グーテンベルクの銀河系

[ 1960年代, ]

グーテンベルクの銀河系 『グーテンベルクの銀河系―活字人間の形成』
マーシャル・マクルーハン 著
森 常治 翻訳
(みすず書房)

カナダ出身のメディア論者マーシャル・マクルーハンが1962年に刊行した主著(日本語訳は1986年刊)。もともと英文学の研究で博士号を取得したカトリック信者であったマクルーハンは、1951年に『機械の花嫁』の刊行を機にメディア論へと進出するが、この新しいジャンルのパイオニアとしての評価を決定づけたのが同書であった。マクルーハンの関心は印刷文化が人間の経験を解体し、知性と感性を分離したとの仮説を立証することにあり、そのためにホメロス、シェイクスピア、ポープ、ジョイス、ド・シャルダン、ダンチッヒ、ハイゼンベルクなどのさまざまな文献を渉猟しながら、人間の知覚の変容や口語文化と活字文化の違いなどを分析することによって、印刷文化が西洋近代社会を形成するにあたって果たした役割を多角的に分析していく。その博引傍証な歴史記述は銀河系と呼ぶにふさわしいが、いっぽうで同書では現代の活字文化以降の展望も語られており、空間と時間の障壁が取りはらわれた「グローバル・ヴィレッジ」と呼ぶ時代の到来が予見されている。同書の刊行直後から、マクルーハンは「ウィリアム・ブレイクの再来」と絶賛されたが、確かにその予見には、今日のインターネット時代を先取りしている面も指摘できる。

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