海外フェスティバルレポート

SICAF 2006 レポート

今年も韓国ソウル市でソウル国際漫画・アニメーション映画・フェスティバルが開かれた(5月24日〜5月28日)。韓国の漫画・アニメーション文化、産業の振興を図ることを目的として、1995年から開催され今年で10回目を迎えたフェスティバルである。2003年からはソウル市の全面的な協力のもと、アジア最大規模のスケールを誇っている。

内容的には、展示会・見本市(Exhibition-Convention)、アニメーション映画フェスティバル(Animated Film Festival)、プロモーション・プラン(SICAF Promotion Plan)の3分野から構成されている。ここでは、展示会・見本市とアニメーション映画フェスティバルについて報告したい。
開催地 韓国・ソウル「ソウル貿易センター(SETEC, Seoul Trade Exhibition Center)」
開催期間 2006年5月24日〜5月28日
URL http://www.sicaf.or.kr
■展示会・見本市
今年は昨年の会場(CO-EX)とは異なり、ソウル貿易センター(SETEC, Seoul Trade Exhibition Center)で開催された。見本市(Convention)と、テーマ展示(Theme Exhibition)、教育体験展示(Educational Experience Exhibition)というコンセプトで、3つのホールに分けられており、それぞれ多くの人がつめかけていた。

見本市会場(ホール3)は、東京国際アニメフェア(TAF)を思い出していただければほぼ間違いない。広い会場には漫画、アニメーションのブースが出展されており、キャラクター・グッズ、コミックなども多数並べられ、色とりどりでにぎやかな雰囲気であった。
「文化庁メディア芸術祭」ブースと「東京国際アニメフェア」ブースは隣接しており、日本コーナーとでもいうべき区画となっていた。メディア芸術祭ブースでは入賞作品を定期的に上映しており、訪れた観客が楽しんでいるようすを見ると思わず微笑んでしまう。
教育体験展示(ホール2)では主として子ども向けの展示がなされており、親子連れで実際にマシンに触れたり、3D映画館をのぞいたりという体験型のゾーンになっていた。とくに27日(土曜日)の休日には家族連れが多く、さながらメディア・パークといった感じだった。
  テーマ展示(ホール3)では、「コミックス周遊」(Voyage Around Comics)という主題のもと、コミック文化の諸相(「コミックス・ニューウェーブ」「ジュール・ベルヌと想像の世界」「コミック・アーティスト、パク・スドン」など)が展示されていた。その一画には漫画やアニメーション関係の大学、学校のブースが集められていたコーナーがあり、どこか学園祭的な雰囲気を醸し出すとともに、韓国の関連学校数の多さも印象づけていた。
展示の中心のひとつは「不思議の国のCLAMP」と題された、『カードキャプターさくら』『X』『ツバサ・クロニクル』などで知られる日本の漫画創作ユニット、CLAMPの作品展示であった。この企画は、韓国のCLAMPファンや、出版社、読者、作家、イベント会社などが協力した成果である。
実際にCLAMPも会場を訪れ、サイン会、CLAMP16周年スペシャル映像、ファンとの懇親会などが開催されました。CLAMPの海外でのサイン会は初めてだったとのことで、韓国のCLAMP人気の高さがうかがわれた。
 
■アニメーション映画祭
アニメーション映画祭は、CGV Yongsanというシネコンで開催された。昨年から国際アニメーション映画協会に正式に認められているということもあって、海外からの参加者も目立っていた。日本からはコンペティション部門(長編アニメーション部門)に『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』『NITABOH 仁多坊 津軽三味線始祖外聞』が出品され、『仁多坊 津軽三味線始祖外聞』(西澤昭男監督)がグランプリに選ばれた。短編アニメーション部門(スクール・グラデュエーション)では早川貴泰監督の『可畏キモノ』が審査員特別賞を受賞。同作品は学生CGコンテストの受賞作品である。

ほかにも「アジアのインスピレーション」で川本喜八郎監督『死者の書』、ファミリーを対象にした「ファミリー・スクエアー」で高畑勲監督の『総天然色漫画映画 平成狸合戦ぽんぽこ』『セロ弾きのゴーシュ』、宮崎駿監督の『魔女の宅急便』、山村浩二監督の『年をとった鰐』が上映された。『死者の書』『年をとった鰐』は昨年の文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の優秀賞作品である。
川本監督、高畑監督はともにゲストとして招かれて会場でスピーチし、観客とのティーチ・インも行なわれた。筆者は高畑監督のそれを拝聴したのだが、監督がいつも以上に熱心に観客席からの質問に対応していたのが印象的だった。
惜しむらくは、映画祭の会場とSETECが距離的にかなり離れていたため、展示会・見本市に来場した観客がそのまま映画祭会場へと移動するには無理があったことである。高畑勲監督のスピーチに間に合わせるためにタクシーを飛ばしながら、東京でいえば六本木から渋谷くらいの距離(東京国際映画祭)だろうか、それにしても遠い…と思い続けていた。昨年は展示会・見本市がCO-EX、上映会場はすぐ近くのシネコン、メガボックス(平成16年、17年と文化庁主催で日本映画を上映した会場)だったとのことなので、その差をより感じてしまったのかもしれない。

いずれにしても、韓国のアニメーションとマンガへの強い意欲を感じた訪問であった。

佐伯知紀

文化庁 芸術文化調査官