ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」

[ 1930年代, , ]

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『複製技術時代の芸術』
ヴァルター・ベンヤミン 著
(晶文社クラシックス)

ドイツの批評家ヴァルター・ベンヤミンが著した複製芸術論。「芸術作品は、原理的には、常に複製可能であった」との書きだしで始まる同書は、古代ギリシアにおけるブロンズ像、テラコッタ、硬貨に複製芸術の起源を見出し、その後中世期の銅版や腐蝕銅版、19世紀初頭のエッチングへと展開されていく複製芸術の系譜を追っていく。なかでも、19世紀中頃に登場した写真は複製芸術の革命的な転機として位置づけられており、ベンヤミンはその技術的核心を「この技術によって人間の手が形象の複製のプロセスの中でこれまで占めていたいちばん重要な役割から、はじめて解放されることになった」と評した。この指摘は、オリジナルと変わらない質のコピーを大量生産することが可能な写真が、唯一無二の存在であることに由来する芸術の「真正性」を、ひいてはオリジナルの作品のみがもつ「アウラ」を大きく揺り動かし、またそれと同時に美術作品の観賞形態が唯一無二の「アウラ」を珍重する礼拝価値から、多くのモノ自体の価値を等閑視しようとする展示価値へと移行したという画期的な見解へと繋がっていく。 小著だが、1936年の発表時点でいち早く複製芸術の本質に着目していた優れた先見性によって、著者の代表作であるばかりか、20世紀の最も重要な芸術論のひとつに数えられている。

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