海外フェスティバルレポート

中国国際動漫遊博覧会とアジア芸術科学学会学術大会レポート

中国の、国際的なアニメ・マンガ・ゲームのフェスティバル「中国国際動漫遊博覧会」と「アジア芸術科学学会作品展」が、上海市内のイベント会場「上海展覧中心」で、7月28日から8月1日の5日間にわたり開催された。また、「アジア芸術科学学会学術大会」が7月29日に開催された。

「中国国際動漫遊博覧会」は、政府文化部と上海市が中心となって開催し中国、韓国、日本の企業や教育機関が出展する見本市である。今回は、来年度正式開催の「ASIAGRAPH」の前段階のイベントとして中国、韓国、日本のメディアアート作品による「アジア芸術科学学会作品展」が同会場の2Fで同時開催された。

中国、韓国などアジア諸国との交流の一環として、文化庁メディア芸術祭の受賞作品を紹介する映像作品の上映展示も同会場で行なわれた。
開催地 中国・上海「上海展覧中心」
開催期間 2005年7月28日〜8月1日
参加概要 優秀作品上映
上映場所 上海展覧中心2F回廊
■中国国際動漫遊博覧会とアジア芸術科学学会作品展

中国国際動漫遊博覧会には、中国、韓国、日本からさまざまな企業が出展していた。なかでも人気なのはやはり日本の大手ゲーム会社で、大きく派手なブース設営と過激な露出のキャンペーンガール、大きな紙袋の組み合わせは日本のイベントそのままで、多くの観客を集めていた。しかし、企業ブースのデザインや手法が日本そのものなのはまだしも、来場者のスタイルや嗜好が日本と同じなのには驚かされた。近年急速に中国都市部の若者はおしゃれになっており、上海市内を歩いている学生の服装は日本とさほど変わらない。 にもかかわらず今回の会場には、明らかに服装にこだわらず、 マンガやアニメグッズを買いあさる「中国版おたく」とでも呼ぶべき若者が多数見うけられた。 日本製のアニメ・マンガ・ゲームによって、アジアの若者の精神構造と行動スタイルが急速に均質化しているのだと実感した。何より驚いたのは、企業ブースと距離を置き、会場のはずれで催されていた、コスプレショーの存在である。若いアニメファンたちが自主開催しているようだが、演者も観客も大いに盛り上がっていた。会場中あちこちで、日本のアニメキャラクター姿のコスプレマニアも見うけられ、ファンに囲まれ、被写体になっていた。

出展ブースとしては物販だけでなく、中国、台湾などのCG・映像プロダクションが数多く見うけられた。キャラクターデザインの主流はピクサーテイストと日本テイストに二分されるようだが、なかなかよいできのものもあり、クリエイティブ面でも日中の格差が小さくなっていることを実感した。また、アニメ・CG系の大学、専門学校の出展も数多く見られた。中国全土では、2千ものアニメ・CG系学科が設置されたとのことである。

  アジア芸術科学学会作品展は2階の回廊部分で開催され、中国、韓国、日本から62名の作家が参加し、静止画パネルとアニメーション作品の上映展示が行なわれた。文化庁メディア芸術祭の受賞作品も並んで上映され、大勢の観客が見いっていた。
アジア芸術科学学会学術大会

アジア芸術科学学会学術大会は、同じく上海市内の「上海マルチメディアビル6F」に、会場を移して開催された。中国、韓国、日本の研究者の論文発表に先立ち、特別セミナーとして「押井守の世界を語る」と題し、「イノセンス」「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」などを制作した石川光久(プロダクションI.G代表)氏が講演。つめかけた関係者や学生が熱心に聞きいっていた。


午後からはテーマごとに6会場にわかれ、中国、韓国、日本からの30人以上の研究者が発表を行い、来場者はそれぞれ興味のあるテーマの会場を回っていた。

まとめ

アジア芸術科学学会は2004年7月17日に設立された、科学と芸術の融合分野の学術団体であり、現在は中国、韓国、日本の研究者やCGアーティストを中心に、マレーシア、インドネシア、フィリピン、台湾も参加している。今年中にアジア16ケ国の参加を目標にしており、今回のアジア芸術科学学会学術大会は、2006年開催予定の「第1回ASIAGRAPH」の基盤行事と位置づけられている。今大会の組織委員の一人である東西大学の金教授は、来年の「第1回ASIAGRAPH」開催に、なみなみならぬ意欲と決意を固めていた。

「ASIAGRAPH」開催により、アジアのメディア芸術の振興と発展が加速され、各国の若いアーティストの交流が一層活発になることと、そこからアジア特有の視点と感覚で描かれた優れた作品が次々生まれてくることを期待したい。

Text & Photo
喜多見 康
アジアグラフィック代表

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