不完全性定理

[ 1930年代, ]

不完全性定理 『ゲーデル 不完全性定理』
ゲーデル 著
(岩波文庫)

アメリカの数学者クルト・ゲーデル(1906-1978)が1931年に発表した定理。「一見矛盾のない理論体系のなかに、肯定しても否定しても矛盾が生じる命題が、必ず存在する」という第一不完全性定理と、「ある理論体系に矛盾がないとしても、その理論体系は自分自身に矛盾がないことを、自らの体系の内部では証明できない」という第二不完全性定理のふたつからなり、いずれも数学基礎論のなかでももっとも重要な定理とみなされている。当時の数学界では、巨匠ダフィット・ヒルベルト(1862-1943)を中心に、どんな問題でも真偽の判定が可能であることを証明しようとする「ヒルベルト・プログラム」がさかんに展開されていたが、この野心的な企ては、ゲーデルの発表したふたつの定理によって事実上頓挫してしまった。ちなみに、この定理は数学のみならずほかの論理体系にもほぼそのまま応用可能であり、科学哲学などにも大きな影響を与えた。とりわけ、「ボクは嘘つきである」という命題が真偽いずれだと仮定しても矛盾が生じてしまう「自己言及のパラドックス」は、この定理の代表例としてしばしば言及される。

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