artribute

[2005年度]「文様」

RAIN DANCE

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[11月 花札の文様]

『RAIN DANCE』 セドラック 星沢 順子

「日本古来の花鳥風月の文様はいつになっても魅力的。小野道風(おののとうふう)さん、ちょっと踊ってみてはいかが? 平成のナイトクラブで。」
幼いころ、祖母とその妹が二人で花札をしていたのをよく横で眺めていたものだった。座布団の上に次々とめくられてゆくとても綺麗な紋様に魅せられていたのを覚えている。それが日本古来の花鳥風月の美しさだとは知らなかった。黒、赤、黄色、橙々などの数色の単純な色使いではあったがなんだかとても魅力的な絵柄だった。その後学校に通い始めて以降もよく友人と花札でしょっちゅう遊んだものだった。そんな、私の人生初期のころから数十年にわたり慣れ親しんだ日本の遊び文化である花札の文様に、長年楽しませてくれた感謝の気持ちをこめてトリビュートしたいと思う。

この企画「Artribute」の小テーマは「月」。まさに花札は月ごとの札なので、まずこの素材が浮かんだ。私はこの札のなかの単純な文様が好きなのでそれらを動かしてみたいと考えた。私の受けた11月の「雨」をテーマに平成風にアレンジし、VJ風にグルーヴしてみた。

花札のなかでもこの11月は、唯一人物が登場するやや異様な札だ。柳につばめ、蛙と書家・小野道風、不思議なカス札の雨模様。小野道風は蛙が柳に何度も飛びつき、努力を惜しまず、最後にとうとう枝に届いたのを見て「人間あきらめてはいけない」と悟ったという。ちょっと他の月とは趣の異なる11月の札が私は好きだ。

※花札のルーツは平安時代にさかのぼり「貝合わせ」(貝殻に絵を描いたものを合わせる)という日本古来からの遊びにはじまり、ポルトガル人の来航により伝えられた「うんすんかるた」という西洋の影響を受けつつ改良され流行し、現在の花札へと変化していったといわれる。

profile

セドラック 星沢 順子

セドラック 星沢 順子(せどらっくほしざわじゅんこ/Junko Hoshizawa Sedlak)

アートディレクター、イラストレーター、ビデオアーティスト。1988年〜、アメリカ、ロンドン、ベトナム、シンガポールと移住。外資系広告代理店のシニアアートディレクターとして勤務していたが'98年独立。シンガポールにて「JUNKO'S GRAPHICS」設立。アートディレクターの傍ら、独自のショートグラフィックアニメーションを制作。「Street Poet Ray」グラフィックポエム6冊をMarvel Comics(USA)より出版。MTV Station ID 98 佳作、ダラスフィルムフェスティバル入選、1999年、文化庁メディア芸術祭ノンインタラクティブ部門優秀賞受賞、SIGGRAPH 2003年、2004年、入選。現在東京に在住。
www.junkosgraphics.com