― 浜野 保樹(東京大学大学院教授)
文化庁メディア芸術祭の応募作品が毎年増加の一途をたどり、海外からの応募もついに50ヵ国を突破し53ヵ国となった。海外からの応募作品を日本の作品と同等に審査するためには、翻訳業務などが必要となり、事務局の作業量も増加している。量だけではなく質的向上も急なために審査に時間を要し、審査委員のメディア芸術に対する情熱で、過重な負担をなんとか耐えているといった状況が続いている。メディア芸術の振興を通じて海外との交流が増えている昨今、メディア芸術祭の存在意義は一層大きくなっているため、厳正な審査による作品の選定と、その紹介という責務を引き続き果たすためには、審査体制の拡充が必要になっている。
本年度は「特別功労賞」という特例処置がとられた。2009年7月21日に57歳で急死された金田伊功氏に対して、多くのアニメーション関係者から功労賞候補にしてほしいという嘆願があった。功労賞は多年にわたる功績のあった個人を顕彰するものとして第7回から設けられたが、死後贈賞は行なわない決まりになっていた。金田氏がご存命であれば業績からして、いつの日にか功労賞候補になっていたことは間違いなく、作品以外には氏の名前を伝えていく手立てがないことや、これまでに顕彰されていないこと、そして多数のアニメーション関係者からの強い要望もあり、運営委員と審査委員との協議の上、特例措置として「特別功労賞」を授与することに決定した。金田伊功氏の功労を長く伝えるとともに、アニメーターの仕事の重要性を再確認する一助となれば幸いである。
1951年生まれ。国際基督教大学助手、新潟大学教育学部助手、メディア教育開発センター助教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科助手を経て、現職。主に、映画、マンガ、アニメーション、ゲームといったメディアアート関連の研究で知られる。著書に『表現のビジネス―コンテント制作論』(東京大学出版会)ほか。
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