MTV
Music Television
音楽番組を専門とするケーブルテレビのチャンネル。1981年、ワーナー・タイム社とアメリカン・エキスプレス社が共同で出資したWASECを母体に設立され、同年8月1日午前0時1分より放送が開始された。若者を主な視聴者として想定し、24時間ポピュラー音楽のビデオクリップを流しつづける番組のスタイルを確立して、ヒット曲のプロモーションに大きな力を発揮し、一時期は絶大な影響力を持っていた。1985年にはパラマウント映画などを傘下に置くメディア企業のバイアコム社によって買収されて現在に至る。1996年にはMTVとMTV2に分割され、前者はエンターテインメント番組中心の構成となったため、従来の音楽番組のスタイルは後者へと継承された。現在でも世界161カ国で放映されているが、ダウンロード配信が主流となるなど、音楽の受容形式が大きく変化したため、その影響力は低下している。日本でも1980年代より民放の音楽番組枠などを通じて断片的に放映され、1992年には本格的に進出を果たしたが、その後も数回にわたって経営形態やチャンネルが変化した。現在は音楽専門チャンネルでは上位の契約数を誇るなど、経営的には安定しているが、邦楽中心の番組構成には賛否両論が寄せられている。
つくば科学万博
The International Exposition Tsukuba Japan, 1985
提供:財団法人つくば科学万博記念財団1985年3月17日~9月16日、茨城県筑波郡谷田部町(現つくば市御幸が丘)で開催された国際博覧会の通称。正式名称は国際科学技術博覧会。開催テーマは「人間・居住・環境と科学技術」。日本で開催された万博としては1970年の大阪万博、1975年の沖縄海洋博に次ぐもので、科学技術に特化した特別博として博覧会協会の認証を得た。48カ国と37の国際機関が参加したが、科学博ということもあってか国際展示以上に企業パビリオンの展示が目立ち、住友館の「3D-ファンタジウム」やソニー館の「ジャンボトロン」などが異彩を放っていた。またこの万博は1970年代より開発が進められてきた筑波研究学園都市の整備も大きな目的としており、当時のメイン会場は現在では筑波西部工業団地へと転用されているほか、一部の区画には科学万博記念公園が造営された。万博の翌年には、メモリアル施設として筑波エキスポセンターが設置された。国内で3度目の万博ということもあり、新鮮味に欠けたためか観客動員は伸びなやんだが、それでも当時の特別博の最高記録に相当する、のべ2033万4727人の動員数を記録した。
ブレードランナー
Blade Runner
『ブレードランナー ファイナル・カット スペシャル・エディション』リドリー・スコット 監督
(発売:ワーナー・ホーム・ビデオ)
(価格:3,980円(税込))
1982年公開のアメリカ映画。リドリー・スコット監督作品。フィリップ・K・ディックのサイバーパンク小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作とする。前作『エイリアン』でSFとホラーを融合した新境地を切りひらいたスコットは、本作ではさらに先鋭的な視覚イメージを追求し、環境汚染にまみれた近未来の巨大都市を舞台に、レプリカントと呼ばれる人造人間が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する、ハードボイルドやフィルム・ノアールの要素を取りいれた凝りに凝った映像世界をつくりあげた。この映像美は、スコットの才覚にくわえ、美術担当のシド・ミードや視覚効果監修のダグラス・トランブルといったスタッフの卓越した手腕にも負う部分が大きかった。『スター・ウォーズ』や『レイダース』でトップスターとなったハリソン・フォード主演の大型作品ということもあって観客動員も期待されたが、難解で陰鬱な作風が受けずロードショー時は日米ともに不入りに終わった。しかしビデオソフトの普及を機に多くのファンに浸透し、再評価が進んだ現在ではSF映画史上屈指の傑作との声も少なくない。紆余曲折があった作品の受容プロセスを反映してか、本作には5つの異なるヴァージョンが存在する。
大ルーヴル計画
Grand Louvre Project
『パリ・ルーヴル美術館の秘密』(発売元:IMAGICA 販売元:レントラックジャパン)
(価格:5,670円(税込))
20世紀末に実施されたルーヴル美術館の大改造計画の総称。1981年に着任したフランソワ・ミッテラン仏大統領はルーヴル美術館の大改造を宣言、それまで一部の建物を占拠していた大蔵省を移転してルーヴル宮を美術館専用施設とすることが決定されるいっぽうで、大幅な展示面積の増加とサーキュレーションの整備を軸とする計画が始動した。1983年には大ルーヴル計画公団を結成して改造計画案のコンペを実施し、中国系アメリカ人建築家イオ・ミン・ペイの案が選出された。ペイの計画案は大規模な地下工事によってナポレオンの中庭の地下に受付ロビーを設置、そこから地上の各棟へとアクセスできるようにするもので、中庭には新生ルーヴルのシンボルであるガラス製のピラミッドが設置され、1989年3月にはその落成式が行なわれた。工事はその後も継続され、1990年代半ばまでには、ルーヴルは以前の約2倍の総展示面積を持つ巨大美術館として生まれかわった。ちなみに、このフランスの国家的な威信を賭けた大規模な計画には、観光客の大幅増による外貨の獲得という副産物をもたらした。日本でもこれに刺激を受けて、上野公園で大規模な地下工事を実施し各館をネットワーク化しようという上野ルーヴル構想が提唱されたことがある。
脱構築
Deconstruction
『デリダ』ジェフ・コリンズ 著
鈴木 圭介 翻訳
(筑摩書房)
フランスの思想家ジャック・デリダの中心をなす思想。ハイデガーの『存在と時間』に登場する「Destruktion」という概念を独自に解釈し、破壊のみならず建設的な意味合いを持たせたもので、内部/外部、自己/他者、善/悪、男/女など、古代ギリシア以来の西洋形而上学が確立してきた二項対立を打破し、そこから新しい差異を生みだそうとする意図を持つ(デリダはそうした新しい差異を、従来の差異「différence」と差別化するために差延「différance」と命名した)。1960年代にこの概念を着想して以来、デリダは多くの著作を通じてさまざまな問題を提起し、フランスの思想界で大きな議論を呼んだ。本来は哲学の概念だが、その議論は海を越えてアメリカにも波及し、ポール・ド・マンをはじめとする批評家が文学のテキスト解釈に応用、「脱構築派」と呼ばれる大きな勢力を築いた。さらに1980年代には、フランク・O・ゲーリーやピーター・アイゼンマンらの装飾的なデザインが脱構築にたとえられるなど建築の分野にも影響が及び、1988年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)にて「脱構築の建築」展が開催された。デリダ自身もアイゼンマンとの協働を試みたことがある。



