国際的な拡がりをみせつつある文化庁メディア芸術祭
― 浜野 保樹(東京大学大学院教授)
アート部門は以前から海外作品が受賞することが多かったが、最近では他部門でも海外作品が最終審査に残ることが多くなってきた。
国内賞として出発した文化庁メディア芸術祭は、海外に門戸を開くかどうかについて真剣に議論し、海外に門戸を開くということを審査員の総意として決定をみるに到った。海外の優れた作品を、こういった機会を通して紹介することも、わが国のメディア芸術の振興という文化庁メディア芸術祭の目的に沿うものであるとの判断からであった。それから10年近くになるが、最近では海外からの応募数と応募国数も増加している。
海外に門戸を開いた後も国際賞であることを表明していないのは、これまで海外で芸術としてこなかった作品群を芸術と言いきった「メディア芸術」という新しい視座をわが国から発信したいということが、目的のひとつであったからだ。国際賞であるためには作品だけでなく審査員も海外に門戸を開く必要があるが、文化庁メディア芸術祭の審査員が現在も国内の専門家で構成されているのは、そのためである。ただ文化庁メディア芸術祭の趣旨に賛同していただくなら、海外からの審査員もあり得るかもしれない。
製作に巨費を投じる商用作品では、話題作との競合を避けて公開する傾向が強いため、話題作がある年とない年では商業作品の公開本数などに大きな開きがある。本年度はアニメーションやゲームなどに、その傾向が見られ、特にアニメーションの審査結果が顕著に表れている。
1951年生まれ。国際基督教大学助手、新潟大学教育学部助手、メディア教育開発センター助教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科助手を経て、現職。主に、映画、マンガ、アニメーション、ゲームといったメディアアート関連の研究で知られる。著書に『表現のビジネス―コンテント制作論』(東京大学出版会)ほか。
![平成20年度[第12回]文化庁メディア芸術祭 審査総評 平成20年度[第12回]文化庁メディア芸術祭 審査総評](/festival/2008/images/h1_shinsasouhyou.gif)


