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コラム

1960年代 【エンターテインメント】 2001年宇宙の旅

『2001年』衝撃の映像

文/松本 零士

『2001年宇宙の旅』・[DVD]
発売:ワーナー・ホーム・ビデオ
価格:2625円(税込)

製作された年代が、無声映画の時代、第二次戦前、戦争後、そしてそれから現代に至るまでの、名だたる空想科学映画、いわゆるSFのほとんど総てを観てきた。観た年代は、何しろ生まれる前の作品もあるので、時系列通りというわけにはいかないが、とにかく観た。それぞれの時代を総括する名画にも、幾度も遭遇した。

我が青春の真っ只中で遭遇したのが、この『2001年宇宙の旅』である。二つの意味で衝撃的な出会いであった。この名作はそれまでの名作とは違っていた。これは空想科学、サイエンスフィクションのようで、実はそうでなかった。来るべき現実の未来の想定図が描かれていたと同時に、製作者の哲学や信条が 明確に表現されていた、新しい映像表現の幕開けであったのだ。SFがSFでなく、原作とは違う表現方法で観賞者に迫ってきたのだ。この現実感と臨場感は、その後のSF映像の概念と性格を完全に一変させた。

さらに私が受けた第二の衝撃がある。それがあの冒頭のBGMとして鳴り響いた『ツァラツゥストラかく語りき』であった。20代のはじめ、モノラルのLP を買い、下宿で聴いた時以来、必ずこの曲の冒頭の部分を自分が映像にトライできる時が来たら「必ず使う」と心に決めていたからだ。映画館で『2001年』を観た瞬間、『ツァラツゥストラ』が轟音となって耳を撃った。「間に合わなかった !! 」全身から無念という名の冷や汗が噴き出た。

この名曲によって『2001年』のイメージが強烈に拡大され、偉大なアーサー・C・クラークの原作をさらに壮大にして、一度観たら頭から離れなくする巨大なパワーが生じたのも事実である。今では『2001年』のテーマといわれ、定着してしまっているこの曲は、もう使いようがない。しかしレコードは大切に保管してある。時折聴くと青春の日々が蘇って懐かしい。

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松本 零士

松本 零士 (漫画家)

1938年福岡県久留米市生まれ。16歳の時に雑誌「漫画少年」の第1回長編漫画新人賞を受賞。72年『男おいどん』で講談社出版文化賞受賞。
75年『宇宙戦艦ヤマト』がテレビアニメ、劇場アニメ化され大ブームに。1999年4月よりインターネットで『銀河鉄道999』の連載開始。『クイーン エメラルダス〜不滅の紋章〜』他、版画作品の制作、発表。2000年コミックGOTTAで『新宇宙戦艦ヤマト』大好評連載。現在、日本宇宙少年団理事長、コンピュータソフトウェア著作権協会理事、全国少年団体連絡協議会会長などを務める。

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