ジャン・ウジェーヌ・アジェ
Jean-Eugène Atget (1857-1927)

『ウジェーヌ・アジェ写真集』
ウジェーヌ・アジェ(写真)
原信田 実(翻訳)岩波書店
フランスの写真家。ボルドー近くの町リブルヌで、馬車の修理工の家に生まれる。幼くして親と死別し、祖父母に育てられる。水夫、画家、旅回りの役者など複数の職業を転々とした後、30歳を過ぎた頃より写真家としてのキャリアを開始する。当初は絵画のモチーフとなる街頭風景を撮影して画家に販売する仕事をしていたが、1898年にパリ市歴史図書館と写真の売買契約を結び、その後約30年を通じて8,000枚以上の写真を残した。パリの街並みや郊外、地方などを舞台としたその写真は、特に目新しい技法は用いられていないが、庶民の視線で当時の人々の生活を生き生きと伝える一方、時代とともに移り変わる景観を正確に記録しており、その傑出したドキュメント性によって近代写真の先駆に数えられる。商業写真家に徹し、弟子も助手もおらず、サロンでの作品発表を行わなかったため、生前はほとんど無名だったが、晩年になってマン・レイに見出され、彼の弟子にあたる女性写真家ベレニス・アボットの手を通じてその作品が徐々に知られるようになる。初の写真集『アジェ、パリの写真家』が刊行されたのは死後の1930年、ニューヨーク近代美術館がそのコレクションを購入したのは1968年のことであった。




