夏休み早々部活禁止になってしまった少女、琉花は「海」と名のる不思議な少年と出会う。水族館の大水槽で自由自在に泳ぐ海の姿に心奪われた琉花は、彼が「空」とともにジュゴンに育てられた少年であることを知る。その頃、隕石が海に落ち世界で魚が消えていた。海の神秘は深まり、地球の命の物語へと広がってゆく。

五十嵐 大介
1969年生まれ。1993年「月刊アフタヌーン」(講談社)で四季大賞を受賞してデビュー。2002年自らの自給自足体験に裏打ちされた『リトル・フォレスト』を発表、注目を集める。2004年『魔女』で文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。現在「月刊IKKI」(小学館)で『海獣の子供』を連載中。
この度はお世話になりました。すべての部門の受賞作がすばらしく、自分が受賞したことを改めて光栄に思いました。ありがとうございます。展示についてですが、原稿を大きく引きのばした展示は迫力があってよかったと思います。ただ、他の部門の展示は動きのあるものが多かったので、マンガ部門の展示はやや情報量が少ない印象をもちました。受賞作(特に大賞作品)に、もう一歩踏み込む工夫が加われば、さらに見応えのある展示になったと思います。
『海獣の子供』こそが、今という時代を代表する作品なのかもしれない。環境危機を受け、「文明」に対する批判、懐疑が世界中を覆っている。人類はこのままでいいのか? 私たちは間違っていなかったのか? そんな人類すべての恐れや想いを五十嵐大介は美しいファンタジーに変えた。これは少年と人類の運命と、そして大きな大きな海そのものの物語だ。いままで誰がこんな海を、海原と深海を描けただろうか? 人を描ける作家はいくらでもいる。しかし海や自然をここまで描ける作家がいただろうか? 五十嵐の筆にのって、私たちは海のなかを旅するイルカや大王イカと戯れることができる。マンガで世界は変えられないかもしれない。でも、このマンガで新しい世界をイメージすることができる。それは未来のひとつの可能性、人類と地球とのありかたのイメージだ。内向きで瞬間的な快楽ばかりがはびこる時代に、大きく未来を観るひとつの作品が生まれた。この作品が「日本のマンガ」のなかから生まれたことを私たちは誇らしく思うべきなのかもしれない。
「作品をつくりたい」と思ったのは、どんなことがきっかけでしょうか?
旅先で見た海の美しさに圧倒されて、受賞作を構想しました。
現在、おもに使用している創作ツールは何ですか?
墨とペン
作品に対して、最も重視されているところはどこですか?
マンガならではの表現。
創作活動を通して、持ちつづけているテーマは何ですか?
この世界の大きさ、不思議、可能性。
テクノロジーを使った表現や、メディアという伝える手段をどのように考えて創作されていますか?
(解答なし)
あなたが一番影響を受けた、人物や作品、出来事を教えてください。
いままでに出会ったすべてのこと
今後どのような作品を創作していこうと考えていますか?
これまでのテーマをさらに追求していきたい。
あなたにとって「創作する」ということは何でしょうか?
「業」…でしょうか。
![平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品 平成21年度[第13回]文化庁メディア芸術祭 受賞作品](/festival/images/h1_jusyousakuhin2009.gif)









