scoreLight
楽器
作者: Alvaro CASSINELLI / 真鍋 大度 / 栗原 優作 / Alexis ZERROUG
(ウルグアイ・イタリア/日本/フランス)
※動作環境に関してはこちら

Alvaro CASSINELLI / 真鍋 大度 / 栗原 優作 / Alexis ZERROUG
Alvaro CASSINELLI
1972年ウルグアイ、モンテビデオ生まれ。フランスのパリ第11大学で工学(ENST)学位と物理の博士課程を修める。現在、東京大学(石川小室研究室)助教。2004年からメディア芸術作品の制作を始め、第9回文化庁メディア芸術祭アート部門大賞、アルス・エレクトロニカ「Honorary Mention」賞などを受賞。
真鍋 大度
1976年生まれ。現在、株式会社ライゾマティクス取締役。東京理科大学理学部数学科卒業後、国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)DSPコース終了。
制作協力:栗原 優作、Alexis ZERROUG
この賞をいただき大変喜んでいます。少し安堵感もあります。実際、この作品は私たちにとって分類することが難しかったのです。人々に体験してもらいたいと思いましたが、最後まで『scoreLight』をゲーム、楽器、あるいは受動的に鑑賞する作品のどれで提示すべきか考えました。『scoreLight』は緩やかな進化的プロセスの結果です。ハードウェアは最初、石川小室研究室で、人間と機械のコミュニケーションのための入出力インターフェース(スマートレーザースキャナー)として考え出されたものです(この場をお借りして研究室の石川正俊教授と元同僚のStephane PERRINの協力にお礼を申しあげます)。しかし初めから、このハードウェアにはもっと伝えることがあると感じました。レーザーの光はあまりにも美しいし、動きは極めて滑らかで、光の点はほんとうに生きているように見えたのです! 走る光を閉じ込める迷路から可聴化(sonification)の可能性まで(Golan LEVINがふと発した言葉により、直観が確かなものになりました)、あらゆることをもっと試したいと考えました。真鍋さんが制作した魔法のような音を初めて聞いたときは、本当に感動しました。私にとって『scoreLight』は、いかにテクノロジーが機能を超え、美しさを輝かせることができるかの見本なのです。それはまた、共同制作の成功例でもあります。この作品を大勢のいろいろな人たちに見てもらうすばらしい機会をくださった文化庁メディア芸術祭に感謝を述べたいと思います。(Alvaro CASSINELLI)
エンターテインメント部門、アート部門、ともに自分の関わったプロジェクトを評価していただき大変光栄です。来年も応募できるような作品を制作できればと思っています。(真鍋 大度)
CASSINELLI:研究者としての私の仕事は開発することばかりではなく、つねに新しいテクノロジーの可能性について熟考することです。メディアアーティストとしての私のやり方にも、あまり違いはありません。私たちを取り巻く「リアリティ」の潜在性について敏感でいることがすべてです。両者の態度はもちろん補いあうものです。
真鍋:『scoreLight』は、Alvaro CASSINELLI君がいる東京大学石川研究室で作られたレーザートラッキング技術が元となっています。それをAlvaro君に見せてもらい、サウンドでプロジェクトに参加してほしいと言われたのがきっかけです。レーザーの動きを見ているだけでも十分楽しい、でもそれだけでは技術のデモでしかない。音を付けることで作品になり、新たな「映像-音」のインタラクションの可能性を提示することができると思い参加しました。
CASSINELLI:コンピュータ、カメラ、プロジェクター、レーザー。
真鍋:Xcode、MaxMSP、Super Collider、Ableton Live、Logic、Protools、数々のプラグイン
CASSINELLI:第一に、「コンセプト」(つまり作品の背後にあるアイデアの美しさ)。次に人間の創造性を知覚し、表現する新しい方法を開くための作品の潜在的力。最後に、といっても、重要なこととして、最終的な具体化に現れる美学です(しかしこの最後のものに満足することは決してありません)。
