆さんにはもうしわけない表現なのですが、「排泄する」という感じが一番近いです。

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