下町に立つ1本の電信柱が抱く恋心と葛藤を描いたストップモーションアニメーション 。
長い年月をかけて手作業にこだわった画面の質感、心に響く音楽、そしてどこか懐かしくて切ないストーリーが、やわらかな温もりを感じさせる。

中田 秀人(ソバットシアター)
ソバットシアター代表。1972年生まれ。兵庫県出身。1997年に3名の造形技術師、松尾憲樹・細井浩和・増田成朗とともに制作チームを結成。短編のストップモーションアニメーション作品と並行して立体造形展示を行ない、国内外の映画祭やイベントで高く評価されている。
『電信柱エレミの恋』は、長い年月をかけた小さく静かな作品なのですが、このような意義ある芸術祭で認めていただけたことを、本当に嬉しく思います。支えてくださった関係者の方々、この受賞を一緒に喜んで下さった観客の皆さまに、心から感謝しております。本当にありがとうございました。
立体アニメーション、とりわけ人間キャラクターの登場する人形アニメーションにおいて、そのキャラクターの造作と動きは、瞬時にその作品のクオリティを観客に提示してしまう。しかし本作のキャラクターの造作には的確に人格を、動きには丁寧に感情を伝えるクオリティがある。そのクオリティは、キャラクターだけではない。懐かしい時代がセットや小道具で豊かに再現されている。電線に止まる雀の造形ひとつをとっても、折りたためる翼のつくりこみなど、並大抵にはできぬ細やかさを感じる。これらすべてのディティールにこめられたこだわりこそが、本来ものいわぬ電信柱に人格をもたせるというファンタジーを、心情的なリアリティをもって成立させているゆえんである。そしてなりよりも、この静かで優しい作品と8年間向きあって、確信的にアナログ立体アニメーションという手法を選び、完成させた作者の熱い「執念」にエールを送りたい。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
イメージを実像にさせてみたくなる欲求とか衝動です。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
鉛筆、紙、木、粘土、絵の具、Mac
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
映像に映らないところに肝心なものがあり、それを伝えるには、映るものすべてが大事なのだと思います。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
ストップモーションアニメーション制作の場合は、立体物である価値と、そのおもしろさを見失わないことを心掛けています。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
表現手段のひとつとして、さまざまな可能性を与えてくれます。ですが、最新の技術がそのまま最良の作品を生みだすというわけでもありません。その手段をどのように使うか使わないかということなのだと思います。
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
一番というのはないです。これまでに出会った多くの人や出来事が、自分に蓄積しています。
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
『電信柱エレミの恋』の続編以外。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
道です。
![平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品 平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品](/festival/images/h1_jusyousakuhin2009.gif)