真鍋:いままでやったことがないことにチャレンジするところですね。そこさえクリアしていればたとえ作品にならなくても、制作する価値はあると思っています。ひたすらトライして作品の種を探すプロセスが重要かつ楽しいですね。
CASSINELLI:実際のところわかりません。ある日ひとつのパターンが現れるかもしれません(しかし、私がやるのは感覚の延長や連動に関わるばかりでなく、また空間と時間のコンセプトにも何らかの方法で関係していることが多いのに気づきます。)
真鍋:プロジェクトごとにおもしろいテーマを見つけて制作しています。よって、いわゆる作家性や世界観というものは無いと思いますが、ここ3年間でつくったものを振り返ると一貫性があって、主に幼少時代に遊んでいたゲームや大学時代に興味を持っていた数学や音楽の影響を受けているのがわかっておもしろいですね。
CASSINELLI:逆説的ですが、作品においてテクノロジーを使うことは単に偶然であると感じます。逆説的というのは、そのような「進んだ」表現方法が、たまたまいま私にとってよりわかりやすい方法であるからです。しかし自分を表現するのにもっと「古典的」な方法を排除するものではありません。
真鍋:テクノロジーはツールでしかないので、普段あまり意識することはないです。ハイテクである必要もないですし、組み合わせの問題ですね。
CASSINELLI:多くの影響を受けました! おそらくアート全体に対する現在の私の姿勢に、最も役立つ影響を受けたのは兄からで、彼は辛抱強く(あるいは辛抱を失いながら!)現代美術に私の目を開いてくれたのです。
真鍋:いまでは数えきれないくらいの人や作品から影響を受けているので、幼少の頃に限って言うとナムコのゲームですね。小学生の頃、ナムコのゲーム音を再現しようとDX-7をいじり倒していたのですが、いまやっているサウンドのプログラミングはこの頃の延長な気がします。メロディの耳コピもやっていましたが、車のエンジン音やパックマンのエサを食べる音等、効果音をつくっていました。そういった環境があったのは、当時母親がYAMAHAに勤めており、日々シンセを触っていたからだと思います。また、basicやツクールシリーズでつくっていた自作のクソゲーや、ゲームブックは”場合分け”を用いてモノをつくった初期の体験ですね。
CASSINELLI:いまかと出番を待つプロジェクトのリストは長くなるばかりで、集中しようと努力しても、普通は、自分が夢中になるのがどのプロジェクトになるかは決してわかりません。時間が経つと、斬新な感覚を保つのは難しいので、まったく新しいことがより魅力的に見えることも多いです。ですからこの質問にいま答えることはできません。でも、抽象的には答えられます。もっと大きな空間の仕事をしたい。現在はあまり空間をもたないので、このことが自分の考えを妨げて、縮こまらせています。ウェアラブルなコンピュータの研究についてはこの態度は役立つかもしれないけれど、でも私は最近やや密室恐怖症のように感じます。
真鍋:依頼を受けた際に興味を持っていることと結びつけて何か制作すると思います。 最近は、空中と立体に関する作品を制作しています。
CASSINELLI:アイデアがどのように「リアル」になったか、動くのかを見たいという強い思いと陶酔感です。現実のもの(限界のある)が有無をいわせず姿を現し、アイデアに取って代わる前のほんの短い間の魅惑的な実験です。この瞬間次に進むか、あるいは共同制作者の創造力から新鮮な空気を求めるのがいいのかもしれない。そして、それは創造について二番目に私が好きなことです。つまり豊かな人間的経験であり、他の人と遊ぶゲームであり、感性を互いに交わすことなのです(今回はこのことを楽しむことができました!)。
真鍋:問題を自分で設定するということでしょうか。今回応募した作品は、自分たちで始めたプロジェクトなので創作ですね。クライアントのいる開発仕事では手を動かしてモノをつくっていますが、問題解決がメインなので創作とは呼べないと思います。創作活動だけを行なうことは自分の性格上厳しいので、バランスよく両方やりたいですね。
![平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品 平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品](/festival/images/h1_jusyousakuhin2009.gif)










