

| 開催地 | : | スペイン・バルセロナ |
| 会場 | : | バルセロナ市内 |
| 開催期間 | : | 2008年6月19日(木)〜6月21日(土) |
| URL | : | http://sonar.es/ |
「So´nar」(ソナー)は、今年で15周年を迎えたエレクトロニック・ミュージックとメディアアートの大規模なフェスティバルです。毎年6月にスペインのバルセロナで開催され、市内中心部にあるバルセロナ現代美術館・MACBA(Museu d’Art Contemporani de Barcelona)を中心に、複数の会場にて、マルチメディアの展示やパフォーマンス、また多くの実験的ミュージシャンによるコンサートなどが同時多発的にくりひろげられます。
深夜から朝にかけては、市内中心部より少し離れたコンベンションセンター・FIRA Gran Via内の特設会場にて、多数のコンサートが催されます。アーティストは、スペイン国内はもちろん、世界各国から数百人規模で招待され、世界的観光都市バルセロナにおいても、年中行事のひとつとして観光ガイドに紹介されるほどのにぎわいを毎年みせています。
■So´nar by Day

「So´nar by Day」は連日午後1時から夜の9時まで、バルセロナ現代美術館を中心に行なわれました。期間中は4つのコンサートとふたつのメディアアートの展示が5つの会場で並列的に行なわれ、来場者はスケジュールを見ながら、おのおの好きなように巡回することができます。「So´nar by Night」とよばれる深夜のイベントが、世界的に有名なアーティストによるライブによって構成されるのとは対照的に、「So´nar by Day」では、実験的なアーティストや、今後が期待される若手アーティストなどがおもにパフォーマンスを行ないます。また、毎年時代に反映したテーマでキュレーションされたメディアアートやパフォーマンスの展示、上映も行なわれます。

「So´nar by Day」のキュレーションは非常に定評があり、そのため客層も非常に目の肥えたファンが多く、彼らの口コミからSo´nar出演後にまたたく間にメジャーになったアーティストも数多く存在します。前年ここで演奏したアーティストが次の年に「So´nar by Night」のヘッドライナーとして登場することもあり、アーティストの登竜門的存在として認知されています。
■SonarMa`tica

「So´nar by Day」のイベント会場のひとつSonar Hallでは、毎年その時代に即したテーマによる「SonarMa`tica」とよばれるメディア芸術の展覧会が開催されます。今年は「FUTURE PAST CINEMA」という逆説的タイトルで、映像というメディアを軸に、その未来と過去をリンクする作品が展示されました。 会場内には20世紀以前の映像装置である、ゾートロープや、マジックランタン、影絵人形などがその説明と共に展示されました。またそれに並列し、それらの映像装置を根源としながらも、最先端の技術を用いたインタラクティブ性があるメディア芸術作品と、そのパフォーマンスが展示されました。

「SonarMa`tica」は、スペインの首都マドリッドにある研究施設、プラドメディアラボ・Media Lab Pradoと技術面等で協賛をしており、そこからもいくつかの作品が出展されていました。今回の「FUTURE PAST CINEMA」の出展作家には歴代メディア芸術祭受賞者も多く見受けられ、第9回アート部門大賞のアルバロ・カシネリ氏による新作『Boxed-Ego』や、同エンターテイメント部門大賞作品『Flipbook!』(フアン・カルロス・オスピナ・ゴンザレス)の作品展示や、第10回アート部門審査員推薦作品『Takashi’s Seasons』(川島高)のパフォーマンスが行なわれました。

なかでもフランス人アーティスト、ジュリアン・メール氏によるパフォーマンス『Demi Pas(Half-Step)』は個人的に非常に印象に残った作品です。投影機に自らが制作した特製のカートリッジを順次とりつけ、コンピューター制御によりレンズの焦点やカートリッジにつけられたさまざまな仕掛け、またそれに付随した楽曲を巧みに操ることで、約20分間の短編映画をライブでつくりあげていきます。作品内容はフランス映画にあるような抽象的なものですが、魔法を操るようにくりひろげられるパフォーマンスは、子供から大人まで多くの来場者の視線をくぎづけにしていました。
■Sonorama

バルセロナ現代美術館を中心とした会場から徒歩10分程の場所に、もうひとつのメディアアートの展示「Sonarama」の会場があります。ここでは音や光を使ったインスタレーションが展示されました。その中でもパブロ・ヴァルブエナ氏による『Augmented Sculpture Series』は多くの注目を集めていました。
作品は部屋の片隅に積まれた複数の無機質の長方形と、天井から吊られたビデオプロジェクターによって構成されています。作品には、それぞれの箱をふちどるような白線がプロジェクターから投影され、しだいにその白線が箱のふちからずれるように動きだします。鑑賞者は箱自体が歪みはじめたかのような錯覚をおこすという作品です。
このような、既存の環境にコンピューターを用いて情報を付加する技術は「Augmented Reality(拡張現実)」とよばれ、バーチャル上で電子情報を操る技術「バーチャルリアリティ」に対照するものとして、近年注目をあつめています。その技術を巧みに用いた同作品は、今後の拡張性を高く感じるものでした。
■So´nar by Night

会場を「So´nar by Day」からやや郊外のコンベンションセンターにうつし、連日夜11時頃から明け方までSo´nar最大のイベント「So´nar by Night」が行なわれます。コンベンションセンター内には1万人規模収容のステージがとなりあうように4つ隣接され、同時並行で多数のコンサートがくりひろげられます。バルセロナ中心地からは多数のシャトルバスが夜通し運行され、コンベンションセンター外にも無数の屋台や露店がたちならびます。この「So´nar by Night」には、その年を代表するエレクトロニック・ミュージシャンが多数集結し、世界各国で開催される野外フェスティバルの季節の到来を告げる象徴的なイベントとしても有名です。
川島 高(メディアアーティスト)




