海外フェスティバルレポート

Electrofringe 2006 レポート

2006年9月28日から10月2日まで、オーストラリア、シドニー郊外のニューキャッスル市にて「Electrofringe」が行なわれました。シドニーから北へ電車でほぼ3時間の距離にあるニューキャッスルは、ニューサウスウェールズ州内で2番目に大きく、オーストラリア内でもシドニーに次いで2番目に歴史がある町です。穏やかで温暖な気候を利用したワイナリーやサーフィンが有名で、市内はどこかイギリスの雰囲気を感じさせる町並みです。Electrofringeは今年で10周年を迎えたメディア芸術、デジタル音楽祭で、期間中にはニューキャッスル市のダウンタウンを中心にワークショップや作品展示、ライブパフォーマンス、カンファレンスなどが行なわれました。
開催地 オーストラリア・ニューキャッスル
開催期間 2006年9月28日(木)〜10月2日(月)
URL http://www.electrofringe.net
■ワークショップ

フェスティバル期間中には多くのワークショップが行なわれました。ワークショップには地元オーストラリアを始め海外から参加しているアーティストらを講師に招き、ストップモーションを用いた映像制作からプログラミング、電子工作などさまざまな内容のものが行なわれました。ワークショップ講師の中にはメディア芸術祭第7回優秀賞受賞者のクリスター・オルソン氏の姿も見えました。彼は近年メディア芸術だけに限らず、多くのインタラクティブ分野にて使用され注目を受けているプログラミング言語「PROCESSING」のワークショップを担当していました。

ワークショップには地元大学に通う学生をはじめ、小さな子供から年配の方までが参加し、地元密着のフェスティバルならではの光景がうかがえました。2時間という短い間にプログラム自体の基本的な説明から、参加者がコンピュータを使って実際に手を動かして課題をこなし、最後にはスクリーン上で動く一つのインタラクティブ作品を制作。参加者のなかでも年配の方が、自分で記述したプログラムを実行し、動いているのを見て感動している様子は特に印象的でした。私自身もコンピュータ・ソフトウェアの講習などに参加することが多いのですが、参加者は20、30代の方に限られています。このように誰もが気軽に参加できるアットホームな姿勢はとても共感できるものでした。

■アーティスト・トーク

ニューキャッスル市内ではフェスティバル参加アーティストによるアーティスト・トークも行なわれました。私もスライドとビデオを交えながら今まで制作してきた作品に加え、現在制作中のものを発表させていただく機会をいただきました。日本からは他にもメディア芸術100選候補にも選ばれているダムタイプの高谷史郎氏による基調講演も行なわれていました。講演終了後も会場ではダムタイプの熱狂的なファンの方が熱心に質問をされていました。日本からは遠く離れたオーストラリアの地方都市でさえ、日本のメディアアートに対する好意的な姿勢が見受けられたのは参加者としてもとてもうれしいものでした。

■作品上映

Electrofringeでは作品展示やワークショップに加えて地元の映画館を貸し切った映像作品の上映も行なわれていました。オーストリアで開催されているArs ElectronicaやアメリカのSIGGRAPH、ドイツのトランスメディアーレに加え、メディア芸術祭の受賞作品集も上映され、多くの観客をわかしていました。アニメーション以外にも普段はオーストラリアの方になじみの薄いコマーシャル作品や個人制作の作品なども、とても好意的に受けられていました。

■作品展示


市内にはインスタレーション作品も展示されていました。展示会場はいわゆるギャラリーや美術館などを使用したスペースではなく、大通りに面した複数のパブリックスペースを利用。私は第9回メディア芸術祭で展示し『Open the Blind』の並び『The King Has…』という作品を展示しました。他にはビデオアートのスクリーニングやウェブ作品などが展示されていました。やはりインスタレーションの展示にはある程度の予算が必要なため、どうしても上映しやすい映像作品などに展示が偏ってしまっているところは、フェスティバルの今後の課題であると思いました。

レポート メディアアーティスト 川島 高