平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品

アート部門

Braun Tube Jazz Band
© 2009 和田永. All rights reserved.
優秀賞

Braun Tube Jazz Band

パフォーマンス

作者: 和田 永

(日本)

MOVIE

※動作環境に関してはこちら

作品概要

ある日、脳内に鮮烈な光景がスパークした。それは、捨てられた電化製品がとある町のストリートで楽器として演奏されているという光景。これを出発点に、私はブラウン管テレビとPC制御したビデオデッキを音階の数並べ、ガムラン打楽器セットを制作。複数のブラウン管を叩くことで、原始的かつ惑星的電気音楽を演奏する。

作者プロフィール

和田 永

和田 永

1987年不時着。物心ついたころに、ブラウン管テレビが埋め込まれた巨大な蟹の足の塔がそびえ立っている場所で、音楽の祭典が待っていると確信するにいたる。しかしある時、地球にはそんな場所はないと友人につっこまれ、じゃあ自分でつくるしかないかと開き直り、日夜ブリコラージュ。

受賞コメント

メディア芸術祭はプロ・アマを問わない点が非常におもしろいです。展示では個人レベルで生まれたものと、企業レベルで生まれたものが同時空間に並び、それは一種の混沌ではあるけれど、ほかには例のない幅広さを感じます。その点で、技術やお金のかけ方だけではなく、作品の持つテーマにも評価ポイントが置かれているのはとてもよい傾向だと感じます。けれども、設置されている部門には難しい部分があるようにも感じます。カテゴリーという問題において。展覧会は、実物を鑑賞すること、生でパフォーマンスを観ること、作家の話を直接聞くことに重点を置くことが大事です。今年のプレゼンテーション・ステージの設置はそこを盛り上げていたと思います。作品の傾向によっては、ライブ企画、実物展示(特にアート部門のインスタレーションもの/インタラクティブもの)はなるべく増やすべきだと思います。そこに行かなくては体験できないこと・もの、をどう生むかが大事です。

贈賞理由

メディアの存在という抽象的な概念について具体的に提示される機会は比較的に少ない。この作品ではシャノンの情報理論を具体化したような、メディアについて改めて考えさせられる出来事が存在した。「ある日、サウンド接続ケーブルをコンポジットビデオコネクターに挿してしまったことで、画像化されてしまった。それを見て、カメラで再録画し、それをサウンドに出力したら、同じ音が再生されるのではないかと考えた」。この発見から、この作品は始められた。つまり、音は画像化しても音として復元できるということだ。 ひとは日常的にさまざまなメディアを扱いながら、具体的な結果からしかメディアを判断していないのではないか。この作品は、私たちに改めて、可塑性や復元性のある技術を利用した世界で表現や生活をしている自覚を与え、また、それを表現へと高めている。

8つの質問

Q1
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
A1
何かを発見したとき、頭の中で物語や映像がスパークしたとき。
Q2
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
A2
Q3
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
A3
グルーブ感
Q4
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
A4
ファンタジック・リアリティ
Q5
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
A5
新しい古いではなく、おもしろい考えや技術は積極的に取り入れてドッキングします。
Q6
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
A6
10歳くらいの頃の記憶。奇妙な絵が描かれた薄い紙の入れ物に、黒い円盤が入っていました。埃をかぶった機械にその円盤を乗せ、回転させます。針のついた棒を落とすと、音が聞こえてくるのです。まるで魔法。そのとき聞こえてきたのは、衝撃的な音楽。歪んだ音や声や楽器、鳴り響くビート、爆発するイメージ。
Q7
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
A7
土とエレクトロニクスが調和する音楽の祭典
Q8
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
A8
旅をすることです。