平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アート部門

growth modeling device
© David Bowen
大賞

growth modeling device

インスタレーション

作者: David BOWEN

(アメリカ合衆国)

MOVIE

※動作環境に関してはこちら

作品概要

玉ねぎの地上部分の成長の度合いに基づいた動的インスタレーション。このシステムは観察者と創造者の役割を果たし、変わりゆく生きた対象物を限定的かつ機械的に投影したオブジェを創りだす。単純なレーザーの目を通して、有機的に活動しているものを実を結ばない複製品に変え、自然を工業素材で再生しようとしている。

作者プロフィール

David BOWEN

David BOWEN

1975年、アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス生まれ。スタジオ・アーティスト、教師。その作品は、国内外の個展やグループ展で展示されてきた。1999年、インディアナ大学のヘロン・スクール・オブ・アートで美術の学位、2004年にはミネソタ・ミネアポリス大学で美術修士号を取得。現在、ミネソタ・ダルース大学の彫刻および物理的コンピューティングのコースで准教授を務めている。

受賞コメント

文化庁メディア芸術祭に作品を応募することを決めたのは芸術祭の評判が大変高いこと、それから過去の芸術祭をリサーチしたところ選出作品の質の高さと多様性に感心したからです。 アート部門の大賞を受賞したとわかり、とても興奮し名誉に思いました。文化庁メディア芸術祭で私の最新作を発表する機会に恵まれワクワクしました。 実際に芸術祭に出席して、展示された作品の高い質に改めて感銘を受けました。また芸術祭の実行委員の方々のプロ意識にも大変感心しました。組織力とサポートのおかげで、インスタレーションは極めてスムーズにいきました。贈呈式やプレゼンテーション、シンポジウムの運営もスタッフの方々の大いなる努力によるもので、こうしたイベントに参加する準備をするのに、大変助けられました。すべてのことが極めてうまく運営されていました。 文化庁メディア芸術祭は、私がこれまで参加したこの種のフェスティバルのなかでもっとも運営能力の高いフェスティバルのひとつであると思います。 フェスティバルでは私の作品について何人もの人とすばらしい話を交わすことができました。作品に少し当惑気味の人もいるようにみえましたが、全体としてポジティブな反応でした。

贈賞理由

18世紀以来、芸術表現はまず時間芸術か空間芸術かで弁別され、それぞれのメディアの特質によってジャンル区分されてきたが、20世紀になると時間や空間という客観的尺度こそメディアによって組織された人間的事実にすぎないことが自覚されるようになった(ここが20世紀の思想と芸術の出発点である)。これを継承し、現在メディアアートと呼ばれるものの重要な可能性は、時間と空間の再組織、定義にこそ関わっている。 David BOWENの『growth modeling device』は成長するタマネギを1日ごとに立体像として複製する機械だが、本来generationとは時間的持続から空間的分裂(複数化)への置き換えを意味していた(時間は空間的分裂が導くひとつの解に他ならない)。時間の形象化は彫刻や映像という表現メディア史を貫く理論的核心でもあった。この作品に示されているのは時空間の生成装置としてのメディアへの深い洞察である。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
私の作品は相互作用や反作用や生成のプロセスから生じる美と関わっています。私が制作するシステムや装置や状況は、作動させると置かれている空間認識や空間との相互作用に基づいて、線画、運動、合成物、音、物体をつくり出します。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
帯ノコやボール盤のような、組立工場で使う道具を使います。最近のほとんどの作品は、プログラム可能マイクロコントローラーやコンピュータを使ってプログラムする、シンプルなロボット工学を使用しています。
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
自立性の可能性を重視していると思います。いつか、据えつけたら介入の必要なく作動する装置かシステムをつくりたいのです。おそらく自然のシステムと機械的なシステムの間の、完全に自立的な生成的相互作用を使うだろうと思います。
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
初期の作品では、私の目的は自然のシステムと機械的システムの間の相違を出すことでした。これらの要素をさらに探求すると、両システム間に多くの類似点が見つかります。深く追求するなかで、特に惹きつけられるのがこれらの類似点なのです。
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
作品に使うテクノロジーは、もうひとつの道具あるいは素材と考えています。私はスチールで彫刻をつくることから始めました。コンピュータ、マイクロコントローラーそしてメカトロニクスコンポーネントを彫刻に対する鋼鉄やプラスチック、アルミニウムと同じように素材としてとらえているのです。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
スタジオでの実習でいちばん影響を受けたのは指導者のGuy BALDWINです。 BALDWIN教授はアナログインプットとアウトプットとスチール製作を用いたキネティック彫刻を作る専門家です。もちろん彼は私の作品の技術的な面で大きな影響を与えたのですが、彼から教わったことでもっとも重要なのは、自分というものをそれほど生真面目に受けとめないようにということです。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
もっと自立して作動する能力を持つ、技術的にさらに進んだ作品をいつかつくりたいと思います。技術的により高度なシステムはより大きく複雑な相互作用を生む可能性があると思います。
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
新しい作品のためのアイデアがあると、執拗に突き詰めます。この間、スタジオへと私を駆り立てる力はとても強く、ある決断にいたるまでやめることができないと自分自身感じるのです。技術的な制限や予期せぬ結果により、もとのアイデアとは違う展開が生まれることがよくあります。完成した作品のもっともおもしろい部分は、こうした予期せぬ要素であることがよくあります。

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