ダダ
Dada
『ダダ・シュルレアリスムの時代』塚原 史 著
(ちくま学芸文庫)
1910年代半ばから1920年代前半にかけて、欧米の複数の地域で展開された芸術運動。ダダイズムとも呼ばれる。美術、写真、演劇、文学などの各分野に及び、反美学的、反道徳的な衝動を最大の特徴とする。1916年、スイス・チューリヒの「キャバレー・ヴォルテール」で、ルーマニア移民の詩人トリスタン・ツァラらが過激なパフォーマンスを行なったのが起源とされるが、フランス語で木馬を、スラブ系言語で相槌を意味する「ダダ」という言葉がこの運動に当てられた必然性は特にない。また、それからわずかに遅れて、パリ、ケルン、ベルリン、ハノーバーなどでも独自の過激な活動が展開されたが、背景でもあった第一次世界大戦の終焉に伴い、それらの運動は徐々に先鋭性を失い、シュルレアリスムへと回収されていった。いっぽうアメリカでも、ヨーロッパとほぼ同時期にマルセル・デュシャン、フランシス・ピカビア、マン・レイらが既成の美術や価値観に重大な疑問を提起する制作活動を展開したが、1913年のアーモリー・ショーを起源とする彼らの活動はヨーロッパのダダと直接の影響関係にはなく、またシュルレアリスムにも向かわなかった点で大きく異なっていた。




