Technology for Media Arts

【Vol.6】空中に画像を映す

空中に出現する巨大な立体映像

「Cheoptics360 XL」で映し出された3Dのダンサー(c)ViZoo

「Cheoptics360 XL」で映し出された3Dのダンサー (c)ViZoo

今回最初に紹介するのは、10月に発表された「Cheoptics360 XL」だ。空中に大きな3D画像を投影するというシステムである。公式サイトにはムービーもあるので、必見だ。

デンマークのKasper Hammer Nielsen(カスパー・ハンマー・ニールセン)とPeter Simonsen(ペーター・シモンセン)が開発したこのシステムは、透明な素材でつくったピラミッドを逆さまにおいて、そこに4つのプロジェクターから映像を投影するというもの。投影するのは静止画でも動画でも、もちろんCG画像でもかまわない。ちゃんと見る方向によって、それに応じた像が見えるようになっている。 屋内向けで最大一辺10m(最小は不明)、硬化ガラスを使って屋外にも展示することもできて、その場合は一辺30mのサイズまで対応する。

まだ日本には入って来ていないので、実物を見た人はあまりいないようだが、公式サイトにはムービーデータもおかれているので、これは必見だ。

円筒に立体画像を映す「Transpost」

「Transpost」ではレイア姫のあの映像がついに実現

「Transpost」ではレイア姫のあの映像がついに実現

被写体の周りに24枚の鏡を配置

被写体の周りに24枚の鏡を配置

2004年に日立製作所が発表した「Transpost」は透明な円筒の内側に立体画像を表示させるシステムだ。

撮影するときには、被写体の周りに斜めにおかれた24枚の鏡をぐるっと並べておいて上から撮影する。鏡に映った24方向からの像が一度に撮影されるわけだ。
表示するときには、この画像を同じようにおかれた24枚の鏡に向かって投影する。中央には高速回転する小さなスクリーンをおく。これで、24方向からの画像が中央で立体的な像を結ぶということになる。見る方向に応じた画像が表示されるわけだ。

やってることは力技だけど効果は高い。画像変換のような処理が間に入らないので、ビデオカメラで撮っている画像をリアルタイムで表示することもできる。もちろん、CGでつくった画像を表示させるのもいい。あるいは24枚の画像をすべて同じにしておくと、どこから見ても同じ形という、それはそれでおもしろいものもできるわけだ。
まだ商品化されているものではないが、現在また改良が進められている。開発者は「スターウォーズのレイア姫の映像がR2-D2から投影されるやつをつくりたいと思って」制作を始めたそうなので、将来に期待がもてるシステムだ。

霧のスクリーンに映像を投影

霧のスクリーンとは思えない映像が注目される「FogScreen」

霧のスクリーンとは思えない映像が注目される「FogScreen」

もうひとつ、空間に画像を表示するものとして「FogScreen」を紹介しよう。2003年のシーグラフで発表されて以来、多くの反響を読んでいる製品だ。表示されるのは立体画像ではないけれど、そのかわりに画像の中を突き抜けることができるのだ。

原理は簡単。天井に1列に並んだノズルから加湿器の要領でミクロンサイズの小さな水粒子でできた霧を下に向かって吹き出させるのだ。これで、霧でできたスクリーンというものができあがる。あとはそこにプロジェクターで画像を投影するだけだ。現在では改良によって霧の均一性も高まって、より綺麗な画像が表示できるようになっている。
霧でできたスクリーンなのだから、そこを通り抜けるのも当たり前にできる。水粒子はきわめて小さいから触っても濡れるという感じはない。水も特殊なものではなく水道水でOK。

映像を映したスクリーンの向こう側は見えにくくなるので、舞台などで、映像の中からいきなり人が飛び出してくるなんていう演出にも使われているようだ。

profile

こばやしゆたか

ライター。最新技術から少し変わったおもしろい技術まで幅広く取り上げ、HOTWIREDをはじめ、さまざまな媒体で紹介している。無類のペンギン好きでもある…と書くとLinuxのことだと思う人が多いが、そうではなく本物のペンギン、とくにアデリーペンギンが好きで、ペンギンのウェブサイトも運営している。

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