5 minutes media arts

5 minutes media arts plus メディア・アートをキュレーターがわかりやすく案内するリレーコラム

【vol.1】

「メディアアート」って?

遠藤拓己+徳井直生 《Project Phonethica Installation “Rondo”》

ネットワークゾーンより/遠藤拓己+徳井直生《Project Phonethica Installation "Rondo"》
※この作品は2005年度未踏ソフトウェア創造事業(IPA)により開発されました。

クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノー《A-Volve》

アート&テクノロジー・ゾーンより
クリスタ・ソムラー&ロラン・ミニョノー《A-Volve》1994
ヴァン・ゴッホ美術館(アムステルダム、2006年)における展示風景

メディアアートの一般的な概念とは

「メディアアートって何?」って時たま聞かれます。たとえば使用メディアがそのまま名称となっている「コンピュータアート」や「ビデオアート」と比べて、「メディアアート」は、どうもつかみにくいイメージがあるようです。「メディアアート」という言い方は、90年代初め頃からポピュラーになったもので、一般的に「アートや科学、技術などを横断した視点で、コンピュータをはじめとする先端的なメディアを駆使したインタラクティヴな作品」という意味で使われています。

大切なのはメディアをいかに使うかということ

冒頭の質問を受けた場合、私は上のような前置きとともに、このように答えています。「<メディア>は、<メディウム(媒体)>の複数形。なので<メディアアート>はつねに複数のメディアを連結して使われるものといえるけど、そのためには、たとえば写真、ビデオ、コンピュータなど各メディアの特性を知って使いこなす視点が必要。新しいメディアが出てくると、メディアの地図が塗り替えられて、既存のメディアの意味も変わる。それを忘れないこと」。そして最重要点として、「何を使うか、でなくて、いかに使うか」があります。最新のメディアだけを使う必要はないし、最新メディアを使っても既存のメディアの使い方に縛られていたら、それは「メディアアート」とはいえない、というのが私の主張。つまり「メディアアート」は、コンセプチュアル・アートや実験的態度と共振するもので、新たなメディアの連結や既製品の改造、メディアの自作などを通してメディアの潜在的可能性、そして自身の知覚やわたしたちが生きる世界をあらためて発見するための実践といえるのです。

「エマージェンシーズ! 001」

新鋭アーティストを紹介する「エマージェンシーズ! 001」/山川 K. 尚子《KODAMA》 2004
プログラム協力: 竹谷 康彦
撮影協力: 萩原 健一
その他: 三原 聡一郎, 鈴木 悦久
機材協力: IAMAS

プログラマブル・デバイス・プロジェクト(PDP)《GAINER》

研究開発ゾーンより/IAMAS
プログラマブル・デバイス・プロジェクト(PDP)
《GAINER》

リニューアルしたICCへようこそ

最近は、美術館などでも接する機会が増えてきたメディアアートですが、そのような表現を専門に紹介する施設として、東京オペラシティ(初台)にあるNTTインターコミュニケーション・センター[ICC] を紹介しましょう。

97年に開館したこのセンターは、2006年6月6日に「Art×Communication=Open!」を掲げリニューアルオープンしたばかり(私も学芸員として企画実施を担当しています)。 常設展示のある「オープン・スペース」(入場無料)は、90年代から現在までのメディアアート作品を選りすぐり紹介する「アート&テクノロジー・ゾーン」、産官学の最新の成果を紹介する「研究開発ゾーン」、そして「ネットワーク・ゾーン」、「アーカイヴ・ゾーン」(ウェブでも公開)で構成。「アート&テクノロジー・ゾーン」では、各作品に「インタラクティヴ」「デバイス」「ウェブ」など、メディアアートのキーワード解説があり、またインタラクティブ年表でメディアアートの歴史に出会うこともできます。アーティストや研究者のユニークな視点が生かされた各作品は、体験者が関わることで毎回違ったものとなり、楽しく刺激的な時間を過ごせるはず。

「メディアアート」は、つねにその時代の技術や社会の動向と関係して、そこに潜む可能性を引き出して呈示していく、現在進行形の存在。ぜひ気軽に体験してみてくださいね。

NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
http://www.ntticc.or.jp
常設展示に加え、2006年7月1日まで、毎土曜にシンポジウム「ネットワーク社会の文化と創造」を開催中。夏にはキッズプログラム、秋には企画展を予定。

profile

四方 幸子(Yukiko Shikata)

キュレーターおよび批評家。NTT インターコミュニケーション・センター[ICC]学芸員、東京造形大学特任教授、多摩美術大学・京都造形芸術大学客員教授。メディアの横断的研究および 20世紀〜現在におけるアートの可能性を検討、かたわら数々のプロジェクトをキュレートする。アルス・エレクトロニカ賞審査員、UNESCOデジアート賞審査委員長、ナムジュン・パイク賞審査員他を歴任、transmediale(ベルリン)アドバイザー。

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