A・M・カッサンドル

[ 1930年代, , ]

フランスのポスター・デザイナー。本名アドルフ・ジャン=マリー・ムーロン。ウクライナのハリコフに生まれ、後にフランスに移住し、アカデミー・ジュリアンで美術を学ぶ。1920年代初頭より、ギリシア神話の預言者カッサンドルにちなんだペンネームを名乗ってポスター・デザインを発表しはじめ、1925年のパリ現代装飾美術・工芸美術国際博覧会(通称アール・デコ博)でポスター大賞を受賞し、一躍最前線に躍り出た。代表作に『北極星号』『北方急行』(1927)、『アトランティック号』(1931)、『デュボ・デュボン・デュボネ』(1932)、『ノルマンディー号』(1935)など。その船や列車のポスターは都会的な雰囲気とテクノロジーやスピードへの強い憧憬を感じさせるアール・デコ色の強いものであり、またキュビスムの影響と思しき幾何学的な造形にも際立った特徴があった。従来は画家の仕事とされていたポスター制作を広告デザインの1ジャンルとして確立し、またフィクス・マソーらの弟子を養成したことから「現代ポスターの父」とも呼ばれており、イヴ・サンローランのロゴデザインを手がけたことでも知られている。第2次大戦後は舞台美術や雑誌のデザインにも手を広げたが、人気が衰えるなど不遇な晩年を過ごし、失意のうちにピストル自殺した。

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